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植田日銀総裁の異例の長い沈黙、決定会合前の利上げ思惑交錯の要因に
内田 稔高千穂大学 教授・国際金融論
中銀の金融政策は想定した市場の動きを伴い、その効果を発揮します。この為、FRBをはじめ世界の主な中央銀行はサプライズを嫌います。一方、日銀は異次元緩和が始まった2013年以降、その逆でサプライズを多用してきました。植田総裁は就任時の抱負の一つに市場との対話の重要性を挙げています。今回、政府高官から相次いで利上げを求める声が聞かれたものの、市場は来週の利上げを織り込んでいません。植田総裁が有言実行型であるならば、サプライズとなる利上げを避け、国債買い入れ減額に専念するはずです。逆に言えば、もし来週利上げがあれば為替は150円超の円高となり、株にも強い下押し圧力が加わりそうです。
「異常な」円高、早ければ来週にも崩壊か-日米両当局からリスク
内田 稔高千穂大学 教授・国際金融論
ドル円急落の理由は予想を下回った米CPIによるドル安のほか以下3つの円高要因です。即ち、日本の介入、利上げ観測の台頭、米ハイテク株下落に見られるリスク回避です。仮に来週、日銀が利上げに踏み切ると150円を割って行くと考えられますが、政府が懸念している円安が一服したこと、市場が利上げを織り込みきれていないこと、株安など市場が混乱していることから、恐らく日銀は利上げを見送り、国債買い入れ減額に専念すると思われます。これだけ事前に観測報道が出た為、利上げ見送りを受けて155円付近への反発は十分あり得ますし、利上げしたところで実質金利の大幅なマイナス状態は不変とあって、円高へ転換したとみるのは時期尚早と考えられます。
円安「潮目変わる可能性」 全銀協の福留会長
内田 稔高千穂大学 教授・国際金融論
160円は2022年以降の日米実質長期金利差との関係に照らし5円以上もオーバーシュート。投機筋の円ショートは過去最大規模でしたから、介入、株安が円の買い戻しを誘ったとみられます。利下げ観測を背景にドルもやや弱含んでおり、160円再トライの機運は高まりにくいでしょう。もっとも、潮目が変わったと見るのは時期尚早です。大幅なマイナス圏にある日本の実質的な政策金利がこの2年半の円安を主導しており、その構図は変わっていません。月末の利上げ観測が円安を抑えているとみられ、余程の大幅な国債買い入れの減額でない限り、利上げがなければ再び円安が再起動する恐れがあり、予断を許しません。
政府・日銀、12日に2.1兆円の円買い介入実施した可能性-2日連続
内田 稔高千穂大学 教授・国際金融論
岸田総理は5月、円安を注視すると発言しました。国の元首が為替相場に言及するのは御法度で、これを先進国で破ったのは近年で言えばトランプ元大統領に限られます。そのくらい今の政府にとって円安はインフレと実質賃金の目減りを招く支持率低下要因と映っているのでしょう。従って、政府はこの160円を防衛すべき水準と認識している可能性が高く、今後も160円前後ではかなりしつこく介入が行われる可能性が高いと考えられます。現在、米国の利下げ期待からドルそのものはそれほど強くありませんから、円買い介入はある程度の効果を発揮すると考えられます。とは言え、今月末の日銀会合で公表される国債買い入れの減額幅が少額にとどまれば、介入程度では止まらない円安に晒される危険性もあり、日銀が当面の鍵を握っています。
【速報】日経平均株価 終値1033円安 今年最大の下げ幅 半導体関連株に売り注文
内田 稔高千穂大学 教授・国際金融論
とは言え、150円大台維持。以前と比べれば超円安のままです。50倍超えも珍しくなかったバブル期のPERに対し、現在は20倍台です。基本的に今後の株価のカギを握るのはインフレの持続性と考えられます。インフレ局面では一般的に企業業績が改善することの方が多いからです。これが株式投資がインフレヘッジの筆頭に挙げられる主因ですが、事実2022年のロシアの軍事進攻以来、日本はもちろんアメリカ、トルコ、アルゼンチンのいずれにおいても自国通貨ベースでの主要株価指数が消費者物価の伸びを上回っています。もっとも、肝心のEPSは日銀の緩和による円安と低金利に支えられてきた面も否めず、今後の正常化のペース、即ち円高と金利上昇の程度とペースによってはEPSが下押しされ、株価が不安定化するリスクもあり、その点には留意が必要です。
米CPI、6月は前月比0.1%低下-前年比では3%上昇
経常収支、5月は2兆8499億円の黒字 予想上回る黒字幅
内田 稔高千穂大学 教授・国際金融論
昨年の同時期に比べ、経常黒字は7割増、貿易赤字は4割減、サービス赤字も2割減、第一次所得収支は1割増と円高材料が目立ちます。また新NISAの証券投資が円安を招いているとの指摘もありますが、証券投資の数値からはそうした痕跡は見受けられません。にもかかわらず未曽有の円安が続いている点に照らせば、足元の円安の主因は実質金利(=名目金利―インフレr率)が大幅なマイナス圏であることによる投機的な動きと言えそうです。今月の会合で国債の買い入れ減額に加え、2年後の政策金利も0.5%未満との市場の温い利上げ観測に対し、日銀が修正を迫ることができない場合、この夏、円安が再加速する危険性が高く、今月末の会合は極めて重要です。
「1ドル=170円」に現実味 円相場の急変に身構える世界
内田 稔高千穂大学 教授・国際金融論
一目均衡表では買いシグナル点灯中。短期的には確かに上値を追いかける公算大です。一方、米経済指標をみますと労働市場の需給は緩み始めており、インフレの減衰も続いています。今の金利差からみれば160円はかなりの空中戦であり、オシレーター系の代表でもあるRSIも買われ過ぎを示しています。上昇相場の終盤といった視点も持つ必要があります。因みに、思い起こせば5月1日の介入は、市場予想を下回った米雇用統計を受けてドル円が下がっているところに追い打ちをかける格好で海外時間に実行されています。今回もそのパターンに警戒を要するでしょう。10人中10人が上がると言っている時ほど実際にはそうはならないのが相場の難しいところであり、面白いところでもあります。
止まらぬ円安、金融市場のFRB支配が鮮明に-日本に打つ手なく
内田 稔高千穂大学 教授・国際金融論
スイスの中央銀行SNBは2022年以降、インフレ抑制を目的に利上げと大規模な自国通貨買い介入を行いました。その結果、米ドル金利の方がスイスフラン金利よりも上昇したにもかかわらず、主要通貨の中でスイスフランは唯一、対ドルで上昇しました。為替は相対比較であり、両者の綱引きですから、もちろん米国の政策に引きずられる部分はありますが、日本が円安を止める為にできることも当然あり、単にそれをやっていないだけです。具体的には、世界的にみても珍しい実質金利(=名目金利-インフレ率)のマイナス状態を少しでもその解消へと仕向けること、正常化スタンスを明示し、過度な円安期待を打ち消すことです。
新NISAで家計の「外貨」保有比率が過去最高。四半世紀で「5倍増」の意味は…
内田 稔高千穂大学 教授・国際金融論
インフレヘッジ手段として、代表的なものに「金」が挙げられますが、そのほかに株、不動産、そして外貨投資が挙げられます。実際、日本ではロシアの軍事侵攻後、消費者物価が6~7%程度上昇しましたが、対円でのドルは4割以上も値上がりしており、ドルへの投資がインフレヘッジとして機能したことになります。一方、今後、日本にインフレが根付く場合(その可能性が高いとみていますが)、円金利の上昇に伴い、円建て資産に回帰する部分も出てくるでしょう。尚、ここ最近、インフレが激しかったトルコ、アルゼンチンでは外貨投資はインフレヘッジとして不十分であった一方、株式投資はこれら2カ国でもその効果を発揮しています。
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