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為替円安、今の段階では「マイナス面が懸念される」=鈴木財務相
Reuters
内田 稔高千穂大学 教授・国際金融論
円安は企業収益(即ち株高)とインバウンドに追い風です。特にインバウンド消費はサービスの輸出に相当しますが、日本で最大の輸出品目である自動車(15兆円以上)、2位の半導体など電子部品(5-6兆円)に割って入る規模で、近年新たに誕生した一大輸出産業といっていいでしょう。もっとも、企業収益への追い風とされる輸出に関して言えば、円安で金額は膨らんでいるものの、数量面でのプラスはみられておらず、輸出産業の設備投資、雇用拡大につながっていない点に留意する必要があります。一方、マイナス面は何といっても個人消費への逆風です。円安による輸入インフレ以上の賃上げがなければ、家計には実質賃金の目減りを招き、実質賃金は24カ月続けての前年割れです。金融危機以来初めて個人消費が4四半期続けてマイナスとなった最大の要因と考えられます。また、円安局面では輸出物価以上に輸入物価が上昇する為、交易条件(=輸出物価÷輸入物価)が悪化し、国内総所得(GDI)の目減りをもたらします。GDPとGDIの差が交易損失ですが、今の円安と資源価格ですと昨年の11兆円を超えてくるでしょう。家計に対して、円安がメリットとなるのは、①輸入インフレ以上の賃上げ、②輸出企業による設備投資や雇用の創出、賃上げの先導など、国民経済活動への甚大な貢献、③家計の株式保有比率の上昇による資産効果、などと考えられます。
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日本経済強くして円高方向へ是正へ、150円超の円安は「安過ぎ」=経団連会長
Reuters
【緊急解説】いま「超円安」が止まらない理由
NewsPicks編集部
内田 稔高千穂大学 教授・国際金融論
円相場の特徴は実質金利(=名目金利-インフレ率)の影響が強い点です。従って、日本がデフレやディスインフレの時、いくら日銀が名目金利を低く抑えても、実質金利が高止まりし、円高圧力が加わります。一方、インフレ傾向になると実質金利が下がり円安に向かいやすくなります。これが日本の景況感と円の方向性が逆行する大きな理由です。もう一つは日本の為替市場が発達しており、海外投資家にとってヘッジ手段が豊富である点です。例えば、新興国の経済成長が見込まれる際、資本流入が活発化しますが、為替市場におけるヘッジ手段が限られることから、投資家はその国の通貨も合わせて買わざるを得ません。従って株価と通貨の動きが一致します。これに対し、日本株を買う海外の投資家は為替ヘッジ付きで日本株を買うことができる為、株を買う際、必ずしも円まで買う必要はありません。ポイントは日本の景気や国力と円相場の動きは異なることの方が寧ろ多いということです。仮に「悪い円安」が生じているとすれば株安、債券安(=長期金利上昇)を伴うケースで、今の円安を国力低下とみる必要性は低いと言えます。もっとも、国際収支の構造が変化しており、円相場の水準が切り下がった可能性には大いに留意する必要があります。
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「悲観は1ドル=230円、楽観は120円」歴史的な円安からの乱高下…今後のシナリオを専門家はどうみる
TBS NEWS DIG
内田 稔高千穂大学 教授・国際金融論
いくつかポイントをまとめました。①日本は資源、食料とも輸入に頼らざるを得ません。その際の国内物価はドル建の輸入品とドル円の掛け算に概ね連動しますから日本の物価に為替は強く影響します。物価の番人たる日銀は表面的には否定しつつ為替相場を無視できないはずです。②インフレ自体は問題ではありません。問題なのは賃上げが追いつかず実質賃金が目減りする場合です。日本ではそれが約2年も続いており、景気回復実感が沸かない最大の要因と言えます。輸入インフレを上回る賃上げがなければ家計にとって円安は逆風です。③一方、円安は企業収益には総じて追い風です。またインフレは株価の押し上げ要因でもあります。従って家計の株式保有比率が米国並みの4割台まであがれば株高による資産効果により、実質賃金の目減りをいくらかカバーできます。但し今のところ日本の家計の金融資産に占める株式保有比率は1割台です。➃円安は日本の製造業に追い風ですが、2011年の75円台から円安に振れた後も日本製が世界を席巻したわけではありません。輸出競争力には為替以外の要因も影響していると考えられます。因みに為替アナリスト時代、多くの製造業とディスカッションを行いましたが、80年代~90年代の日米貿易摩擦を通じ、「円安+輸出増」といった発想を持っていない点が印象的でした。米議会を刺激するだけでろくな結果にならないと悟っているからです。⑤円安を招く低金利は債務者への追い風ですが、日本の場合、民間部門(家計と非金融法人部門)が抱えるネットの債務(金融資産-金融負債)は計1079兆円です。従って1%金利が上昇した場合の利払い負担の増加額は約11兆円です。一方、円安による輸入物価の上昇によって日本の交易条件(=輸出物価÷輸入物価)は悪化しており、そこから巨額の交易損失が生まれます。2022年はこれが約16兆円、昨年が約11兆円でした。今年はこの円安が続くと最近の資源高と相まって恐らく2022年を超えるでしょう。つまり、低金利メリット以上に高い輸入品を「買わされている」のが現状です。⑥円安は世界に対する日本のバーゲンセールを意味します。マンション価格が高騰していますが、買っているのは誰でしょうか。以上を踏まえると円安もどこかの水準からデメリットがメリットを上回り始めると考えられます。介入するということは政府も今がその水準とみているのでしょう。
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【3分解説】円安は158円台に。それでも日銀が「動かない」理由
NewsPicks編集部
内田 稔高千穂大学 教授・国際金融論
日銀が動か(け)ないとすれば、理由はデフレ脱却に向け、政府と一体となって取り組むことを謳った2013年の共同声明およびその政府がデフレ脱却を認めていないことでしょう。2006年に内閣府が国会に提出した資料によればデフレ脱却の定義は「物価が持続的に下落する状況を脱し、再びそうした状況に戻る見込みがなくなること」。これではいつまでたっても逆戻りする可能性があるとの解釈が成り立ち、日銀は動けません。さて、金利を上げると日本経済がもたない、だから低金利と円安を受け入れるしかない、との論調もみられますが、円安が度を過ぎるとかえってマイナスが大きくなります。例えばこの調子で160円が定着し、資源価格も今の水準が続くとした場合、交易条件の悪化により、今年の交易損失は2022年並みの15兆円程度となりそうです(昨年は約11兆円)。この分だけ日本の実質国民総所得GDIはGDPから下押しされます。一方、日本の家計が抱える債務は昨年末時点で388兆円ですから1%の金利上昇で増える利払い負担は約3.9兆円です。ただ金融資産も2141兆円ありますから家計にとっては金利上昇によるメリットもあり、負担はいくらか軽減されます。これに対し、企業はネットで金融資産よりも債務が多いのですが、それでも差し引き674兆円。1%の金利上昇による利払い負担増は約6.7兆円です。企業からみれば120円や130円でも本来は十分な水準。これでもまだ「低金利+超円安」の方がいいでしょうか。日本は食品、エネルギーの自給率が低く、輸入抜きに生活が成り立ちません。従って物価や経済の安定にとって本来、為替の安定は極めて重要なファクターと考えられます。
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