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20年出生数、速報値は87万2683人 過去最少更新の見通し
茂木 良平ポンペウ・ファブラ大学&南デンマーク大学 研究員、助教(少子化研究者)
出生数・妊娠届数が大幅減少ということですが、少子化の問題について考える際には、「ピリオド」と「コーホート」という視点を持つことが重要です。
ピリオドとは、ある指標を測定された一時点で見ることを意味します。例えば、2020年の出生数、2000年の死亡率など。ですので、この記事で議論されているのは、ピリオド指標の話です。
ピリオドの出生数で少子化を議論する場合、気をつけなくてはならないのは、人々の妊娠・出生意図の延期を考慮に入れられないということです。2020年は新型コロナウイルスの蔓延により、子供は持ちたいが今年は辞めよう、と翌年に延期しただけかもしれませんが、延期しただけでも2020年のピリオドの出生数は減少してしまいます。ピリオド指標は、こうした「延期による見かけ上の変化」を非常に受けやすい指標です。
こうした影響が顕著に現れたのが1966年丙午の年の出生数(出生率)です。グラフ(https://cutt.ly/Clj8ttL)を見ると、ガクッと減少しているのがわかると思います。
一方、コーホートは同じ特徴を持った集団を意味し、少子化を扱う人口学では主に同じ年に産まれた集団(出生コーホート)の意味で使われることが多いです。例えば、2000年に産まれた人たちは、2000年出生コーホートと表され、コーホート指標とは、同じ年に産まれた人たちがどのような行動をするかを意味します。
出生の話では、コーホート指標を用いることで、例えば2000年に産まれた人が生涯何人の子供を産むかを示すことができます。指標をコーホート視点で見ることにより、上で説明したピリオド指標の問題点である「延期による見かけ上の変化」を考慮することができます。
これまでの社会的状況や新型コロナウイルスの蔓延によってさらに引き起こされた多数の理由によって、ピリオドでみると2020年は過去最小の出生数になってしまいましたが、コーホート指標でみたときに今生きている人が希望する子供数を得られるような社会にできればいいと思います。
子供を産みたいと思っている方が、産めるような社会になるように、私も研究に励みたいと思います。
仕事と両立 助産師にSOS 出産・育児での離職は損失 企業のサポートさまざま
茂木 良平ポンペウ・ファブラ大学&南デンマーク大学 研究員、助教(少子化研究者)
厚生労働省の資料によると、日本の男性の育休所得率は、1996年の0.1%から2018年には6.2%まで増加しているが、まだまだ低いです。日本の男性育休制度は、世界的にもとても優遇されたものなので、その制度を使えないようにさせているのは「もったいない」と思います。
この記事にあるように、ここまで様々な取り組みをしないと、産休・育休が取得できる雰囲気や社会・企業の仕組みにならないのか、というのは疑問ではありますが(子供が産まれた→自動的に産休・育休とできるのが一番いいですよね)、産休・育休取得率向上のためには長期的な視点が必要なのでしょうか。
参考資料
https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/meeting/consortium/04/pdf/houkoku-2.pdf
https://www.theguardian.com/us-news/2020/jan/29/paternity-leave-us-policy
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