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「働かないドイツ人が経済を停滞させている」─その主張は本当なのか? | 進む労働時間削減は「やりすぎ」か否か
クーリエ・ジャポン
土田 陽介三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 副主任研究員
ショルツ首相を擁するSPDの支持母体であるドイツの主要労組は、週休3日制の導入を主張しています。勤労意欲が落ちている人々が少なからずいることは、確かだと考えています。少なくとも、ドイツの生産性は、それほど伸びていません。しかし一方で、メルケル末期以来の分配政策の強化を受け、ドイツの労働者は身の丈以上の給与を得ている。 ドイツの貿易の半分以上が域内向け、為替変動リスクがありません。しかし実質実効為替レートは上昇しており、域内でも競争力の低下が顕著である。ドイツの高インフレは深刻であることは、ここからも分かります。つまり、働く以上に所得を得ている帰結が、高インフレです。 もっと言えば、2021年以降のドイツでは、信号連立の下で、緑の党が旗を振るエネルギー政策が失敗し、さらにSPDが旗を振る賃金政策が失敗している構図です。SPDと緑の党が、自らハルツ改革の貯金を食い潰している歴史の皮肉を感じます。まさに1980年代に逆戻り。もはやマルクがないだけに、名目レート切り下げも不可能。かなり厳しいと私は見ています。 因みに、労働生産性が伸びている主因は、分母の過小評価にあるのではないでしょうか。ドイツでは、法律の外で働く人々が急増しており、彼らが付加価値を支えている側面が強いです。
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