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パウエル米FRB議長の会見要旨
井上 哲也野村総合研究所 金融デジタルビジネスリサーチ部 シニア研究員
既に配信したレポートでも触れましたが、パウエル議長は、声明文の修正を通じて利上げ停止の可能性を示唆しつつも、利上げ後の政策金利が物価目標の達成のために十分引き締め的かどうか不確実と説明したり、当面の利下げは不適切と示唆したりすることで、今後の政策運営に最大限の柔軟性を確保する意図を上手く実現したように感じます。
一方で、一連の銀行破綻に関して、金融安定の面は一区切りついたとして楽観視しつつ、今後は信用収縮に伴う実体経済への影響に焦点を当てる考えを示した点はやや気になりました。不安心理の抑制が目的であった可能性もありますが、預金を含む資金フローの変化が金融システムに与える影響などについては、なお注意する必要があるように思います。
米財務長官、全預金への保険適用や上限引き上げに否定的
井上 哲也野村総合研究所 金融デジタルビジネスリサーチ部 シニア研究員
イエレン氏が確認した原則には誰も異論はないと思いますが、現実として生ずる事態との間では、どうしても受け入れ難い面も残ります。
第一に、大手金融機関は国際金融市場への影響が大きいという意味でシステミックである一方、中小金融機関は各々の地域経済に重要な影響を持つのでシステミックということになると、最早全てがシステミックとなります。
第二に、大手金融機関の破綻が国際的なショックの波及に起因する場合があることや中小金融機関の破綻が地域経済の疲弊による場合があることを考えると、逆にシステミックな金融機関ほどリスクに直面する恐れが大きい面もある様に見えます。
いずれにせよ、規制当局が預金を部分的にしか保護しない方針を堅持する限り、事前の監督のあり方に波及しうる問題であるように思います。
UBS、クレディ・スイスを約4300億円で買収へ-歴史的銀行統合
井上 哲也野村総合研究所 金融デジタルビジネスリサーチ部 シニア研究員
世界金融危機の際のUBSと同じく、今回のクレディスイスも主として国際業務に起因する問題によって、最終的に政府の支援を仰ぐ事態に陥った訳です。現時点で、公的資金が直ちに投入される訳ではないようですが、債務保証や流動性供給などの支援は行われると報道されています。
こうした事態に対してスイス国内の世論がどのような反応を示すのかが注目されますし、FINMAやSNBが新生UBSの国際業務にどのような監督スタンスで臨むのかも注目されます。
オフショア型の国際金融都市としてのチューリヒの機能はスイス経済に不可欠である一方で、同様な問題が繰り返されるようでは国内の政治が持たないリスクもあるように感じます。
ECB、0.5%利上げ決定 物価対応優先 市場の緊張「注意深く監視」
井上 哲也野村総合研究所 金融デジタルビジネスリサーチ部 シニア研究員
ユーロ圏のインフレ圧力は、食品や工業製品、サービスと広範かつ減速の兆しが見られない点で、今や米国よりも深刻なので、大幅利上げの継続には合理性があります。
また、クレディスイスの信用不安は主としてリスク管理やビジネスモデルに起因し、固有の事象であるだけに、SNBなどが適切な対応を取る限り、ECBの金融政策に影響を及ぼす案件ではないことも事実です。
それでも、ECBが政策金利のフォワードガイダンスを放棄し、今後は経済だけでなく金融のデータも考慮に入れる方針をわざわざ入れた点は、ECBによる警戒感を示唆しています。
また、今回執行部が改訂した経済成長率見通しは、2024年以降が若干下方修正されているだけに、政策金利の最高到達点やその後の政策金利の運営に少なからず影響することが考えられます。

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