フィッチ、中国格付け見通し「ネガティブ」に下げ 成長にリスク
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- 1フィッチは中国の格付け見通しを「ネガティブ」に引き下げ、財政見通しに対するリスクが高まっていることを理由に挙げた
- 2ムーディーズも中国の格付け見通しを「ネガティブ」に変更し、債務問題や不動産部門縮小に関連したリスクが影響しているとした
- 3中国が新型コロナウイルス感染予防措置で景気が悪化する中、財政赤字や政府債務拡大が増加し、経済見通しの不透明感が高まっている
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野村総研が中国のシンクタンクである中国金融40人論壇と共同で開催してきた「日中金融円卓会合」でも、過去にしばしば議論してきたテーマであり、決して新しい問題でないだけでなく、以前から予見可能な政策課題であったと思います。
各会合の議事要旨は野村総研のホームページで公表しています。両国の専門家による議論にご関心のある方は是非ご覧ください。
その意味では、問題の所在が明確になった後に、ずいぶん時間が経ってからそれを指摘することにどの程度の意味があるのか、個人的には疑問も少なくありません。
むしろ、意味があるとすれば、この問題に対してどのような解決策がありうるのかを考えることですが、その際にも中国当局が現実的に取りうる手段を理解した上で議論しなければ意味がありません。
例えば、日本のような枠組みの下であれば、問題の深刻な地方政府に対して中央政府が選択的に財政支援を行うことが有用という結論になりますが、中国のように分権的な枠組みの下ではそうした手段の活用には制約があり、その本格的な発動には大きなpolitical capitalが必要と見られます。
その意味では、中国の政府がこの問題の解決について、政治的な視点も含めてどの程度の優先度合いを付与するかが、大きなポイントであるように見えます。
注目のコメント
フィッチのリリースにありますが、仮に2024年の一般政府財政赤字のGDP比率が7.1%にまで拡大しますと、2000年の8.0%以来、24ぶりの悪い数字です。
中国が世界経済の成長を牽引していた2006~2014年の間、同国の社会インフラ整備のための公共投資拡大にもかかわらず、一般政府財政収支のGDP比率は一貫して黒字であり、平均してプラス1%程度で推移していました。地方政府が、不動産開発による収入を財源とする、いわゆる「土地財政」が可能だったからです。
フィッチのリリースによれば、地方政府の土地財政が細ることで、財政支出の中央政府依存が高まる見通しだそうです。これは、中国の景気回復への足かせとなり、中国向けの輸出の大きいオーストラリアや日本の経済にとって困った問題です。