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割高な中古マンションを瞬時に見抜く「LINE査定法」とは?
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深谷 十三株式会社 不動産流通システム 代表取締役
数年前より多くの会社でビッグデータやITを駆使して理論的な不動産価格の算出に取り組んでいますが、売買の現場に携わる私には、これらの理論値が実際の売買にどのように関わるのかイメージできませんでした。この記事あるLINE査定法はそれらとは違い、実際の売り出し物件の、それも大手業者が一時的に囲い込む物件までも網羅している点で、現場感覚に近いものだと思います。 ただ実際の現場では、売出価格に極端な乖離がない限り、買主が売主に対して多少の値引きを要求するも、最後は売主優位で妥結しているケースが多いように思います。これは売主は価格が満たされれば誰に売っても良いと考えるのに対して、買主は物件を指定してのオーダーとなり、その物件が欲しければ売主の条件をのまざるを得ないからです。売主も高すぎて売れなければ価格を見直しますが、それは不特定多数に対してであり、囲い込みなどのバイアスが掛からない限り対象を絞りません。 買主も諦めて他の物件を選択することもあるでしょうが、この記事にもあるように、たいていの物件が買主の理想とする金額に対して割高なので、結局もとの物件に戻るケースを多く見受けます。同一マンション内に類似物件が売りに出されるのを待つのも手段ですが、間取りや眺望さらには室内の状況まで含めて気に入ってしまうと、なかなか代替えが利きません。 誤解を恐れずに申し上げると、ビックデータやIT技術を駆使した不動産価格の算出は単なる理論値を示すだけで、売買価格に与える影響も限定的だと私は考えます。また現在の精度では導く金額に幅があり、むしろ従来の取引事例を基にした人手による査定の方が、最終的に成約した金額に対して正確かもしれません。 多くの方が不動産の非対称性を解消するために指標価格の表示が必要だと言っています。ただ、たとえ飛躍的に精度が高まっても、似たものはあっても同一物件が存在しない不動産では、需給により全体の相場は変動するも、最終的に成約する価格は今後も売主主導で決定されるのではないでしょうか。 これはあくまでも、私の守備範囲の居住用の実需に限った話であり、利回りや資産価値を重視する投資家の方に向けての内容ではありません。また話がそれるので書きませんが、非対称性を生み市場を歪めているのは、売主と買主との間での情報格差ではなく、不動産業者と消費者との間で発生している格差です。
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