日本全国のスタートアップを知る:沖縄編
『日本全国のスタートアップを知る』をテーマに地方のスタートアップにフォーカスするシリーズ。
第一回では、北海道のスタートアップシーンを紹介。エコシステムは未成熟ながら、北海道ならではの事業を展開するスタートアップが大型調達に成功し始めていることを取り上げました。
第二回の本記事では、沖縄のスタートアップにフォーカスします。
これまで、民間でスタートアップを支援していく動きはありましたが、一体感がなく、エコシステムの拡大にはつながっていませんでした。
しかし、2022年から産官学が一体となって、スタートアップ・エコシステムの構築に動き始めました。
☕️coffee break
まずは沖縄拠点のスタートアップが直近5年間にエクイティファイナンスで調達した総額を見ていきましょう。
2018年:17億円
↓
2019年:8億円
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2020年:9億円
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2021年:11億円
↓
2022年:8億円
出所)INITIAL(2023年1月19日時点)
2022年の資金調達総額では、秋田・福島・青森に続く、全国24番目となっています。
直近5年で資金調達総額があまり変動していないのは、企業数が根本的に少ないためだと思われます。
①前回取り上げた北海道の場合、未上場スタートアップは232社あるのに対し、沖縄には123社しかない
②シリーズCに進んでいるスタートアップが1社もなく、ほとんどがシード・アーリーステージで、大型の資金調達が行われていない(シリーズBでも3社のみ)
それゆえ、すでに一定の規模まで育ったスタートアップをさらに大きくすることよりも、まずは立ち上げ・成長軌道に乗せる支援に徹する必要がありました。
2017年から琉球銀行が主導して、沖縄でスタートアップを創出・育成するプログラム「OKINAWA Startup Program」がスタート。
2021年には「沖縄スタートアップ支援協会」が設立されるなど、取り組みは続いてきましたが、あくまで民間のみの動きで、官によるトップダウンの政策支援はありませんでした。
🍪もっとくわしく
そんな沖縄で、2022年から沖縄県庁が本格的にスタートアップ創出に力を入れ始めました。
2030年までの沖縄振興の方向性を決める『新・沖縄21世紀ビジョン基本計画(沖縄振興計画)』を策定。産業の国際競争力向上を図る上で、スタートアップの創出が重要な役割をはたすと初めて記載されました。
さらに産官学45団体が連携した「おきなわスタートアップエコシステム・コンソーシアム」を発足させ、10年で100社創出を目標に設定しました。
玉城デニー知事も「日本一リスクを取って挑戦できる環境を作る」と話すなど、スタートアップ・エコシステム構築に向けて本腰をいれています。
🍫ちなみに
今、沖縄のスタートアップで企業評価額が最も高い5社を見ておきましょう。
1. マギー:小売店のID-POSデータを活用したパーソナル広告・データ分析
評価額59億円、総調達額14億円(2022/2/21時点)
東芝テック、凸版印刷と資本業務提携
2. Payke:商品バーコードを利用した商品情報多言語化サービス
評価額34億円、総調達額12億円(2018/09/02時点)
凸版印刷と業務提携、NTTデータから資金調達
3. Waqua(旧ワイズグローバルビジョン):小型淡水化装置、水インフラ
評価額30億円、総調達額8.6億円(2023/2/28時点)
ソニーイノベーションファンド、戸田建設から資金調達
4. 由風BIOメディカル:高感度体外診断薬の研究開発
評価額17億円、総調達額1.6億円(2022/11/24時点)
日立製作所と日立グローバルライフソリューションズと連携
5. レキオパワー:小型超音波エコーを開発
評価額14.4億円、調達額2.6億円(2020/12/13時点)
発展途上国での事業展開
5社それぞれが、早期から大手事業会社と連携していたり、沖縄県内に閉じずに事業展開をしていることが特徴的です。
これらの企業が成功事例になると、それに続くスタートアップが生まれ、エコシステムも成熟していくかもしれません。
サムネイル画像:Unsplash/KIBOCK DO
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