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【ルポ】経済再開。「ニューノーマル」に踏み出したマレーシア
NewsPicks編集部
Unno Asami記者、ディレクター
マレーシアでは今週末、1ヶ月に及ぶラマダン(断食月)が明け、ハリラヤと呼ばれる一年に一度の盛大な祭りの日を迎えました。 例年であれば故郷に帰り、大家族や親族が一堂に介してマレー風のご馳走を食べ、多くの人を自宅に招いて旧交を温めるオープンハウスを催すのが習わしです。 しかし、マレーシア政府は州を跨いだ移動を原則禁じており、今年のハリラヤは「Stay home」でモスクへの礼拝も避け、自宅で静かに過ごすことが政府により推奨されました。 多くのマレーシア人家族はzoomを使って離れ離れに暮らす親族同士を繋ぎ、フィジカルコンタクトを避けながらテクノロジーを駆使して、繋がりを密にする工夫を凝らしていたほか、屋台などが立ち並ぶラマダンバザールも「E-Ramadan」とオンライン化され、既存のeコマースプラットフォームだけでなく、個人がwhatsappなどのSNSを使って自慢の手作り菓子をラッピングして売る動きが活発化するなど、東南アジアではデジタルへの壁が若者世代を中心に非常に低いことを、危機下でより強く感じさせられます。 一方で、隣国シンガポールと同様に、ここで最近で顕在化しているのは、バングラデシュやミャンマーなどからの外国人労働者の感染拡大です。 狭いアパートで集団で暮らす外国人労働者らの間で、感染のスピードは徐々に上がっており、建設業や卸売り市場、飲食業に至るまで、多くの分野で外国人労働者の人手に頼る構造を見直す動きも出始めています。外国人労働者の雇用から、地元のマレーシア人の若者の雇用に切り替える動きなども徐々に出始めており、生活様式の「ニューノーマル」だけでなく、雇用形態にも新たな地殻変動が地味に起きる気配が漂い始めています。
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【教養】ソーシャルを操る男、「仏教のビンラディン」の正体
NewsPicks編集部
Unno Asami記者、ディレクター
急進派の仏教集団「マバタ」のウィラトゥ師にフォーカスしましたが、実はこの流れはスリランカ、ミャンマーだけには止まりません。 日本人にも馴染み深い国・タイでも、マレーシア国境に近いイスラム教徒も多く住むエリアで、仏教徒とイスラム教徒の対立が長年続いています。 今回、未来の予測データなどマクロ的な視点と、市民の心の奥底を探るというミクロの視点とを掛け合わせて、少しでも宗教という摑みどころのない深く大きい課題を、出来る限り身近に捉えるきっかけになればと取材をしましたが、まだまだ掴みきれないことだらけでもあります。 ドキュメンタリーに登場した、息子を亡くしたイスラム教徒の父親の言葉、「私は犯人を憎まない、もう赦しています。イスラムの教えは平和なのです」。これは、ニュージーランドのテロで妻を亡くしたイスラム教徒の男性が言った言葉と同じでした。信仰というものは想像を遥かに超えるもので、きっと永遠に全てを理解することはできないかもしれません。 ただ、一つ最後に忘れずにいたいのは、過激な思想が加速して起こる負の側面ばかりでなく、この記事の最後に登場した、融和を求める多くのサイレントマジョリティである仏教徒とイスラム教徒の存在、彼らにこそ希望の光を見出していければと思います。 追記: 今回の記事には勿論全てを盛り込むことは出来ないので、特にテーマを絞って執筆させて頂きましたが、スリランカ内戦に関しては、アジア経済研究所の『内戦終結後のスリランカ政治―ラージャパクサからシリセーナへ』の情勢分析レポート、JETRO分析他、南アジアや過激派テロ対策専門の教授など多数参考にさせて頂きました。 記者は研究者ではないので論文を書くのではなく、あくまでどうやったら硬い話題をいかに噛み砕いて皆さんにお届け出来るか、膨大な情報と分析から1ミリを抽出する作業でもあります。過去の内戦に関しては、激戦地だった北部ジャフナまで行って取材をしておりますが、今回の記事とはテーマが異なるため盛り込み切れていないことご承知戴けましたら幸甚です。地味な記事でしたが読んで頂き、心より感謝致します。
507Picks
【必読】今こそ学ぶ、フェイクが生む「教養」としての宗教戦争
NewsPicks編集部
Unno Asami記者、ディレクター
日本で報道に携わっていると、海外ネタを扱う際に必ず「日本との関わり」が求められがちですが、勿論興味を持ってもらうためにとても大切なことであるものの、関わらないところで大事な知るべきニュースは日々沢山起きています。 世界を包括的に理解しようとするとき、遠い国の関係ない話、ではなく、必ずどこかで繋がってくる重要な現実。 今回、スリランカでの事件取材を通して描きましたが、決して一部の「過激派」を生むのは仏教だけではなくあらゆる宗教、民族に言えることです。普遍的に理解するときにまず机上の空論ではなく、実際に何故彼らが憎悪の連鎖を招く事態となるまで「闘う」のか、あくまで一般の市民の心の奥底を探ることから理解していければ、と目線を可能な限り落として掘り下げてゆきました。 取材の当初は「宗教の違いは関係ない。イスラム教徒とも平和に暮らさなければいけない」と穏やかに語っていた仏教徒夫婦。2時間程じっくりと話し込んでいくと、次第に心の奥底に抱える不安と恐怖が顔を覗かせ始めます。 「イスラム教徒は、仏教の国を乗っ取ろうとしているのだ。スリランカをアラブの国にしようとしているのですー」 これが、過激な思想の極端な差別主義者から発せられた言葉ではなく、あくまで温厚な一般市民が普段口にせず奥底にしまい込んでいた感情であることが、最も大切なポイントです。 第2章の記事で執筆させて頂いていることは、第1章に掲載したショートドキュメンタリーにぎゅっと詰め込まれています。 文字になっていることが、本当に大袈裟でもなく実際に起きていることだ、ということを、身を持って理解して感じて頂けると思いますので、是非、映像の持つ力も体感してみて頂けたら光栄です。
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【新】旅先で日本人だけが知らない「教養」としての新・宗教戦争
NewsPicks編集部
Unno Asami記者、ディレクター
なかなか地上波ではお送りできない、「動画」でも是非感じて頂きたいテーマです。東洋の真珠とも称えられる、発展著しいスリランカで去年発生した仏教徒とイスラムの衝突。世界では大きく報じられた、イスラム教徒の若者が亡くなった事件を通して、人々の心に潜む宗教の深部に迫ります。 冒頭の2100年予測は、あくまで遠い未来の予測。ただ、そうしたデータを裏付けるような「イスラムへの漠然とした不安や恐怖」が、私たち日本人の想像を超える次元で世界には実際に存在します。そして、それに付け込んだ「憎悪の連鎖」がSNSを通じて加速している現実を、現場のリアルを通じて表現できたら、とスタートした取材。決して小さな島国の現象にはとどまらない、世界の今を理解する一つのきっかけも浮かび上がってきます。 VTRに登場する温厚なスリランカ人の一家からは、いかにSNS上に飛び交うデマやフェイクニュースが彼らの思考回路に影響を与えているかが垣間見えてきます。是非ご覧下さい。 先日のニュージーランドのテロ事件を含め、民族・宗教がなぜここまで人々を突き動かすのか。現代においては、そこにSNSという”凶器”が介在している状況を、本特集を通じて感じてもらえると幸いです。
1530Picks
【人権】世界から非難、オーストラリアの無慈悲な難民対応
NewsPicks編集部
Unno Asami記者、ディレクター
記事で短く触れていますが、オーストラリアは年間で約1万人以上の難民を受け入れている他、2015年のアボット政権下では1万2千人のシリア難民の受け入れを表明。以降ペースは緩かったものの順調に豪州国内への定住を進めてきました。 施設の取材を始めたきっかけは、そうしたメルボルンやパースで暮らすシリアやアフガニスタン難民の方々への取材を行った時の彼らの訴えからです。既に受け入れられたいわゆる正規の難民たちが相次いで指摘してきたのが「私たちと同じ境遇の難民たちが施設に何年も収容されたままでいる。この実態が改善されないと自分も心穏やかには暮らせない」というもの。実際、施設内には難民認定されているにも関わらず定住先の国が決まらずにいる方が多く、既に家族が数年前にオーストラリアに難民として受け入れられ住んでいるものの認定が厳格化した以降、自分は認められず施設に未だにいるといったケースもありました。 豪州始め、各国のこの施設に関する報道は今かなり過熱していてほとんどがこの施設の過酷な実態を指摘するものですが、かたや豪州としては「国際社会での貢献」という世論に押されて相当数のシリア難民を受け入れている経緯もある。受け入れの是非自体に関しては慎重な議論が必要ですが、施設については4年半以上も難民認定されている人たちが収容されていることを鑑みても、早急に対応策が練られるべき事態です。各国で盛んに報じられているこの事態が日本ではあまり報道される機会がなく、米国や欧州だけではない揺れる難民受け入れの実態を少しでも知るきっかけになればと思います。
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【日本】難民問題がもはや他人事ではない理由
NewsPicks編集部
Unno Asami記者、ディレクター
記事に出てくるミャンマー人女性は、日本語学校に通っていたもののビザが切れる前に就労目的で「難民申請」をしている状態でした。実はこのような例は少なくなく、難民申請6カ月後から就労が認められている制度を利用して申請するケースが増えていると言われています。留学ビザでは原則週28時間しか働けないところ、難民申請すれば半年後からフルタイムで働ける特定活動ビザに変更できることが背景。 印象的なのは、彼女に悪びれた様子がないこと。「母親が病気がちで私が稼がなければいけないので私は困ってます。だから”難民”と言えると思います」いわゆる偽装申請ではブローカーが”難民申請理由”のマニュアルのようなものを用意しているケースもあるとされ、その場合は同一の地域から皆ほぼ同じ申請理由で書類を提出してくるそうですが、彼女の場合はお世辞にも上手いとは言えない理由なので、ただ「働きたくて」難民認定基準を良く知らないまま申請に及んでいる可能性もあります。ただし、こうしたケースが増えることで、逼迫して援助を求める状況下の本来難民認定されるべき人たちの審査に係る時間が長期化しているのも事実です。 就労を斡旋したとして入管難民法違反で摘発された日本語学校もあります。法務省も、この制度を悪用した就労目的の来日が増加しているとみて制度の運用を変えて厳格化に乗り出す方針ですが、一方で難民も働きたい意思があるのは当然だとの指摘も。一筋縄ではいかない複雑な問題です。 大手企業でも難民を積極的に雇用する例なども出てきていますが、まだ母数自体が諸外国に比べても多くない今、欧州の事例などをフラットな視点で参考にしつつ、この問題に関しての興味・議論がより深まればと思います。
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