電動キックボードの米「Bird」、最速ユニコーン→IPO→破産申請
電動キックボードや電動自転車を展開する米Bird Global(バード・グローバル)が12月20日(水)に破産申請を行いました。
同社は2017年に設立され、わずか2年で評価額25億ドルのユニコーンに。2021年にはSPAC(特別目的買収会社)との合併を通じて、ニューヨーク証券取引所に上場しました。
しかし、2023年9月に上場廃止されると、わずか2ヵ月後に破産申請を行ったのです。
一体、何が起きていたのでしょうか。
☕️coffee break
Birdは長期的かつ、持続的な成長に向けて、米連邦破産法11条(Chapter 11)を申請し、事業・財務再編を行うことを発表しました。
今回、欧州・カナダ事業は対象外で、米国事業で資産売却手続きを進めながら、事業運営を継続します。
創業者のTravis VanderZanden(トラヴィス・ヴァンダーザンデン)氏は、配車サービスのLyftでCOOを務めたのち、競合Uberで国際成長担当VP(バイスプレジデント)を経て、Birdを創業しました。
特徴はそれまでの電動キックボードよりも耐久性を高める技術を有していたことや、データの収集・活用で交通最適化・収益化に取り組んだことです。
こうした魅力から、一気に利用者を獲得し、当時史上最速の立ち上げから1年足らずでユニコーンに。2019年には著名VC、Sequoiaをリード投資家とするシリーズDラウンドで評価額を25億ドル超にまで引き上げて資金調達を行いました。
当時、Sequoiaからは現在シニアスチュワード(グローバル責任者)を務めるロエロフ・ボタ氏がBirdの社外取締役にも就任していたことで、世界的にも注目されていた1社だったのです。
🍪もっとくわしく
勢いそのままにBirdは2021年にSPAC(特別目的買収会社)との合併を通じて、ニューヨーク証券取引所に上場しました。
しかし、コロナ禍で外出者が減ったことで利用者が急減し、業績が低迷し、株価も右肩下がりに落ち込んでいったのです。
加えて、2020年・2021年には売上を水増ししていたことが、2022年に発覚。上場時には20億ドル以上あった時価総額は、2023年に入り、平均時価総額が30日以上連続で1500万ドルをも下回ったのです。
これにより、ニューヨーク証券取引所の上場基準に抵触し、2023年9月に上場廃止にならざるを得なくなったのです。
この時時点では追加で資金調達ができれば、事業を継続することは可能だったものの、投資家がBirdに投資するには大きなトラブルが懸念事項としてあったのです。
それはキックボード利用者が事故に巻き込まれたことで損害賠償を求める訴訟が100件以上提起されていたことです。
先述したようにBirdは他のキックボードサービスよりもテクノロジーで安全性の向上に取り組んでいました。
例えば、ジオフェンシングと呼ばれる技術で、予め特定のエリアを指定すると、Bird側から強制的に車両を減速させたり、停止させて事故防止に取り組んでいました。
しかし、それでも飲酒運転や交通マナー違反などは防ぐことができず、交通事故・死亡事故が何件も発生したのです。
そうした課題に加え、インフレによるコスト上昇がさらに重くのしかかり、利益率を圧迫したことなどから、ついには破産申請に追い込まれました。
🍫ちなみに
2021年秋からBRJ社が東京・多摩エリアと千葉の一部エリアでBirdのキックボードを展開しています。
同社はBirdと資本関係はなく、日本での営業ライセンスをもとに事業展開をしており、本日(12/21)も新たなポート(駐車スペース)の開設を発表しています。
🥳NEWポートOPEN🥳
— BIRD JAPAN 公式アカウント (@birdjp_official) December 20, 2023
立川市富士見町にある『パークアベニュー桜』
ファミリーマート富士見町店の向かいにあります!!
是非ご利用ください😆🛴 pic.twitter.com/7mDqJeo6Nt
BRJは都市部ではなく、地域密着型で展開することで、突破口を見出そうとしていましたが、今後の展開は現時点では不透明です。
日本ではLuup(ループ)が先行していますが、脅かす企業は台頭するのでしょうか。
サムネイル画像:Birdメディアキット
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