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中国アプリを排除する米国の大統領令は、デジタル世界の分裂を加速する
澤田 翔インターネットプラス研究所 所長
分裂は問題解決のひとつとして自然に発生したものと考えています。中国を除くほぼ世界でFacebookやGoogle、Twitterなどのサービスが使われていますが、各国ごとの法規制に沿った運用は難しく、実務的にはアメリカの法律で解釈されることがほとんどです。海賊版流通やマネーロンダリングなどを企む犯罪者は国同士の法律の違いや国際捜査の難しさを突いて市民に悪事を働きます。中国はそうした犯罪行為を取り締まるために「中国で見られるサイトは中国の司法権が及ぶ」状態にするためにGFWを敷いたのが理由のひとつです。そうした法秩序の裏づけがあるからこそ、中国ではデジタルサービスが急速に普及していったのです。これに倣い日本を含めた諸国がそれぞれ閉鎖的なネットワークを作ることは賛成しません。自由な情報流通とビジネスこそがテクノロジーと文化の礎であるからです。しかし、このまま「統治ないインターネット」を続けて問題解決を先送りすることもまた回避すべきです。安心・安全なインターネットを分離せずに国際協調でつくるための取り組みが期待されます。
米、香港行政長官ら11人に制裁 自治侵害などで
澤田 翔インターネットプラス研究所 所長
米国の制裁でよく目にする「米国内の資産凍結、米国銀行との取引拒否」ですが、これはSDN(Specially Designated Nationals and blocked Persons)というリストに掲載されたことを示します。米国の金融機関はSDNに掲載された人との取引が禁じられるという規制なので「米国にある(隠し)資産を狙い撃ちしてる」ようなイメージですし、直接的には他国の金融機関を規制する法律ではありません。
ところが貿易で米ドルによる決済が求められるなど米ドルを送金するとき、それが日本や中国など米国が関与しない取引であっても「中継銀行」として米国に支店を持つ大銀行が関与するのが現代金融システムの一般的な設計です。中継銀行がSDNを参照する以上、米ドルを取り扱う世界中の金融機関もまたSDNを参照して制裁対象の外為取引を拒否することになるのです。
今回の制裁は行政長官名義で輸入する政府資材などドル建てで決済しているもの全般の取引に影響を及ぼすため、インパクトは十分に大きいです。
米、中国IT大手と「取引禁止」 大統領令発出、45日後に
澤田 翔インターネットプラス研究所 所長
米政府による TikTok / WeChat の締め出しについて「GFWを敷いてる中国と同じじゃないか」という意見が散見されますが、中国ではWebサイト構築が許可制であり、TwitterやFacebookが許可をとらずに営業してたから締め出されただけです。(許可をとっているiCloudやOffice 365は中国でも問題なく使える)
許可には「中国の法律にそぐわない発言は配信しない」といったガイドラインがあり、それに沿ったコンテンツのレビュー体制の構築が必要です。(コンテンツのレビュー自体はポルノや自殺幇助コンテンツの削除などどこの国でも行われています)
「何を守ればアメリカでビジネスができるか」という面が曖昧なまま「リスクがある」という建て付けだけでサービスが閉鎖されるような事態となっている今、中国資本企業のみならずあらゆる外資企業がアメリカでのサービスにリスクを抱えることになってしまいます。ネット主権についてオープンな場での議論が求められます。
公取審査で見えた「PayPay」ひとり勝ちの構図、シェアは60%に
澤田 翔インターネットプラス研究所 所長
公正取引委員会の審査はこれまで「産業寡占が起きないかどうか」という観点で行われてきました。デジタルの時代においては集約こそが強さであり、単に市場シェアが大きいことをもって不適切とみなすべきではありません。世界で強さを見せるデジタル産業は多数のデファクトスタンダードで成り立つ水平分業が主流であり、特定分野に特化した寡占によってデジタル産業の成長が落ち込むことがないからです。
今後、公正取引委員会はプラットフォームの開放性を審査の対象にすべきです。例えばPayPayなどのスマホ決済サービスは、その基盤を使いたいと望む事業者に対してオープンで平等な対応をしてきたか、サービス連携を効率化させるための取り組み(技術情報の公開や標準化など)に取り組んできたかなどが評価のポイントになるでしょう。
「自社グループで全て賄います」というメジャープレイヤーが垂直統合して日本のパイを分け合うのではなく、特定の領域に強みを持つプレイヤーが世界のパイを広く薄くとりにいくという方針をもって産業育成を促していただきたいです。
大手4銀行、送金手数料下げへ 個人の少額決済、スマホ活用
澤田 翔インターネットプラス研究所 所長
日本での手数料はアナログ時代からの「手間賃」の考え方なので、1円を送金しても10億円を送金しても数百円の手数料をとっています。デジタルの時代には手間はかからないですがリスクはあるので「リスク代」として送金額に応じた%課金が増えてきており、ヨーロッパや中国は%課金ですし、クレジットカードやモバイル決済も%課金です。
例えば中国では0.2%です。1000円の送金に対して2円ですが30万円だと600円なので給与振込にかかる手数料はそれほど変わらないと言えます。「少額は現金、高額ならクレジットカード、超高額は銀行」という日本の取引慣習は銀行手数料の体系がアナログ指向なことにありそうです。
NORMAL
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