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たった5年で業界トップまで駆け上がった[PayPay]その「拡大」と「課題」
白石 陽介株式会社ARIGATOBANK 代表取締役CEO / 東京都 デジタルサービスフェロー
ローンチ時のPayPayは、資金力を全面に生かしたマーケ施策と、圧倒的な営業力(と営業の数を力にする為の極限まで営業が簡単になるようなキット・ツール類の開発と展開力)が成長の中心でした。
ゼロから立ち上げる決済サービスですから、まずは、認知向上と加盟店開拓をしなければなりません。加盟店獲得が先かユーザ獲得が先かは当時社内でも喧々諤々の議論はあったと記憶していますが、何れにせよ両方が揃わないとグロースしないのは自明です。そして、中途半端に資金投下せずに一気に立ち上げるという決断が100億円CPに繋がり、結果、大きな話題になったと記憶しています。
PayPayは、100億円CPを始めとした派手なCPやCMのイメージが強いと思いますが、本当に凄いのは、そういった派手な露出でお得を全面に打ち出したイメージを作りつつ、それぞれのCPをきちんと分析した上で、どういうユーザ層を増やすべきなのか、新規を増やすのか定着率をあげるべきなのかといったことを、細かく施策に落として設計し、フェーズ毎に地道な数字の積み上げをしていっていることが重要なポイントだと思います。
また、プロダクトも大玉の機能開発や、外部連携強化だけではなく、地道なU/Xの向上をローンチ後から常に続けています。ぱっと触っただけでは気づかないような画面の視認性向上やアクションの変更等、数えればきりが無いと思いますが、トップダウンの大玉案件が大量にある中で、これほど、地道な改善にきちんと開発リソースをさくことができているプロダクトは少ないのではないでしょうか?
こうして、派手な施策と地道な数字の積み上げ・改善のサイクルを、プロダクトとビジネスが一体となって回し続けているからこそ、多くの人に受け入れられるサービスになっていったのだと思います。
最後に、記事に対するコメントになりますが、AlipayのようなSuperAppを志向していることは、PayPay発表当時から言われていることですが、単純に中国やインドのマネをしたところで、マーケット環境が全く異なりますから、成功はできません。PayPayは、海外の成功事例に学びつつ、日本で受け入れられるように独自に進化を遂げてきたからこそ、これほど多くの方に受け入れられたのだと思いますし、これからも独自の進化を続けていくのだと思います。
SBIがサークル社と包括的業務提携へ、USDCの日本での流通目指す
LINEヤフー、個人情報流出発表 不正アクセスで44万件か
白石 陽介株式会社ARIGATOBANK 代表取締役CEO / 東京都 デジタルサービスフェロー
今回のケースでは、プロダクション環境ではなく、社員向けシステムを共用化していた事により、NAVERへの不正アクセスが、LINEヤフーにも波及したとのことですが、これは、NAVER側と、LINEヤフーの完全分離ができていなかったという事だと考えられます。
これは、今回の不正アクセス44万件という問題よりも、2021年にZHD主導で調査を行い個人情報保護委員会にも報告したLINEのユーザデータ越境問題について、国内化を行うと宣言していたにも関わらず、韓国からのデータアクセスルートがあったという事に対して、どう説明し解消するのかという、より根深い問題の解決を求められます。
メルカリ、スキマ時間で働く「スポットワーク」参入。給与デジタル払いへ
白石 陽介株式会社ARIGATOBANK 代表取締役CEO / 東京都 デジタルサービスフェロー
給与デジタル払いのユースケースとして最も相性が良いのは、スポットワークでの支払いです。
ペイメントサービスの定石として、お金の"入り口"と"出口"のをどうやって抑えていくかが重要なわけですが、楽天やLINEヤフーが、個社の単位で事業を磨き上げた上で、繋いでいっている印象に対して、メルカリはグループで一体となった循環モデルの中で、足りないピースを着実に作っている印象があります。
実需を作っていく事で関与経済規模を大きくしていくという戦略は、インセンティブを駆使したパワープレイよりも時間はかかるもののユーザの定着率が高く事業継続性を高めやすい方法だと思います。
都庁は「原始時代」だった 元ヤフー会長・宮坂学副知事が語るデジタル化の現在地と展望
白石 陽介株式会社ARIGATOBANK 代表取締役CEO / 東京都 デジタルサービスフェロー
宮坂さんが参与になられた時に、キャッシュレス化のことで話聞かせてよと言われ、都庁に伺った際、wifiもノートパソコンもないんだよ!と仰っていたのをよく覚えています。
それから4年たった今、wifiやタブレットの導入どころか、対面や電話でのコミュニケーションが基本だった所からオンラインでのコミュニケーションが進み、オフィスもフリーアドレスにと隔世の感がありますが、宮坂さんや都庁の皆様が凄いなと思うのは、ツールを導入するという事に留まらず、自ら組織のカルチャーを変えていこうとされている事だと思います。
様々な制約がある中で、どうすればデジタル化で効率をよくできるか、それによって空いた時間でより創造的な仕事ができるかという事を皆さん本当によく考えて実践されていると思います。
メルカリ金融事業のキーマン・青柳氏が電撃退任へ!意外な「新天地」で起業検討中
白石 陽介株式会社ARIGATOBANK 代表取締役CEO / 東京都 デジタルサービスフェロー
2017年。まだメルペイが登記される前、LINEPayからメルカリに移られた曾川さんと青柳さんと食事をしながら構想について伺ったことを思い出します。
当時、私はヤフーウォレットの事業責任者として、モバイルペイメント事業の立ち上げを模索している頃で、まだPayPayには至っていない時でした。
そこから、紆余曲折を経て私が模索していたモバイルペイメント事業は、PayPayとなり、翌年PayPayを立ち上げ後に、ブロックチェーンの世界へ。
そして、青柳さん達は、メルペイを立ち上げられ、今はメルコインを急拡大されている。密に連絡を取り合う間柄ではなかったですが、常に動向を意識していた存在でした。
同じタイミングで同じ領域のビジネスに挑戦した者としては、青柳さんの退任は寂しい気持ちもありますが、次もまた難易度の高いやりがいのある領域で新たな挑戦をされるとのこと。応援しております!
PayPay証が投信10倍の200本に拡充、新NISAで数年内黒字化も
白石 陽介株式会社ARIGATOBANK 代表取締役CEO / 東京都 デジタルサービスフェロー
PayPay証券の前身となるOneTapBuyは厳選された個別株を簡単に購入することができるサービスだったわけですが、PayPay証券になり、新NISAを狙って、投信にリソースを集中していく戦略のようですね。
PayPayは当初から打ち出していた通り、決済を中心としたSuperApp戦略を狙っているので、金融領域の拡大は重要施策。特に、番所社長が仰っている通り、投信のようにストックが積み上がっていく商品とは相性が良いわけですが、中国やインドと異なり、日本の場合、証券、特に投信の販売手数料が非常に低廉であることから、単純に預かりを増やすだけでは、収益的な観点では厳しい道のりになると考えられます。
恐らくは、運用手数料も含めて収益化していこうと、独自の商品開発をしたくなる所だとは思いますが、先行する投信商品の預かりは莫大で、PayPayどのシームレスな接続という導線上の優位以外にどれだけ特色を出していけるかがチャレンジになりそうですね。
アップルカードで巨額の損失?ゴールドマン・サックス、アップルとの提携解消か
白石 陽介株式会社ARIGATOBANK 代表取締役CEO / 東京都 デジタルサービスフェロー
決済業界の中の人としては、AppleCardがあまりに好条件だったので、いくら日米で手数料体系が違うとはいえ、これで儲かるのか、、、?と思っていたので、赤字と聞いて納得しました。決済以外のマネタイズポイントを作らないと、コンシューマーペイメントの収益化は中々難しいですよね。しかし、Appleが販促費を出しているのかと思いきや、ゴールドマンが被ってたんですね。Appleと組む事で、垂直に事業を立ち上げて席捲できるという目算だったと思いますし、それは間違ってないと思いますが、コンシューマーペイメント市場の構造では、ゴールドマン的には薄利多売で回収効率が悪すぎるという判断かもしれませんね。
全銀ネット障害、メモリー不足が要因 事前テスト甘く
白石 陽介株式会社ARIGATOBANK 代表取締役CEO / 東京都 デジタルサービスフェロー
うーん、、、失礼ながら、システム開発を実際にされた経験がない方からするとそんなテスト簡単だろ?とお思いだと思いますが、大規模システムにおいて本番環境と同じトランザクションを発生させてテストすることはかなり難易度の高い試験です。
私はネットワークエンジニア時代に新機種に対して負荷試験を行い、実測の性能をテストしておりましたが、性能テストというのは、機器の性能限界までのtpsを生成することが簡単ではありません。一般的には、ラボで同等の負荷をかけるわけですが、パケットジェネレーターのようなテスト専用機で負荷を発生させた上で試験を行うので、本番と全く同じ条件ではないため、特にメモリ周りのようなプログラムの条件によって扱いが変わるパラメータの試験を網羅することは難易度の高い試験だと言えます。
また、DDoSのような外部からの攻撃に対しては、そもそも全銀は開放されたシステムではありませんので、想定するリスクとしては不適切です。システミックリスクの観点で、接続先システムの設計不備によるメモリに対する悪影響等はあり得るかと思いますが、全銀接続の試験難度からすると、試験で露呈しないレベルではないのかなと思います。今回は、RC切り替えという新規システムに対するリリースであったため、起きた不備であり、全銀システム全体において起こり得る事象では無かったのかなというのが、金融SIの端くれにいた人間の所感です。
あ、ただリリース日をトランザクションの多いことが想定される5 10日前にした理由は私にははかりかねますが、全銀システムの規模となると、もはや、L8ならぬ政治レイヤーの事由かもしれませんね。
ちなみに、復旧方法はロールバックではなく、問題のあった処理をスキップするパッチ適用によるものであると報道されております。
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/news/18/16084/
GMOあおぞら、24年夏にデジタル通貨 100社連合第1弾
白石 陽介株式会社ARIGATOBANK 代表取締役CEO / 東京都 デジタルサービスフェロー
デジタル通貨フォーラムで検討していた、銀行預金型デジタル通貨の第一弾ですかね。銀行発行は今回の改正資金決済法でも書かれているものの、実務的には未整理な部分も多く、電子決済手段の発行の主流は、資金移動と、信託受益権型とみられている中で、電子決済手段ではなく、銀行から、預金としてのデジタル通貨が発行されるというニュースは、陣営の分かれ目として分かりやすいですね。
日本の広義のステーブルコインは、
・プログマを代表とする信託受益権型電子決済手段勢(厳密には、プログマは他の類型も構成可能な柔軟性がありますが便宜上、ここに分類します)
・JPYCが目指している資金移動型電子決済勢
・DCJPYを代表とする預金型のデジタル通貨(≠電子決済手段)
に類型が分かれてくると思われます。
DCJPYは、私が立ち上げに関わったデジタル通貨研究会から考えると、かなり早期からデジタル通貨領域にコミットメントしていたにも関わらず、最近アップデートがなかったので動きが気になっていたのですが、いよいよ始動ですかね。連合のメンバー的には本命になり得ると思うので、今後の展開が楽しみですね。
ドコモが新NISAや銀行で「出遅れた」ワケ…マネックス提携に見る「スマホ業界の金融シフト」
白石 陽介株式会社ARIGATOBANK 代表取締役CEO / 東京都 デジタルサービスフェロー
自前の立ち上げや買収を含め、積極的に金融事業にトライしてきたKDDIやSBと比べ、金融事業に対して消極的だったドコモ。iDやdカードを早くから立ち上げ、時間をかけて大きく育ててきた実績があるにも関わらず、最近は決済・金融領域に対して、事業提携程度に留まっていたと思います。
ただ、金融事業は、勧誘行為等の媒介の規制がある為、単なる業務提携では、表面的な送客にとどまってしまうのも事実。資本関係や銀行代理等のライセンス面も含めて、統合的な関係構築ができるように踏み込んだアプローチをしているSB/KDDIと比べて弱く見えていたのは仕方ない部分はあるかと思います。
金融の重い部分を自前でやらない良さもあるので、どちらの戦略が良いとは一概に言えないのですが、最近のNTTの動きを見ていると、今回の証券に限らず金融事業に本腰を入れて向き合おうというスタンスが垣間見えますので、今までのやり方では後塵を拝する事は避けられないという判断があり、踏み込んだ戦略に転換したのだと思われます。

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