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Internet Media Awards部門賞に線虫がん検査報道
NewsPicks編集部
木原 洋美医療ジャーナリスト
おめでとうございます。 ただ、受賞された特集は、PET検診にかかわる医師グループが、間違った手法で検証したデータをもとに制作されたものであることがはっきりしています。報道にとって最も重要な「事実」の部分が、まったく信頼できないことがわかっているわけです。 腫瘍内科医や放射線科医から不正を指摘されたPET検診ワーキンググループは、年末に追加で実施・結果発表すると言っていた検証について、その後は一切情報を出していません。 しかも、ユーザーベース社と須田桃子さんは、線虫がん検査の運営会社であるH社から記事の正当性について訴えられており、現在係争中ですよね。 JIMAは、このことを知っているのでしょうか? 知っているのだとしたら、かなり無責任だし、非常識です。瀬尾さんにはがっかりです。 また知らないとしたら、メディアリテラシーがなさすぎる。 こういうことがあるとまた、インターネットは信用できないといった悪い評判に拍車がかかってしまいます。 先だって、医師グループによるメディア勉強会があり、線虫がん検査報道が俎上にのぼりましたが、残念ながら(というか当然)、今回受賞した特集のことはほとんど触れられませんでした。箸にも棒にもかからない。代わりに「PET検診は精度が低過ぎてがんスクリーニングには使えない」ということが確認されただけ。スクリーニングには使えないPETで、他のスクリーニングを評価することはできないからです。 今回の受賞は、メディア自体もメディアリテラシーを向上させなければならないと、痛感させられるできごとだと思います。
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【続報】線虫検査は有効か。全国のPET施設を対象に調査開始
NewsPicks編集部
木原 洋美医療ジャーナリスト
PETを万能の検査のように書いている点が気になります。 早期胃がん、肺がん、腎臓、腎がん、膀胱がん、前立腺がん等々、発見が苦手ながんが多数あるため、がん検診では内視鏡、PSA、エコー等々複数の検査を併用するよう勧められていますし、見逃しリスクの高さと突出した費用の高さから、公的検診には推奨されていません。 また、国立がん研究センターの研究では、PET検診の感度は17.83%、米国の核医学会の調査でも17%台という否定的な報告がなされています。 得意ながんについて、すでにがんと分かっている場合の悪性度や広がりを調べたり、再発を調べるには非常に優れた検査なので、医療現場でも信頼されていますが、スクリーニングには向かないというのが大方の意見。PETやPET-CTの施設のHPにも、このことは書いてあります。 第一回の記事に登場した福岡和白PET画像診断クリニックは、PET-CT単独検査施設で、他の検査との併用はしていません。PET-CTの発見率は「2.2%で素晴らしい」とHP内で院長が語っていますが、学会発表した田代医師の報告では、PET-CTの発見率は「1.7%」、N-NOSEは「2.4%」。N-NOSEのほうがだいぶ発見率は高かったのですが、田代医師は「1.7%」については無視して「2.4%なんて低すぎて話にならない」と語っています。 注目されている「N-NOSEの感度は13%」という数字は、この田代医師が発表した数字をもとに算出されたものですが、そこには、PETの感度は17%台であることが考慮されていません。N-NOSEの結果を、感度17%しかないPETで検証するという無意味なことを行なった結果で、H社の反論では、仮にPETの感度を50%にして計算しなおしたとしても、N-NOSEの感度は90%台になると言っています。 予告では、またもN-NOSEの感度をPETが検証するようですが、PET単独の検証は意味がないので、がんドックの総力を挙げて、複数の検査を併せて検証してほしい。ぜひPETの感度も検証していただきたいのですが、そもそもPETやPET-CTに高額投資している施設による検証なので、公平な報告がなされるのかは甚だ疑問。 N-NOSEは1万円台、侵襲性ゼロの検査。PETは10万円以上で被爆リスクもある検査。検証するならむしろPETの感度のほうだと切に思います。
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【ドキュメント】「線虫がん検査」の知られざる過去
NewsPicks編集部
木原 洋美医療ジャーナリスト
医療ジャーナリストとして、福岡の学会に足を運びました。あのセッションは、福岡界隈の放射線科医の内部的な勉強会のようなものでした。 4名の発表者中、園田先生以外の3人は学術研究に携わった経験に乏しい方々だったせいか注目度は低く、会場内には関係者以外は10人もいなかったと思います。 本連載の第一回目に登場しておられる田代氏に、発表内容に疑問があったので質問したところ、「僕は検診の専門家ではないので、本当はこんな研究はやりたくなかった。僕の発表は個人的な感想です」と言っていました。そんな感想レベルの研究発表を、わざわざ全国に向けて報道する意味はないと判断し、報道しませんでした。今回、本連載が大きく取り上げたことに、違和感を持っています。 私は長年線虫がん検査についての取材を重ねており、園田先生にも取材したことがあったもので取材に赴きましたが、私以外のメディアで来場していたのは地元の新聞社1社だけ。 そして園田先生の発表ですが、実験のやり方が、H社で日常的に行われていることと比べるとかなり手順が単純でしたので、明らかな有意差が認められなかったのは当然。これをもって線虫がん検査の有効性を否定する根拠にはなりえないと判断し、報道しませんでした。 会の後、座長の陣之内先生と複数回メールのやりとりを行ない、先生方が感じておられる線虫がん検査への疑問や、日本のがん検診の現状の問題点等、詳しく教えていただきました。 線虫がん検査への数々の疑問は、今後明らかにしていかなくてはならないと強く感じていますが、それは本連載が展開しているような「捏造事件」でもなければ「広津氏個人への人格攻撃」で説明すべき事柄でもありません。 特に、九大でのできごとについては昔ながらの白い巨塔の土壌風土が深く絡み合った問題なので、本稿のような単純な「物語」では済みません。 H社の水島氏が書いている「公開討論会」は、本稿の報道によって著しく損なわれた線虫がん検査への、一般読者の信頼を取り戻すには非常に有効だと思います。 また医療関係者の疑念を払拭するには、第3者研究機関等との共同研究が有効だと思います。ただすでに、H社は国内外の錚々たる大学や研究機関との共同研究を行っています。受検者も50万人を突破したそうなので、その辺りの研究成果を信頼できる形で報告していただくのもよいかもしれません。
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【実録】社員が止められなかった「疑惑のがん検査」
NewsPicks編集部
木原 洋美医療ジャーナリスト
衝撃のスクープ、昨日から興味深く拝読しております。 しかしながら今日の記事は、偏った印象操作が過ぎると思います。 「元社員」の証言、社長の意にそぐわない結果を出す社員は、実験が「下手」と決めつけられた。⇒「上手」な社員は実は社長の意に沿うよう結果を操作しているに違いない…という結論に読者を上手く誘導しているように読めます。そして冒頭の小見出しは「再現できない論文」となっていますが、N-NOSEについてはアメリカとイタリアの研究機関が再現に成功したとの論文を発表していますよね。 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000090131.html 普通に考えれば、やはり実験の「上手」「下手」はあるのかな…と思うのですがどうなんでしょう。それこそが生物を扱う実験の難しさで「実験が下手な人間には再現できない」のかなと、素人的には考えてしまいます。下手だった元社員の皆さんはお気の毒ですが、社長というよりは線虫との相性が悪かったのでは? 事実、海外でも再現論文が発表されており、Natureの姉妹誌に掲載されたというのは、少なくともNews Picksに掲載されることより信頼できると思います。 またN-NOSEに関しては、昨日の記事にあった福岡の学会よりも遥かに多数の研究機関・医療機関が、90%近い有効性を確認しています。「サイコロを振るような確率」ではありません。しかし本稿では終始、こうした話は出てきません。 元社員というバイアスの塊のようなグループの証言だけを延々と取り上げ、HBSの反論は短い一文に留め、嘘だと一刀両断に切り捨てる。ダイナミックで面白く読めはしますが、公正な論理展開とは言い難い内容だと思います。
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