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生保協、外貨保険ガイドラインを説明 来週にも全銀協会員各行に
長澤 敏夫株式会社 日本資産運用基盤グループ - 主任研究員 主任研究員
今回のガイドライン改正は、金融庁の外貨建て一時払い保険に関するモニタリング中間報告と同日に公表されたことから、金融庁と擦り合わせを行い、その問題意識を反映したものになっています。
内容を見ると、「顧客の最善の利益の義務化」といった最近の法律改正の反映、想定顧客の明確化や販売後の事後検証並びに他の金融商品とのリターンやコスト等の比較情報の提供などのプロダクトガバナンス関連事項のほか、最近金融庁が問題視しているターゲット型保険におけるフォローアップの際の留意事項、手数料体系と提供役務の合理性などが盛り込まれています。
従前は販売金融機関に対する指摘が中心であったものが、今回の改正は組成会社である保険会社にも拘束力はないものの取組みを促す形となっており、販売・組成の両面から切り込んでいったことが特徴かと思われます。
預金60兆円 大都市が吸引 相続で移動、大手銀争奪 試練の地域金融 - 日本経済新聞
長澤 敏夫株式会社 日本資産運用基盤グループ - 主任研究員 主任研究員
昨年の死亡数は159万人で大相続時代とも言われていますが、それに伴い家計資産の世代間移転と同時に地域間移動が増えているとのことです。地域金融機関としても色々な対策を考えていることかと思われますが、相続人としては生前に親の取引金融機関と面識やコンタクトが全くない場合は義理もないので、解約して自分の取引金融機関に持っていってしまうのはある意味当然かと思われます。また、相続時に親の保有する金融商品を見て、高齢者になぜこんな商品を販売したのだという疑念を抱いた場合も取引の継続は難しいでしょう。
相続資金のつなぎ止めは難しい課題かと思いますが、親の存命中に、例えば金融商品販売時の家族同席の際のアドバイスや、金融ジェロントロジーの知見を活用した見守りサービスの提供などを通じて、安心して取引ができる金融機関として認められ、選ばれるようになれるかがポイントかと思います。
みずほ銀行、業績目標をボトムアップ型に 顧客目線徹底 - 日本経済新聞
長澤 敏夫株式会社 日本資産運用基盤グループ - 主任研究員 主任研究員
トップダウン型の業績評価体系の場合、銀行全体の収益目標額を商品・サービス毎、さらにそれを支店毎に振り分けることになりますが、翌年にはさらに上乗せの販売目標が示されるのが常です。営業現場では、その商品が相応しいと思われる顧客に売りつくしてしまっても、毎年販売目標が来るので、回転売買をするか、本来は売ってはいけないような投資初心者などに販売対象を拡げてしまうことが起きやすく、その一例が仕組み債かと思われます。
現在、金融商品の想定顧客層を明確化して適切な顧客への販売をと当局は求めていますが、記事にあるような業績評価体系の見直しを併せて行わないと、さらに言えば、自行の顧客層に合わせたビジネスモデルの変革が伴わないと、絵に描いた餅になりかねないと思われます。
地銀、「想定顧客」記載方法で苦慮か 外貨保険の重要情報シート 生保協が4月に指針改正
長澤 敏夫株式会社 日本資産運用基盤グループ - 主任研究員 主任研究員
外貨建て一時払い保険の「重要情報シート」における想定顧客層の記載について、設定次第で販売ターゲットが絞り込まれることになると、「自らの首を絞めかねない」(地銀関係者)懸念があるので悩ましいとのことですが、販売対象を絞るための想定顧客層の記述ではなかったのかという疑問が湧いてきました。
生命保険協会では、想定顧客層の記載例として、「まとまった資金を長期にわたり運用しながら、保障を準備したい方」を示したとのことですが、購入後4年以内に約6割が解約となっている販売実態(金融庁調べ)では、そのような記載さえ難しいのでしょうか。
国民の「金融リテラシー」向上のための機構、政府が設立--学びの場を提供へ
長澤 敏夫株式会社 日本資産運用基盤グループ - 主任研究員 主任研究員
昨年「金融経済教育推進機構」の創設に関する国会での議論を見ていましたが、野党は官僚の天下り先とならないかといった質問が中心で、それはそれで牽制という意味はあるのかもしれませんが、如何に国家戦略として国民の金融リテラシー向上を官民挙げて取り組んでいくのか、といった本質的な議論が十分なされていなかったような気がしました。
今回同機構が正式に設立されましたが、金融経済教育については、20年以上その重要性が指摘され様々な取組みがなされてきたものの、国民の間に十分浸透しているとは言えず、多くの無関心層に自分ごととして関心を持ってもらえるような取組みが行われることを期待したいと思います。
外貨建て保険、満期前に6割解約 銀行各行が対応加速へ - 日本経済新聞
長澤 敏夫株式会社 日本資産運用基盤グループ - 主任研究員 主任研究員
外貨建て一時払い保険が購入後4年以内に約6割が解約となっていたとのこと。通常早期解約をすると、解約控除というペナルティが課せられるので、それを上回る評価益が発生していたので解約したのだとは思いますが、運用商品として捉えるのであれば、それほど短期で解約するのであれば果たして保険である必要があったのか、外貨建て債券などと比較した上での保険だったのか、販売姿勢に対し疑問を感じざるを得ません。
2019年8月に金融庁が公表したモニタリング結果では、「18年度の中途解約の比率は全体の2%程度に留まっている」とされ、その後に広まった「目標到達型」の商品設計が乗り換え販売を加速する要因になったと思われます。金融機関ごとに「目標」の設定水準の分布状況を比較出来たら、販売スタンスが明確になるので興味があるところです。
外貨建て保険、満期前解約6割 金融庁「乗り換え頻発」に警鐘 - 日本経済新聞
長澤 敏夫株式会社 日本資産運用基盤グループ - 主任研究員 主任研究員
外貨建て一時払い保険の販売手数料に関し、初年度が高く2年目以降低くなっているいわゆるL字型手数料体系について、金融庁が乗り換え販売を誘発すると問題視したことを受け、生命保険協会ではガイドラインを改定するとのことです。そもそもこの外貨建て一時払い保険の手数料は、2016年8月の金融審議会市場ワーキンググループの事務局資料を見ると、2015年度の平均販売手数料率は6%を超えています。当時の販売手数料は一括で支払われることが多かったのですが、それを均す様な形でL字型に変わり、併せて販売手数料が顧客に開示されるようになった経緯にあります。
今回のガイドライン改定により、どのように変わるのか興味があるところですが、顧客にとっては、何のサービスの対価なのかが明確化され、かつ、納得がいくようなものになることが一番重要かと思います。
広島銀、近隣店に事務処理委託 業績評価撤廃で平準化へ
長澤 敏夫株式会社 日本資産運用基盤グループ - 主任研究員 主任研究員
収益に偏重した業績評価体系により、特にリスク性金融商品販売において顧客本位とは言えない販売が横行したことの反省もあり、業績評価を見直しノルマを廃止する金融機関が増えてきました。この銀行の場合は、業績評価制度を撤廃して店舗(支店長)間競争から脱却することで、僚店サポートの意識が高まっているというのは興味があるところです。
自分が銀行で営業をしていたころは、似たような属性を持つ近隣店舗はライバルであり、協力どころか顧客が転居しても他店に移管させず遠距離訪問など非効率的な営業活動を続けていたりして、こんなことをしていて顧客のためになっているのか、顧客が喜んでいるのか疑問に思うことが度々ありました。内部での競争より如何に顧客から選ばれる金融機関になるかの視点での競争が重要かと思います。
「もうやってます、ネット系で」店頭で勧誘するもスルー…今さらNISAキャンペーンをする地銀のつらい現状
長澤 敏夫株式会社 日本資産運用基盤グループ - 主任研究員 主任研究員
販売手数料の低さや品揃えを含む利便性を考えたらネット証券と競合することは難しいので、地域金融機関の持つアドバンテージと提供付加価値を考えると、地元での高い信用と顧客を熟知していることを武器に、顧客のライフプランに寄り添った、対面での資産運用アドバイスに注力していくほか道はないと思われます。
こうしたことを言うと、営業員のスキルに課題があるという声も聞かれるのですが、証券会社の営業員のように相場を語り、金融商品の知識の豊富さという点では対抗できないかもしれませんが、顧客のニーズを徹底的に聴くための研修と、それを商品・サービスに結び付けることができるようなサポートツールの導入があれば、属人的にならずに一定の品質の付加価値を提供できる態勢は構築できるのではないかと思われます。
脱・銀行送客モデル、事業多角化で変える企業文化 - 日本経済新聞
長澤 敏夫株式会社 日本資産運用基盤グループ - 主任研究員 主任研究員
一般論として、銀行が「優越的地位の濫用」には留意しつつ、顧客基盤を活用してグループ会社へ送客すること自体に問題はないものの、グループ会社、例えば証券会社の営業力、特に若手の営業員には「銀行送客」が当たり前となって、スキルが低下しているという話を聞きます。また、一昨年問題となった仕組み債販売では、本来証券会社の営業員が紹介された顧客の投資方針や投資経験等の属性を踏まえて仕組み債を販売することがふさわしいか判断すべきところ、収益性の高い仕組み債を販売して欲しいという銀行からの要請を断れず不適切な勧誘販売を繰り返すこととなったとされ、グループ会社間の力のアンバランスが招いた悪い例かと思います。
NISA対象外の毎月分配型投資信託、残高シェアが低下 - 日本経済新聞
長澤 敏夫株式会社 日本資産運用基盤グループ - 主任研究員 主任研究員
十年ほど前に毎月分配型投資信託が問題視されたのは、1万口当たり200円とか250円とかいった分配金競争が行われ、分配金を捻出するためにオプションを組み込み仕組みが複雑で理解し難くなったものを、高齢者を含む一般投資家に販売するなど、どんどんエスカレートしていったことにあると思います。こうした問題は、一昨年問題となった仕組み債や足元金融庁が注視している外貨建て保険にも共通していると思われます。
例えば仕組み債であれば、最初は金利系で元本リスクがない商品から始まり、その後元本リスクのある株式や為替のオプションを組み込んだ商品へ、さらにクーポンや金融機関の収益を増やすために参照する株価や為替を複数組み込んだものにまでエスカレートしていきました。また外貨建て保険であれば、ターゲット型と言われる特約付きの商品は、ターゲットが低く回転売買しやすくなって、本来長期商品であるはずの保険とは違った形の投資に使われるようになってしまったように思われます。
家電であればいろいろな機能を盛り込んだハイエンドな商品は、価格は高いけれど使ってみると便利だったりしますが、金融商品の場合は、色々仕組みが入っていても、リスクとコストが高くなるだけのことが多く、シンプルで何に対価を払っているかわかり易い商品・サービスが一番だと思います。
新NISA、投資信託積み立てで「一物二価」問題浮上 - 日本経済新聞
長澤 敏夫株式会社 日本資産運用基盤グループ - 主任研究員 主任研究員
金融庁が以前指摘していた「一物多価」の問題は、同じ資産運用会社が運用する同じベンチマークに連動するインデックスファンドなのに信託報酬にばらつきが見られるというものでした。これは会社等を通じて給与天引きにより購入する投資信託(ミリオン)などで、古いファンドの設定当時の高い信託報酬がそのままになっていることで起きたものです。ミリオンは加入者が新しいファンドの信託報酬が安いのでそちらに変えるということができないようなサービスなので、資産運用会社やそれを販売する証券会社に、提供商品の品質管理(プロダクトガバナンス)の観点から、運用内容に即した手数料水準にすることを求めたものでした。
信託報酬は資産運用会社が決めるものですが、販売手数料は、資産運用会社が設定した上限以下であれば販売会社が自由に決めることができます。記事にある「つみたて投資枠」と「成長投資枠」における販売手数料の「一物二価」の問題は、新NISAの準備の段階で各金融機関ともかなり悩まれていたように聞いておりますが、商品説明の対価といっても差別化は難しく、販売手数料はネット証券を中心に無料化が進み、また、インデックス型商品の拡大も相まって販売手数料の低下傾向は避けられないのではないかと思われます。個人的には商品に紐づいた収益に依存したビジネスモデルは限界を迎えており、資産運用アドバイスによる付加価値の提供を中心としたビジネスモデルへの変革は避けて通れない道なのではないかと考えております。
地域銀、モニタリング態勢整備 外貨建て保険販売で
長澤 敏夫株式会社 日本資産運用基盤グループ - 主任研究員 主任研究員
金融庁のレポートを受けて、地域銀行が販売時の説明やアフターフォローの実施状況、解約や乗り換えの状況などのモニタリング態勢を整備しているとのことですが、何か表面的に起きていることをモニタリングしているようにしか見えないとの印象を受けたのは私だけでしょうか。
目標到達型の保険の解約が相次いだので目標額を105%から110%や115%に引き上げた例が紹介されていますが、中長期の保障もついた運用商品として販売しているはずの外貨建て保険で、5%利益が出ただけで解約してしまうような商品設計は果たして顧客のためになっているのか、それを110%、115%にすれば解決するのか、それこそ外貨定期預金で十分ではないかと思われます。目標到達型の商品自体を否定するつもりはありませんが、そもそもこの商品はどのような顧客の、どのようなニーズに対して提案すべきか、そもそものコンセプトがあったと思われますが、現場でそれがいつの間にか販売手数料獲得の材料になってしまっていないか、そういった根本的なところの振り返りが必要ではないかと思われます。
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