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核兵器使用「正当」34%に増加 ロシア世論調査
小泉 悠東京大学 先端科学技術研究センター 准教授
レヴァダはそれなりに信用できる世論調査機関なので、その結果は重いですね。他方、ロシア社会の中にはもともと核兵器に対する信頼感みたいなものはあり、我々とは距離感や理解のされ方がかなり違う、ということは押さえておく必要があると思います。
あとは記事中でも触れられているように、ロシアでは核ドクトリンの変更に関する議論がなされるようになってきました。実際には核ドクトリン文書に書いてある通りに核兵器を使うことなんてないですから、シンボリックなものといえばそうなのですが、しかしそのシンボリズムの意味するところの変化にはそれなりの意味があるでしょう。
なお、核使用基準を対外的に示した『軍事ドクトリン』は前回の改訂から10年経ってますから、そろそろ改訂となってもおかしくありません。
インド、ロシアとウラン長期供給協定締結へ-首脳会談で
小泉 悠東京大学 先端科学技術研究センター 准教授
モディ訪露の目玉は原子力協力になりましたか。具体的な成果は特に出ないのではとの観測があったのでちょっと意外でした。
他方、軍事面では新たな武器契約がなかったことが注目されます。2017年に米国が対露制裁を強化して以来、多くの国はロシア製兵器の購入を控えるようになり、インドもS-400防空システムの購入を最後にロシア製武器を購入していません。また、武器供給の多様化や国産化といった思惑もあると言われます。
その意味ではロシアからの技術移転にはインドは関心があり、今回も一度はポシャったFGFA(第5世代戦闘機)計画を改めて話し合うとの報道もありました。ただ、この辺についてはやはり具体的なことが決まらなかったようですし、西側ではもう第6世代に向けて開発が進んでいる中で今更ロシアと第5世代機で協力してもなぁ...という感じはインド側にもあるのではないでしょうか。
来月の日欧の共同訓練批判 ロシア
小泉 悠東京大学 先端科学技術研究センター 准教授
ウクライナへの侵攻前、ウクライナ国境にロシア軍が集結していることについて、ロシア側は「領土内のどこに軍隊を展開させようと勝手だ」と反論していました。そっくり同じをお返ししたいと思います。ましてこちらはロシアに攻め込もうというわけではないのですし。
もちろんそのことはロシアも理解はしているでしょう。また、最近の欧州諸国によるアジア展開が対中国を念頭に置いたものであることも同様のはずです。
ただ、ロシアとしてはこれを機にユーラシアの東西で西側諸国の結束が強まるのは甚だ面白くないのでしょうし、第一義的に抑止されてている中国との連帯を示すとの意味もあるように思われます。
ロシア、戦術核演習でミサイルの電子発射訓練を実施
米供与の兵器でロシア領内攻撃、バイデン氏が容認 ハリコフ国境限定
小泉 悠東京大学 先端科学技術研究センター 准教授
現在、イタリアとベルギーを除くほとんどのNATO諸国は、自国が供与した武器によってロシア領内に攻撃を加えることを認めています。
こうした中で米国は(現状で)一番最後に攻撃容認に傾いたのですが、「あくまでもハルキウ防衛限定・尚且つ長射程のATACMS使用はダメで射程80kmのHIMARSまで」という厳しい条件をつけました。
他にも条件をつけている国としてはドイツとスウェーデンが「国際法の枠内で」というよくわからないことを言っていますが、要するにこれは「民間人とかに無差別に使うんじゃないぞ」という意味であって、事実上はターゲティングに口を出すものではありません(ただしドイツはそもそも長射程攻撃兵器を出すのを渋り続けているので、それ以前の問題という話ではあります)。
こうしてみると米国の「容認」は他の国と比べても格段に狭く・厳しい。ロシアとのエスカレーションをそれだけ恐れているということなのでしょうが、では米国自身はこの戦争の出口戦略をちゃんと考えてこういう制約を課しているのかどうかは気になるところです。
それなしに軍事援助を出したり渋ったり、やたらに厳しい制限をつけたりでは、戦争はただ長引くだけになってしまうでしょう。米国としてロシアの核エスカレーションを断固阻止するという姿勢を見せつつ、決定的な援助を行わないと、中途半端になってしまうと懸念します。
ロシア、戦術核想定の演習開始 ウクライナ侵攻拠点で
小泉 悠東京大学 先端科学技術研究センター 准教授
戦術核兵器は通常、国防省第12総局(12GUMO)が管理する集中保管施設(オブイェクト-S)で管理されており、大統領が核使用を承認すると12GUMOの輸送部隊によって戦闘部隊の基地付近に設けられた一時保管所(RTB)へと前方展開されます。要するに現場に核弾頭を「配る」というプロセスが戦術核の場合は必須であるわけです(戦略核は基本的に核弾頭をミサイルに積みっぱなし)。
現時点では戦術核演習の「第一段階」と称される部分が1分半ほどのビデオとして紹介されているに過ぎません。
https://tass.ru/armiya-i-opk/20864651
しかし、この中にはおそらく12GUMOの輸送隊列と見られる車列が写っており、世の中のロシア軍事・核戦略界隈が局所的に大きく盛り上がりました。見る人が見ればそれなりに「オッ」と思うような脅しを今回のロシアはかけてきていると言えます。まぁこれが政治的意思決定にどこまで影響を与えるかというのはまた別問題だと思うのですが。
ウーバー×マッチングアプリ…ウクライナが開発した「大砲のウーバー」がロシア軍を撃破した驚くべき仕組み――テクノロジーがもたらす新時代の戦争のカタチ
小泉 悠東京大学 先端科学技術研究センター 准教授
MaaS (mobility as a Service)ならぬFaas (Firepower as a Service)といったところでしょうか。
1970年代にソ連軍で基礎概念が作られ、20世紀末に米軍が開花させた軍事技術革命(MTR)は、精密誘導兵器とICTの組み合わせを基礎とするものでした。それゆえにアンドリュー・クレピネヴィッチはこれを「精密誘導兵器革命」と呼び、大国の軍隊は多かれ少なかれこの方向性を目指してきたわけです。
現在起きている技術革新はその延長上に位置づけられるのか、それとも新たなMTRを引き起こしたとのちに評価されるのか。MTRは新テクノロジーに対応した組織変革やドクトリン開発を伴う必要があるので、「大砲のウーバー」的なものがどこまで組織的に需要されるのかにもよってきそうですね。
ウクライナ軍総司令官、苦戦認める 「ロシア軍が複数方面で戦術的成功」
小泉 悠東京大学 先端科学技術研究センター 准教授
3月時点でシルシキー総司令官は「前線の状況は安定している」と述べていました。これはアウディーウカ陥落後もしばらく続いたロシア軍の西進をある程度食い止められたということだったと思われます。
しかし、4が月に入ると、シルシキーは前線の状況が悪化していると評価を下方修正し、今回についてはさらに悪い(しかも複数正面で)と認めるに至りました。いずれも客観的な観測事実と整合しています。
問題はこの状況を覆せるのかどうかですが、それにはまずロシア軍に対する火力の劣位をどうにかせねばならないでしょう。4月にアメリカが軍事援助の再開を決めましたが、これがいつ・どのくらいの量入ってくるのかが当面の焦点になりそうです。
4月にはもう一つ、ウクライナでの動員法改正という大きなエポックがありました。動員期間をどのくらいにするのかなどで大きく揉めた法改正でしたが(結局、期間については明記せず別に動員解除法を作るということで決着)、これで一応は兵力のローテーションに関して目処がついてきたと思います。ただ、5月から施行しても新たに兵士を動員・訓練して戦場投入できるようになるまでには時間がかかります。ウクライナは徴兵制の国なので多くの人には基礎的な軍事経験があるとしても、です。
このように考えていくに、ウクライナが攻勢に出られる見通しは当面低く、まずはいかに守るか、その過程でロシアの戦争遂行能力にどれだけのダメージを与えられるのかが重要であろうと見ています。
プーチン大統領 F16戦闘機 出撃の飛行場「第三国でも攻撃対象に」 ウクライナへの供与で欧米側けん制
小泉 悠東京大学 先端科学技術研究センター 准教授
NATOから供与された航空機をウクライナ軍が受け取って運用するだけでなく、NATO加盟国の飛行場から出撃させるというプランは開戦直後にもありました。ただ、ロシアが激しい脅しをかけたので各国はそこまで踏み込めず、F-16戦闘機自体の供与にもこれだけ時間がかかりました。
今回のプーチン発言は「F-16はとうとう送るらしいけど、飛行場までは貸すんじゃねえぞ」ということでしょう。
また、これと合わせてプーチンは「NATOとは戦いたくない」とも言っていますが、もしそれでも実際にロシア=NATO戦争が起きた場合、ロシアは早期に戦術核を使うほかなくなると見られています。「そういうことにならないように、ウクライナ支援にも一線を引けよな」と言っているようにも見えますね。
4島返還発言にロシア行政罰 国後島民、日本の記事で
小泉 悠東京大学 先端科学技術研究センター 准教授
最近、日本のマスコミ特派員が北方領土問題についてロシア有識者の意見を聞こうとすると「その話をすること自体が憲法違反」と断られるケースがあると言います。
2020年の憲法改正で「領土割譲禁止」が盛り込まれた結果です。
ロシアが孤立する中で日本が多少甘くしてやれば感謝して北方領土を返す気になる、という意見もありますが、そのような期待はあまり持てないのではないでしょうか。一方、ロシアは伝統的に日本の「中立化」(=在日米軍撤退と日米安保破棄)を期待してきましたが、これもまた近いうちに実現するとは思われません。
ということで北方領土問題については多少気を長く、かつブレないようにやっていくしかないのだと思います。
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