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ニュージーランド、入国者に自主隔離=クルーズ船の入港禁止
伊東 弘人技術士 港湾及び空港
ニュージーランド(NZ)が外航クルーズ船の入港を6月末まで禁止。
今年1月末に中国発着のクルーズが停止し、台湾や日本が止まって、香港やシンガポール、フィリピン、ベトナム、タイへと波及。その後、イタリアを中心とした欧州全域での感染者の増加とともに欧州発着クルーズ(地中海)が止まり、14日からは全米でクルーズ港湾の「全港閉鎖」へと連鎖。カリブ海クルーズもストップ。
その間、行き場を失ったクルーズ船の行き先は、南半球の豪州発着へとポジショニングするか、それともドック入り(例えば三菱重工・長崎造船所など)するかの二択でしたが。。。AUSとNZがダメになると、いよいよ地球上でクルーズ船が運航できる場所がなくなった感じです。
クルーズ観光が誕生して50年以上、右肩上がりの成長を続けてきたクルーズ産業。今がもっとも厳しい時期かもしれません。
訪日クルーズ旅客数、2018年は中国発減少で前年比3.3%減の244.6万人に
伊東 弘人技術士 港湾及び空港
成長が止まった中国のクルーズ市場が、再び成長局面に入るのまでには、もう少し時間がかかりそうです。
というのも今年は、コスタの新造船「コスタベネチア」とロイヤルカリビアンの新造船「スペクトラム・オブ・ザ・シーズ」が新たに中国発着に投入されますが、一方で、中国船社・スカイシークルーズが昨年市場から撤退したことに加え、ノルウェイジャンクルーズが中国に配船している「ジョイ」がアラスカに行ってしまうなど、配船キャパシティの大幅な改善は見られそうにありません。
ただ、唯一の期待材料は中国の造船業によるクルーズビジネスへの参入です。今年、中国造船大手・中国船舶工業集団(CSSC)が世界最大のクルーズ船社グループである米カーニバルコーポレーション&PLCとジョイントベンチャーで設立される中国船社などが、新たにクルーズ海運ビジネスに参入します。
さらに現在、CSSCは欧州造船大手の伊フィンカンティエリのサポートを受ける形で、中国・上海のドックで新造船を建造しており、1隻目が23年7月に投入されます。
いずれにせよ、中国発着クルーズの動きは日本の寄港地におけるインバウンドに直結することから注目が必要です。
客船と観光地を鉄路で結ぶ、仙台 貨物線利用しアクセス改善へ
伊東 弘人技術士 港湾及び空港
クルーズ船が接岸する埠頭から直接、列車に乗れるコンセプトは、すでに日本海側の港湾である秋田港で「クルーズ列車」としてすでに認知されており、横浜発着のMSCスプレンディダなどに乗船する日本人に人気があります。
これと同じコンセプトが、太平洋側の港湾である仙台港で「クルーズ船アクセス列車」として運行されることは、クルーズ船の誘致合戦が過熱する中、周辺港湾にとっては脅威です。
ちなみに、埠頭から列車で自由に観光できる状況は、旅客にとっては嬉しいですが、船社にとっては、寄港地観光ツアーの売れ行きが悪くなるので、必ずしも歓迎ムードではありません。
また、クルーズ船を受け入れる地元自治体にとっても、列車に乗るとより遠くまで行くことができることから、旅客が遠方まで観光してしまい、地元にお金が落ちない(経済効果が小さい)という悩ましい問題も発生します。
船は来るけど、経済効果がないという逆説。。。
中韓勢の安値攻勢でピンチの“造船ニッポン”、政府対応待ったなし
伊東 弘人技術士 港湾及び空港
“造船ニッポン”を立て直す切り札の一つは「大型客船の建造」でしょう。現在、世界で大型客船が建造できる国は、イタリア、ドイツ、フィンランド、フランスの4か国しかありません。造船会社でいえば、フィンカンティエリとマイヤー、STXフランスの3社による寡占市場です。
ここ数年のクルーズ市場の拡大に伴い、大型客船の世界需要は年間12隻程度あります。しかし、世界の建造キャパシティが年間7〜8隻程度しかないので、年間で4〜5隻の新造船が発注先の見通しが立たない状況にあります。需要過多の今が非常にチャンスなのですが。。。
クルーズ船は、船体の上に5つ星ホテルが乗っている構造をしているため、貨物船に比べて建造コストが4〜6倍高いと言われています。雇用効果も大きいため、多くの国が虎視眈々と参入を狙っている状況です。ただ、高度な造船・建築技術が求められることやサプライヤーの育成に時間がかかるなどの問題などがあり、まだ本格的な参入ができていない状況です。
しかし最近、大型客船の建造市場に中国が参入をしてきました。長江沿いにある中国船舶工業集団(CSSC)です。CSSCは、クルーズ業界最大手のカーニバルコーポレーションから13万トンの大型客船を2隻受注し、2023年と24年にそれぞれ配船される予定です。中国の造船業は未来を見据え、バルカーやコンテナ船の建造から、高度な技術が必要となる大型客船やLNG船へと、すでに大きく舵を切っています。
AIDAprimaとAIDAperlaを引き渡して以降、この市場に日本の造船会社がいないのが寂しいですね。 “造船ニッポン”の復活に期待です!
アジア向けを中心に日本のクルーズ人口が初の30万人超え 国交省調査
伊東 弘人技術士 港湾及び空港
日本のクルーズ人口が「初の30万人超え」です。31.5万人まで達したというのは嬉しいニュースです。全国津々浦々にユニークな観光資源が点在するわが国は、やっぱり海からのアプローチがいいですね。特に、瀬戸内海や南西諸島といった島嶼部では、海からしかアクセスできない神秘的で魅力的な観光資源が数多くありますし。
クルーズ業界には「クルーズ普及率」という指標があります。これはクルーズ人口を総人口で除した値で、クルーズ先進国である欧米諸国では概ね2〜3%です。一方、日本のクルーズ人口は過去最高を記録した2017年(31.5万人)でも、まだ0.25%に過ぎません。
団塊の世代以上が全人口の2割近くを占めるようになる2025年頃には、クルーズ普及率が欧米の半分くらいの1%程度になる可能性は十分にあります。その頃の日本の人口は、まだ1.2億人を割っていませんので、クルーズ普及率が1%というと、クルーズ人口は今の4倍弱の120万人程度になります。ちなみに、この120万人という数字は、2017年の中国のクルーズ人口のほぼ半分の規模です。
市場規模が100万人を超えると、いよいよ一つの産業として自立できる段階に入ります。成長産業へと育成できるか、ここ数年が勝負です。
クルーズ船寄港が過去最多 17年、訪日客253万人
伊東 弘人技術士 港湾及び空港
2017年の訪日クルーズ旅客数は過去最多の約252.9万人、前年比で27.0%増でした。2017年の中国のクルーズ人口の伸びが前年比で8%前後だったので、この数字は結構高いです。
伸びた要因としては、日本発着の外航クルーズ船が増えたこともありますが、THAADの影響も大きいでしょう。2017年3月15日、韓国と在韓米軍によるTHAAD配備への中国の反発で、中国から韓国への渡航禁止措置が取られ、行き場を失ったクルーズ船の多くが日本へとシフトしましたので。。。
さて、何と言っても今回の発表の注目は、「2017年の日本人のクルーズ人口は”31.5万人”と過去最多になりました。」です。我が国のクルーズ元年と言われる”1989年”以降、約30年間、ずっと20万人前後で横ばいだった日本人のクルーズ人口が、初めて30万人を突破しました!
クルーズ関係者の長年の悲願が叶いました。Congratulations!
新港地区に客船複合施設 19年に完成、ホテルも
伊東 弘人技術士 港湾及び空港
横浜港の新港地区客船ターミナルは、海外船社の投資を受けて整備(係留施設)を進める日本ではまだ珍しいタイプのクルーズターミナルです。投資する船社は、世界最大のクルーズ船社グループであるCarnival Corporation & plc (Asia Pte.) Ltd.です。
移動式旅客乗降用施設(屋根付き通路)の整備事業を行う代わりに、係留施設を優先的に利用できる権利を受けるという契約になっています。そして、カーニバル社は横浜港のほか、佐世保港(長崎県)と平良港(宮古島)のクルーズターミナル整備にも投資を決めています。
さて、カーニバルコーポレーションは、傘下にプリンセスクルーズやコスタクルーズ、ホーランドアメリカなど日本発着クルーズの実績のある船社が数多くいるため、2019年以降、新港地区から日本発着クルーズを実施する海外船社が増えるのでしょう。実際にここの係留施設は、ダイヤモンド・プリンセス(11.6万トン)を想定し、計画水深を変更しているようです。
ただ新港地区は、海面から55mの高さにあるベイブリッジの内側に位置するため、キュナードのQM2、ロイヤルカリビアンのQNやVYといったエアドラフトが高い船が入港できません。高さのある船はこれまでと同様に、大黒ふ頭にある自動車専用船岸壁に停泊することになります。
もちろん、これは既計画でも考慮されており、2025年頃を目途に本牧ふ頭で世界最大の22万トンを受け入れる態勢が整備されるようです。これからの10年間で、横浜港は大きく様変わりします。楽しみです。
貧困層から5兆円企業のトップへ あるCEOを突き動かした言葉
伊東 弘人技術士 港湾及び空港
世界最大のクルーズ船社グループのカーニバル・コーポレーション& plcのCEOであるアーノルド・ドナルドが、ルイジアナ州ニューオーリンズ第9地区に暮らす貧困家庭で育ったとは驚きです。
Seatradeなどの国際クルーズ会議でのプレゼンテーションや、会場横のロビーでのプレス対応などの姿を何度か見たことがありますが、強烈なオーラはあるものの、偉ぶった感じがなく、とても謙虚な方だなぁ、という印象を受けました。やはり、小さな頃に受けた教育の質や意識の高さが大事なんですよね。
彼が率いるカーニバル・コーポレーション& plcは、キャパシティーベースでみると世界で約4割のシェアを持つ巨大グループです。傘下には、日本でお馴染みのプリンセス・クルーズやコスタ・クルーズ、キュナードやホーランド・アメリカに加え、数年前に三菱重工業が建造して話題になった独AIDA(アイーダ)もこのメンバー会社です。
カーニバル・コーポレーション& plcは最近、日本にも進出してきています。横浜港と佐世保港、平良港(宮古島)の3港湾において、官民連携により国際クルーズ拠点を形成するために旅客施設等への投資を進めていくことになっています。今、世界でも非常に勢いのあるグループの1つですので、注目です。
MRJのライバル、中国旅客機を侮ってはいけない理由 日本も軽視してはならないロビー活動
伊東 弘人技術士 港湾及び空港
中国の産業政策を見ていると、いくつかの成長産業に狙いを絞って、産官学が連携して、一気に産業化して世界市場のシェアを取っていくという「勝ちパターン」が、すでに出来上がっているように感じます。これは航空機だけなく、高速鉄道やロケット、スーパーコンピューター、IoTや人工知能、そして金融まで多岐に渡ります。
そして今、クルーズ造船業の世界でも同じようなことが起きています。というもの現在、中国の造船所で欧米大手船社の大型クルーズ船の建造が進んでいます。
これまでの常識では、船体の上に5星ホテルが乗っている特殊な構造である大型クルーズ船の建造には高い技術力が求められる上、複数のレイヤーで構成されるサプライヤー群の育成に時間がかかるために、あまり新規参入の声は聞かれませんでした。
実際に現在、世界の大型クルーズ船の建造は、伊フィンカンティエリ、独とフィンランドに造船所があるマイヤー、STXフランスの3社で9割を占める寡占市場です。この寡占市場に、2015年に参入を表明したのが、中国の長江沿いにある2大造船グループの一つである中国船舶工業集団公司(CSSC)です。
CSSCは、中国投資有限責任公司(CIC)とともに、米カーニバルコーポレーション&PLCとクルーズ船の建造に関する合弁協力合意を締結し、ここに欧州造船大手の伊フィンカンティエリと英ロイズレジスターが加わり、13.4万総トンのクルーズ船2隻(23年と24年に竣工予定)の建造を進めています。
このプロジェクトは伊フィンカンティエリとのJVで進められるため、納期遅れはあるかもしれませんが、技術的な問題やサプライヤーの調達といった困難な点も無難にクリアするのでしょう。
また、建造合意式典には、中国の習近平国家主席と英国のデーヴィッド・キャメロン首相が立ち会うなど、ロビー活動という点でも戦略的です。色々と見習う必要のある点が多いかもしれません。
NORMAL
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