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2024年5月12日 公開

【証言】超円安を放置する植田日銀の「ホンネ」

日銀で、あからさまな「リフレ派外し」が進んでいる。金融緩和を推し進め、「超円安」をつくってきたリフレ派が、政策決定メンバーから姿を消しているのだ。植田日銀の本質は「口ではハト派、行動はタカ派」。円安を無視しているように見えるが、実は利上げへの布石を打っているのだ。金融政策の中枢、政策決定会合の勢力を取材すると、面白いことが分かった。

取材:大酒丈典/デザイン:石丸恵理/撮影:栗原良介、小田切瑞穂、栗原美穂/制作補:藤村聖子/ディレクター:柳橋泉紀/プロデューサー:小西健太郎
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リフレ政策を否定的にとらえる人は超円安を作ったのがリフレ派と批判する一方で、リフレ政策を肯定的にとらえる人はリフレが異常な円高を是正した功績を評価するでしょう。
金利トレーダー出身者として言わせていただくと、金利が動いたり為替が動いたりするのは見ていて面白いのはわかる。わかりやすいのでメディアの記事にもしやすいが、為替も金利も所詮は「手段」にすぎないので、そこを忘れてはいけないと思う。では「手段」に対する「目的」は何かとなれば、それは経済が成長することに他ならないわけで、その目的に照らして今やろうとしていることが適切かどうかを判断すればいだけのこと、と考えたらよいのではないか?
10年前に賛意を示した市井の人々も実際にインフレになってみたらこんなはずでは無かった、というのが胸中であって、だから中銀には独立性が必要なんだなと思わせる10余年でした。

しかし、ネット上で中高年の支持が高い、というのは至言だなと思いました。確かに大体同説に必死な層と体感が合うので笑ってしまいました。
今の円安バッシングは、11年前に異次元緩和がスタートした頃の白川バッシングと、方向は正反対ですが、世論が熱狂する様相がとても似ています。
「リフレ派」とか「デフレ脱却」とか「超円安、日銀無策」とか、わかりやすいキーワードに引っ張られる国民世論と政治家のアジェンダは、実にうつろいやすく、忘れっぽいものです。
こうした意味で、この動画は、中央銀行がブレずに政策を遂行していくことの重要性、固い言葉で言えば、金融政策の独立性の重要性を思い出させてくれました。極めて有益で、いろいろな示唆に富む取材内容に感謝します。
リーマンショックによる急激な落ち込みと新型コロナウイルスによる急激な落ち込みが共にあるので比較は難しいものの、異次元緩和が始まった2013年度から2022年度までの実質経済成長率の単純平均は0.64%、その前の同期間を取ると0.66%で、異次元緩和で実質経済成長率が上がったとは思えません。
低インフレの円は高くなってこそ購買力が維持できるもの。リーマンショックで円が買われて円高になったのは確かですが、円の実力(≒実質実効為替相場)は安定していて、異次元緩和直前も、2000年代始めの水準を維持しており、日本経済が世界を席巻した1980年代後半から1990年代始めに比べると、むしろかなり円安になっていたのです。
その中で始めたのが明らかな円の毀損策である異次元緩和で、そこから円の実力は継続的に下落を始め、いまでは2012年当時と比べ、三分の二程度に下がっています。実体経済が弱い時にマネタリーベースを増やしても無駄な準備預金が積み上がるだけで経済が良くなるわけがないというのが有名な岩田-翁論争における翁氏の主張でしたけど、12年に渡る壮大な社会実験で、翁氏の主張が正しかったことが証明されたように私は感じます。
3月の政策変更で、マイナス金利策のみならず、YCCとか中央銀行が株や不動産を買うとかいった世界の中央銀行が禁じ手とする異常な手段は廃止されましたが、実質的な変更はごく僅か。中央銀行は政治から独立しているべきというのが世界の先進国の共通認識ですが、日銀総裁が国会、なかんづく時の政権の意向で決まる以上、その影響が及ぶことは避けられません。もし、パーティー券問題に絡んで安倍派が力を失っていなければ、その変更すら無かったような気がします。
経済学者の中で異端とされ、ごく一部に過ぎなかったリフレ派が大きな影響力を持って世論まで味方につけたのは、時の政権がそれに染まってその方向に世の中を動かしたからにほかなりません。円安でインフレを起こせば経済が成長して国民が豊かになるとの幻想は、そろそろ捨て去るべきであるように感じます。
とはいえ長期に亘った異次元緩和で、我が国は、政策を変えれば一気に景気が悪くなる、そのまま続ければ緩和の出口のリスクが高まり続けるジレンマに直面しています。金利を上げて景気が冷えればリフレ派は声高にそれを追求するでしょう。新総裁の難路が続きそう。
目下のわが国の財政金融政策の役割分担として、金融政策は物価や金利等の市場動向に無理に逆らわずに通貨価値(表裏一体の関係にある物価)の安定を図る役割を果たし、財政政策は市場での資源配分を歪ませないようにしつつ、所得再分配を行う役割を果たすことが求められる。例えば、金融政策による利上げで倒産や失業者が増えたら、財政政策で、産業の新陳代謝を阻害しないようにしつつ、労働移動の促進や失業給付や低所得者への支援などを行う。
では、実際はどうか。日銀は、利上げした場合に景気に水を差す(倒産や失業者が増える)ことを気にし過ぎて、自由な政策判断ができていないような気がする。
記者的な視点になってしまいますが、実に面白い動画でした。そもそも金利政策に関わるニュースはその領域に関わるオタクな記者とオタクな読者の独壇場で、一般読者にとってはわかりにくいのがほとんどだろうと思います。

もちろんこの動画だけでリフレ派とアンチリフレ派のどちらが正しいかは判断ができるものではないですが、金利政策という平面的・二次元的なニュースが三次元的に展開されているという意味では珠玉の取材ですね。

記者の力量をまざまざと見せつけられた動画です。

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