摂食障害という “麻薬” に依存していた話

2023年8月11日
全体に公開

みなさん、はじめまして!第4期Student Pickerの大野明日香と申します。

毎週金曜日は、Student Pickerが投稿を担当しています。

前回は、土井萌花さんが便利な世界で失われる自由についてお話してくださいました。

私も旅行の行先などインターネットやSNSで調べがちですが、結局ふと目に入ったお店や穴場スポットが楽しいような気がして、あまり当てにしていないことが多々あります。笑

小さな画面や周りの声ではなく、目の前の世界や自分の心に揺り動かされた私なりの「答え」を大切にしていきたいと思いました。

さて、今回私がお話するのは、摂食障害だと診断された大学1年生の夏から完治した現在までの、病気を通した体験談です。

何も私の話を聞いて「大変だったね」と言ってほしい訳ではありません。この人生最大の挫折とも言える経験で感じたことをお伝えし、少しでもみなさんの考えへの変化や新しい視点をもたらすきっかけになればと思っています。

本題に入る前に。

摂食障害の原因や種類、症状はたくさんあります。

今回お話するのは私がなった摂食障害ですので、あくまでも個人の意見だとご理解頂きたいです。

摂食障害に関して一般的な定義や症状を知りたい方は、ぜひ以下のリンクからご確認ください。

●私がなった摂食障害

Unsplash:Volkan Olmez撮影(https://unsplash.com/ja/%E5%86%99%E7%9C%9F/wESKMSgZJDo)

私は2021年の大学1年生の夏、摂食障害の中でも拒食症と診断されました。

拒食症というと、おそらく「過度なダイエット」や「食べて戻す」のイメージが強いかと思いますが、私は少し違っていました。

もともと少食でお腹が弱かったのですが、大学受験になると毎日お腹を壊すようになりました。当初はまだ体重の増減はなく、おそらく精神的なストレスが原因で生理が止まりました。

その状態でタイミング悪くダイエットを始め、体重が激減。1年以上自発的に生理が来ず、「体ではなく心の問題かもしれない」と言われて思春期外来を診断し、病名がつきました。

●“麻薬” に依存していた当時

Unsplash:National Cancer Institute撮影(https://unsplash.com/ja/%E5%86%99%E7%9C%9F/ZeitGGtlwzI)

病院の先生には、「あなたは麻薬に依存している状態だ」と言われました。

まず、身体的なサイクルが狂い始めた当初、私はとにかく外に出たり頭を働かせたりすることが好きで、栄養の摂取量も吸収量が少ないにも関わらず、ただただ消費量だけが上回っていました。

エンジンがもうないのにかけ続けている状態を「楽しい」と思っていたのが、麻薬の快楽でした。

その後体重が減少していった私は、みなさんが想像するようなやせ細った体ではなく、傍から見ると「ちょっと細いね」くらいの体型だったと今でも思います。

ただ、その「一見すると健康的な子」というのが裏目に出て、私は自分が摂食障害と診断されても「まだまだ細くなれるのに」ともやもやしていました。

朝と晩には必ず体重計に乗り、食事の際にはカロリーを確認し、SNSではおすすめにダイエットの投稿が並んでいる状況は、しばらく変わりませんでした。

周りの人の心配もそうですし、自分自身の心身の不調が見えていない、あるいは見えているのに見えていないフリをしていた、まさに麻薬の幻覚状態に陥っていたのです。

●摂食障害から抜け出して感じたこと

Unsplash:Debby Hudson撮影(https://unsplash.com/ja/%E5%86%99%E7%9C%9F/jcc8sxK2Adw)

自宅療養の4か月間、大学に行けず、アルバイトができず、友達と外に遊びに行けず、ひたすら「どうして私だけ」と周りと比べ、ふさぎ込みました。

それでも多くの方々に支えてもらい、なんとか自分と向き合って、麻薬の依存状態から抜け出した今があります。

そんな私は以前より変わったことがとにかくたくさんあるのですが、特に二つのことをみなさんにお伝えしたいです。

1. やりたいことは思いきってやってみる

外に出ることはもちろんダメでしたし、ご飯の半分は末期のがん患者の方が飲む栄養剤で、食後はそれぞれ2時間ずつ横にならなければなりませんでした。

そんな4ヶ月間を過ごしたので、「失ってから気づく大切さ」というのを身に染みて感じました。

「どうして今までたくさん遊ばなかったんだろう」

「何を躊躇って何を諦めていたんだろう」

物理的な制限がなく、自由で素晴らしい環境にいたのに、「お金や時間が無駄だ」と自分のやりたいことをしてこなかったそれまでの人生を、とことん後悔したのです。

私が嫌っていた、理性ではなく感情に突き動かされた行動でも、学生のうちだけなのかもしれませんが、学びや経験となり決して無駄ではないのだと気づきました。

みなさんももし何か些細な理由をつけてやっていないことがあれば、考え直してみてください。

ある日突然、私のように何もできなくなったら、それをやっていなかったことに後悔はしませんか。

2. 自分の愛し方は自分で決める

当時の私はSNSやメディアに影響されて、「痩せていなければ可愛くない」と考えていました。

正直、本人が好きでいられる自分でいるのが一番で、その結果が「痩せる」なのであれば誰も文句は言えないと私は思います。

けれど、果たして「痩せる」ことが目的で良いのでしょうか。

ダイエットを経て、例えばどんな自分になっていたいのか、どんな気持ちになりたいのか、それが本当の目的なのではないのでしょうか。

周りを見て、「とりあえず細くなりたい」となっていないでしょうか。

ダイエットを否定する訳ではありませんが、今や近い将来ではなく、遠い将来への影響も少し考えてみてください。

周りではなく、本当の自分と向き合ってみてください。

自分自身が愛せる自分になる良い方法は、他にもたくさんあると思うのです。

●ようやく人間らしくなった私

先月の23日に行われたStudent Picker中間交流会にて、同じ4期の河野磨優くんが撮ってくれた1枚。

病院に訪れた当初、先生には「AIのようだ」「外見だけ取り繕って、内面は空っぽだ」と散々言われていました。

今は違います。

それまでの自分の殻が破られ、好きなこと、やりたいこと、自分らしいことをどんどん挑戦して楽しんでいます。

この経験がなければ、Student Pickerになろうとも思いませんでした。

好きなものを食べて、行きたいところに行って、やりたいことをやる。

何かを気にして何かに囚われていたあの頃よりも、自分らしい今の私が一番好きです。

※トップ画像:Canvaよりtowfiqu ahamed barbhuiya撮影(https://www.canva.com/photos/MAENBJ4cJJc-stethoscope-and-heart-on-a-cardio-diagram-/)

※最後の画像:河野磨優君撮影

応援ありがとうございます!
いいねして著者を応援してみませんか



このトピックスについて
重村 真輝さん、他3763人がフォローしています