世界最高のベンチャーキャピタリスト2023

2023年5月9日
全体に公開

世界最高のベンチャーキャピタリストのトップ100を選出する『The Midas List(マイダス・リスト)』の2023年版が発表されました

The Midas Listは、米Forbesと、数多くの著名VCにLP出資するオルタナティブ資産管理のTrueBridgeCapital Partnersが、公開情報と投資家から入手した情報をもとに最も高いパフォーマンスを生み出したベンチャーキャピタリストをリストアップしたもの。2011年から始まり、ランキング形式で紹介されています。

投資先が大型のIPOを遂げると数年間はランクインできるものの、5年経つとランク外となるため、複数回選出されているとトップキャピタリストの証といえます。

今回は、最新版の上位5人に注目します。

☕️coffee break

2022年はIPO市場がストップしていたため、ランキングからの脱落は5名・初のランクイン者も7名と昨年の半分ほどにとどまりました。

選定は、投資先が過去5年以内に以下の条件を満たしたVCの中から、出資したラウンドからの想定リターンを算出してランク付けされています。

・2億ドル以上で投資先が上場または買収された
・未上場で企業評価額4億ドル以上がついた

※投資時からのリターンの倍率ではなく、運用益を測られるため、ファンドサイズが大きければ選ばれやすく、小さい場合はより高い成果を生み出しているということになります。

1. Neil Shen(ニール・シェン)氏

Sequoia China(セコイア・チャイナ)創業者兼マネージングパートナー
・今回評価された投資先:ByteDance(バイトダンス)

ここに注目👉4度目の首位で通算12回目のランクイン。ByteDanceだけでなく、Alibaba・DiDi・Meituan・Kuaishou・Pinduoduoなど中国テックを代表する企業が投資先です。自身も起業家として旅行予約サイト「Ctrip.com international(現Trip.com Group)」、格安ホテルチェーン「Homeinns Hotel Group」を共同創業して、2度もNASDAQ上場へと導いた伝説の投資家。

2. Meyer "Micky" Malka(マイヤー・ミッキー・マルカ)氏

Ribbit Capital(リビットキャピタル)創業者
・今回評価された投資先:Coinbase(コインベース)

ここに注目👉2年連続で2位、3年連続ランクイン中。10代のときに金融仲介業で起業・売却し、2007年にはモバイル決済のBling Nationを創業したものの失敗。その後、2012年に創業したのがRibbit Capitalで、2021年にAffirm、Coinbase、Nubank、Robinhoodと相次いで投資先のFinTech企業が上場したことで、同年に初めてランクイン。

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3. Alfred Lin(アルフレッド・リン)氏

Sequoia(セコイア)パートナー
・今回評価された投資先:Citadel Securities(シタデル・セキュリティーズ)

ここに注目👉DoorDashAirbnbにそれぞれ創業から1年・2年目に投資をして、上場日の時価総額が約5.8億円と約8.6兆円がつけたことで、驚異的なリターンを生み出し、一躍世界を代表するキャピタリストに。セコイア入社前はトニー・シェイ率いるLinkExchangeに参画すると、のちにマイクロソフトが買収。そしてスニーカーECのZapposをトニー・シェイと共同創業し、COO兼CFOとしてAmazonに買収されるまで事業拡大させた経験も。このZapposでの経験は同じく強いカルチャーを持つAirbnbの支援で大いに役立ったのではないでしょうか。

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4. Richard Liu(リチャード・リュー)氏

5Y Capital(五源资本) 創業者
・今回評価された投資先:Xiaomi(シャオミ)

ここに注目👉4年連続トップ10入りで9回目のランクイン。5Y Capitalは2008年に香港のChan家のファミリーオフィス「Morningside Group」から独立して、Morningside Venture Capitalとして上海で創業したのがはじまり。現在は北京・深圳・香港も加えた4拠点で米ドルと人民元の2通貨建てで総額50億ドル以上のファンドを運用中。

5. Navin Chaddha(ナビン・チャッダ)氏

Mayfield Fund (メイフィールド・ファンド)マネージング・ディレクター
・今回評価された投資先:HashiCorp(ハシコープ)

ここに注目👉The Midas ListがForbes単独運営時の2007年から数えても17回中15回ランクインしている猛者。起業家として、ストリーミングメディアのVXTREME(マイクロソフトが買収)、​​ストリーミングメディアのiBeam Broadcasting(NASDAQ上場)、中小企業向けSaaSのRivio/CPA.comの3社を創業した経験から、これまでに60社ほどに投資し、18社がIPO・27社がM&AでのEXITを遂げています。

🍫ちなみに

トップ5以外の話題としては、Base10 Partners の共同創業者Adeyemi Ajao氏が、南米のデジタルバンクNubank(ヌーバンク)への投資で96位になったことで、黒人投資家が初めてランクインしたという明るいニュースもありました。

また、日本人もランクインしています。

Sozo Venturesの共同創業者兼マネージングディレクター中村幸一郎氏Coinbaseへの投資で日本人として初めて72位につけたのが2021年のこと。2022年は63位→2023年にも55位と、3年連続でランクインしました。

過去にはZoom(ズーム)やPalantir(パランティア)などにも投資するなど、アジア・日本進出支援を望む米国スタートアップにとって、Sozoは魅力的な投資家となっているんですね。

昨年には3号ファンドの資金調達を1,000億円近くで完了することを明かすなど、平均的な米国VCのファンド規模と比べても10倍以上の規模になっています。

これまでにSOMPOとパランティア、三菱UFJ銀行とコインベースの協業事例などを生み出してきましたが、今後の事例も楽しみなキャピタリストです。

サムネイル画像:Unsplash/Joshua Golde

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