生成AIユニコーン全13社:評価額は売上の100倍以上(後編)
後編では、前編の続きとして、企業評価額10億ドル(1400億円)以上のユニコーン企業6社を紹介します。
これらの企業の売上高に対する評価額の倍率(売上高マルチプル)にも注目してみましょう。
☕️coffee break
8. 🇺🇸Replit(リプリット)
・評価額:12億ドル(約1681億円)
・主な開発:AIコーディング支援ツール「Ghostwriter」
ここに注目👉競合は1億人以上のユーザーを抱えるGitHubが展開するGitHub Copilotと強敵。2018年に、Microsoftが設立10年目のGitHubを買収した際のユーザー数は3,300人。ReplitはGoogle Cloudなどと提携することで、サービスローンチからわずか半年で2018年のGitHubユーザー数に迫る2,250万人まで利用者数が急増しています(23年4月時点)。
9. 🇺🇸Inflection AI(インフレクションAI)
・評価額:12億ドル(約1681億円)
・主な開発:パーソナルAI「Pi」
ここに注目👉世界トップ棋士に相次いで勝利した囲碁AIを開発したDeepMind(2014年にGoogleが買収)の共同創業者、AI研究者、およびLinkedin共同創業者のリード・ホフマン氏の3名が共同創業。5月にリリースした「Pi」は、感情的な知性を持ち、チャット相手の興味やニーズに基づいて知識を提供するため、コーチや、親友のような相談相手として人間のような対話をすることができます。
10. 🇺🇸Adept AI Labs(アデプトAIラボ)
・評価額:10億ドル(約1400億円)
・主な開発:ソフトウェア上でのタスク自動化AI
ここに注目👉CEOはOpenAI→Google Reserch出身。コンピュータービジョンと機械学習を組み合わせることで、フォームの入力や、メールの返信などの反復タスク自動化に取り組んでいます。現在はサービス非公開ですが、設立からわずか1年にして、RPAで代表的なAutomation Anywhere、UiPathよりも高い技術を有するという噂も。
11. 🇺🇸Character Technologies(キャラクター・テクノロジーズ)
・評価額:10億ドル(約1400億円)
・主な開発:対話型AIチャット「character.ai」
ここに注目👉昨年9月にベータ版をリリースしてわずか2ヵ月で月間ユーザー数は1億人を突破。マリオなどアニメキャラクターや、バイデン大統領、イーロン・マスクなど著名人の個性や価値観をカスタマイズしたAIとチャットを楽しむことができます。
5月にはiOS・Androidアプリもリリースして、わずか 1 週間足らずで、170万以上インストールされました。これは、OpenAIのChatGPTアプリが6日間で50万インストールだったことを踏まえると、その凄さが伝わります。
12. 🇬🇧Stability AI(スタビリティーAI)
・評価額:10億ドル(約1400億円)
・主な開発:画像生成AI「Stable Diffusion」
ここに注目👉かねてから、サイトの日本語対応など、日本市場での展開に注力していることが特徴。COOには元メルカリ執行役員の伊藤 錬氏、6月にはプリファード・ネットワークスの元執行役員で天才エンジニアとして知られる秋葉拓哉氏もシニアリサーチサイエンティストとして入社しました。
一方で、ストックフォトサイトの「Getty Images」から知的財産権の侵害で提訴されるなど、トラブルも。
13. 🇺🇸Glean Technologies(グリーン・テクノロジーズ)
・評価額:10億ドル(約1400億円)
・主な開発:AI活用の社内ドキュメント検索・分析サービス
ここに注目👉大規模言語学習LLMを搭載した検索エンジンをもとに社内の全てのアプリを横断して独自用語や文脈を理解した検索結果を瞬時に導いてくれるサービスを提供。検索者に応じて適切なパーソナライズができることも特徴です。日本では、アシストが代理店契約を締結して、5月31日からサービス提供を開始しました。
🍫ちなみに
判明している企業だけですが、2022年の推定売上高は以下のようになっています。
・Lightricks:1億420万ドル
・Jasper:5000万ドル
・Hugging Face:3260万ドル
・OpenAI:2800万ドル→23年は2億ドルの見込み
・Cohere:230万ドル
・Anthropic:1540万ドル
・Runway AI:100万ドル
一部企業は今年に入ってから、資金調達をしているため、売上高が急増していることに注意する必要がありますが、2019年に18億ドルと評価されたLightricks以外は売上高に対して、高い評価をされていることがわかります。
OpenAIの場合でも、2023年見通しの売上高2億ドルをもとに今年の資金調達後評価額を見ても、145倍の290億ドルとなっています。
また、Adept AI Labsはそもそもサービスをリリースすらしていないなど、売り上げが実質ゼロの企業もあります。
急成長への期待値が企業評価額に反映されるとはいえ、あまりにも高い評価です。過熱している状況がいつまで続くのか、熱が冷めるまでに各社が売り上げを伸ばすことができるのかに注目が集まります。
サムネイル画像:Unsplash/Andrea De Santis
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