ハワイもスタートアップ・エコシステムが急拡大しています

2024年5月2日
全体に公開

ハワイと言えば、美しいビーチ、火山、そして伝統文化です。

主要産業は、観光・軍需、それを後押しする農業のイメージが強いのではないでしょうか。

しかし今、スタートアップ・エコシステムも急拡大しており、資金調達総額は5年で10倍にも増加しました。

今回はそんなハワイのエコシステムに注目します。

サムネイル画像:ハワイ・ワイキキビーチ ©︎ Unsplash/AussieActive

☕️coffee break

ハワイのスタートアップ・シーンにおいて、大きなターニングポイントは2012年に「Blue Startups」が設立されたことです。

観光産業の依存から、テクノロジーを起点とした経済の多角化を目的に、大ヒットゲーム「テトリス」のライセンスを有するThe Tetris Companyの創業者と現CEO、ハワイのエンジェル投資家ネットワーク「Hawaii Angels」のメンバー、3人がハワイをスタートアップ・パラダイスにすべく、立ち上がったのです。

Blue Startupsコーポレートサイトのスクリーンショット

このBlue Startupsはハワイ州、州政府のハワイ技術開発公社などと連携して、12週間の集中的なスタートアップ支援プログラムを提供するアクセラレーターです。

また、米国の著名なアクセラレーター、Techstarsが運営する3400社以上のコミュニティ「Global Accelerator Network」に初めて参加した1社であるため、グローバル・ネットワークにも強みを持っています。

そして、年に1回はハワイ、アジア、北米の投資家・起業家を集めたハワイ最大のテックカンファレンス「East Meets West」を10年にわたって開催し続け、イノベーション文化の醸成にも取り組んできました。

その結果、2023年にハワイのスタートアップ資金調達総額は、過去最高の20億ドルと、5年で10倍に増加したのです。

2023年のハワイのGDPは約868億ドルだったため、GDP比で約2%にも及びます。

同期間のGDP比資金調達額は、米国全体でも約0.6%、日本は約0.1%であることを踏まえると、その凄さがわかるでしょう。

🍪もっとくわしく

では、ハワイ発の注目スタートアップを4社見ていきましょう。

reef.ai

👉2023年ハワイで最も資金調達額が大きかったスタートアップ。既存顧客のヘルススコア(利用状況)を視覚化して、解約阻止・クロスセル(関連プロダクトの販売)・アップセル(顧客単価の向上)ができるようアクションを促す通知を送るサービス。

AI・機械学習を活用して、分析の自動化をしているため、取締役会へのレポーティングなども簡単にできることが特徴です。

Farm Link Hawai'i 

👉ハワイ最大のオンライン食品マーケットプレイス。地元の農家・牧場、パン屋など、地元の食材を前日22時までに注文すると、翌日9時〜17時の間にオアフ島内であれば自宅まで配送してくれます。これまで生産者は梱包材を入手することが難しかったことから、生産量を拡大することができませんでした。

Farm Linkは注文・配送梱包・最低注文金額を30ドル、79ドル以上は配送料を無料にすることで、まとまった注文を受け、梱包から支援することで、生産者もさらに事業を拡大することができます。

当初はハワイをメインに事業展開していましたが、現在は米国本土などをメインに事業展開しているスタートアップもあります。

Turno

👉Airbnbに特化した清掃会社とのコミュニケーションサービス。これまでは電話、メール、SNSアプリなど、複数のサービスを横断する必要がありましたが、ホストも清掃会社もアプリ上で全てのフローを完結させることができます。

すでに米国本土、カナダ、ヨーロッパ、オーストラリアなどに進出しています。

Instant Teams

👉2016年にハワイでリモートワークで働きたい人と企業のマッチング、オンボーディング支援サービスなどを提供していましたが、現在は軍人の配偶者に特化したオールインワンの採用プラットフォームを提供しています。

配偶者は転勤のたびに失業し、スキルがあっても高いポジションで働くことが難しいという課題があるため、リモートでの仕事を見つけ、迅速に活躍できるよう企業と候補者(配偶者)双方をサポートしています。

🍫ちなみに

2023年ハワイのスタートアップ・エコシステムへの投資に最も貢献した投資家として、ハワイ・ベンチャーキャピタル協会が表彰したのは、Startup Capital Ventures x SBI Fundです。

これはSBIホールディングスが米Startup Capital Venturesと、2022年に共同で設立したアーリーステージ向けのファンドです(運用主体はStartup Capital Ventures)。

SBIからはSBI Holdings USAの代表、Tomohiko (Tomo) Yoshida氏(米国籍)がマネージング・ディレクターとして参画しています。

先述した顧客エンゲージメントサービス「reef.ai」のリード投資家として、2023年の資金調達をリードしました。未だ設立2年目のため、今後さらに投資活動を活発化させていくため、さらに注目を集めていくでしょう。

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