籏智 広太

トランプ氏銃撃事件で、日米で拡散した誤情報や陰謀論を、改めて検証しました。 「内部犯行説」「自作自演説」など、政治的立場に関わらず誤情報が広がった背景は。 さらに、これまで陰謀論を広げてきた「Qアノン」とともに問題視されるようになった、「ブルーアノン」とは何なのか。 専門家からは、社会の分断の深化と暴力の連鎖を懸念する指摘もあがっています。記事にまとめました。

トランプ前大統領の銃撃事件めぐり誤情報が拡散しています。 「事件翌日にゴルフをしていた」 「撃たれる瞬間、安倍元首相の声が聞こえ振り向いた」 「シークレットサービス長官が容疑者を倒す命令を出すのを拒否」 など、アメリカで広がったものが日本でも多くみられています。 なかでも、「安倍元首相の声」に関する情報は、複数の投稿をあわせ、およそ3700万回閲覧されていました。 元となった英語の投稿を行ったアカウントは「ジョーク」だったと投稿しています。 ほかにも多くの誤情報などが広がっていて、注意が必要です。調査を担当しました。

小林製薬の社長の「偽の会見内容」が拡散しています。 新型コロナワクチンのケースを引き合いに、政府や報道機関の対応を批判したというもので、2千万回以上閲覧されています。 エイプリルフールで広がった偽情報が、再拡散したものです。会社側にも取材し、記事にしました。

TikTokにあふれる誤情報の実態を、独自に検証しました。 「がん」「不妊」といった健康・医療、陰謀論、お金に関するものなど、NHKが確認した誤情報の総再生数は3億回超に… 専門家は、「若い世代への中長期的なリスク」に警鐘を鳴らします。担当した記事はこちらです。

《NHKがXの投稿を分析したところ、「ママチャリ」と「逆走」に関する投稿はきょう正午までで5万件を超えています（…）いわゆる「インプレゾンビ」による投稿も見られ、拡散がさらに進む状態になっています》 《SNSトラブルにくわしい神田弁護士は「拡散に加担で法的責任問われる可能性」と指摘。 「投稿した側は『少し懲らしめてやれ』くらいに思っているかもしれないが、相手の権利を侵害している可能性があるので冷静になるべきだ」》

「マイナンバーがすべての預貯金の口座と強制的にひも付けられ国に管理される」 こうして“拒否”を呼び掛ける不正確な情報が拡散しています。 多くの投稿が広がるXでは計3500万以上の閲覧数になり、TikTokでも数百万再生されている動画が… 制度への不信感や、周知の不足を背景に広がったとの指摘も。改めて情報を整理しました。

台湾の地震をめぐっても、Xでは「インプレゾンビ」による投稿が相次ぎました。 ほかにも、「人工地震」「地震予知」といった偽情報や過去動画を用いた誤情報、能登半島地震の動画が使われたケースも。 空港の海上保安庁の航空機をうつした写真とともに「お偉いさん達はプライベートジェットで緊急避難か」などと書き込んだ誤情報は70万回閲覧されていました。 有事には安易に「拡散しない」ことがまず大切です。記事を出しました。

「拉致被害者の横田めぐみさんが北朝鮮のチェ・ソニ外相と同一人物」とするNHKニュースを装った偽情報。 画像が複数転載され、少なくとも計1100万回以上表示されるなど拡散しています。 報道機関を装ったこうした偽情報・誤情報はXなどで相次いでいます。注意が必要です。

東日本大震災から13年。TwitterとXで、何が変わったのか。 津波で避難しTwitterを通じて救助された人。能登半島地震で偽の救助要請に翻弄された人。 これまで、防災情報を発信してきた「特務機関NERV」。 それぞれの思いを辿り「災害時のSNS」を考える企画を担当しました。

ウクライナへの日本の支援を批判する「偽情報」や「親ロシア的な言説」の拡散が増えています。軍事侵攻から2年間のSNSの変化、分析を担当しました。 「まとめサイト」などによるもので、こうした記事の広がりが、昨年のG7広島サミット後から増えていることが明らかに。 当初は支援情報や大手メディアの記事が大半でしたが、昨春から、ロシアを支持する投稿を繰り返す「まとめサイト」や「スプートニク」などの記事が拡散上位に入るように。 直近では「ウクライナ復興に日本が50兆円支払いか」などとする偽情報が最も多く広がっていました。

“偽の救助要請”で問題視された海外のいわゆる「インプレゾンビ」。能登半島地震の偽情報にかかわった投稿者のうち2人が、NHKの取材に応じました。パキスタン居住といい、「収益目的」の投稿だとを認め、謝罪も…。 “偽の救助要請”を投稿していた24のアカウントを分析すると、半数の12は居住地がパキスタンとなっていたほか、中東からとみられるものも。 去年10月以降、日本語のコピペ投稿などは3000近くあり、そのうち能登半島地震に関する投稿は160、1100万回以上見られていました。 拡散状況の分析と取材を担当し、記事にまとめました。ニュース7でも放送されています。

世界中で広がっている、「白ダウンを着ているローマ教皇」というAI生成のフェイク画像。 制作者は「トリップ」していた際に、「面白いものをつくろう」として思いついた画像だったと証言。 カトリック教会への悪意を否定し、「クレイジーだ」と、拡散への恐怖を訴えました。