「最高の老後」を過ごすための5つのMとは?

2022年5月30日
全体に公開

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毎回、こちらのトピックスでは最新医学論文の解説をさせていただいているのですが、今回はこの度お披露目できることとなった書籍のご紹介をさせていただきたくこの記事を書いています。昨日から予約が開始となったばかりの本です。

タイトルは、「最高の老後 「死ぬまで元気」を実現する5つのM」。講談社から出版されます。そしてこちらが表紙です。

「老後」という言葉には定義がなく、私自身その言葉をタイトルにすることには抵抗があったのですが、講談社の方たちの強い推薦と定義がないからこそ思い思いの受け止め方で読んでいただけるのではという発想の転換から、ポジティブに捉えるようになりこのタイトルにしました。

この書籍で紹介したのは主に、1)老化で何が起こるのか、2)老化を防ぐにはどうすればよいか、という点です。

歳を重ねる「加齢」は、赤ちゃんから高齢者まで皆平等に等しく起こる一方、「老化」は全く等しくなく、個々人で大きな違いがあることが知られています。

この違いがどこから来るのか、そのスピードはどうすれば変えられるのかについて、300本以上の論文を紐解きながら「5つのM」というフレームを用いて解説しました。

この「5つのM」というのは、ご存知の方はあまり多くないかもしれませんが、米国の老年医学専門医ならば誰もが知っているフレームです。本来は高齢者を診療する際に欠かせないフレームワークということで提案されたものなのですが、「老化予防」という観点でも用いることができる視点だと考え、今回の書籍で活用することにしました。

ここでは、それらのMを1つずつご紹介していきます。

まず一つ目のMは、Mobilityです。日本語では「可動性」や「移動性」などとも訳される言葉です。「からだ」の機能、すなわち「どのぐらい動けるか」を指します。若いうちは何の支えもなしに自由に動きまわることのできた人でも、歳を重ねていくうちに杖や歩行器が必要になることがあります。また、車椅子や寝たきりになる人もいます。それがどのようにして起こり、どう予防するかという視点です。

2つ目はMind。「心」や「知性」を意味すると共に、ここでは認知機能や精神状態を指しています。認知症やうつ病は、高齢者でよく問題になる病気です。いくら体が元気でも、脳や心も元気でないと、結局体の具合が悪くなり、人の助けが必要になっていきます。このMindの軸では、「こころ」に焦点をあててアプローチします。

3つ目はMulticomplexity。これは一般に、多様な疾患を抱えた状態を指しています。歳を重ねていく中で、生活習慣病、がん、感染症、心臓の病気など、さまざまな病気のリスクが増えていきます。これらは、運悪く発症してしまうものがある一方で、工夫をすれば未然に防ぐことのできる病気もたくさんあります。このような多様な病気を防ぐためにできること、また多様な病気との付き合い方について考えていくのが、このMulticomplexityの軸です。ここでは、「よぼう」の視点がとても大切になります。

4つ目はMedication。Medicationはズバリ「くすり」のことです。高齢になると、多くの方がたくさんの薬を飲むようになります。1日に服用する薬の数が非常に多い状態を「ポリファーマシー」と呼びます。薬やそれが治療する病気の性格上、どうしても長い間飲まなければならない薬、飲んだ方が良い薬があることに間違いはありません。一方で、やめられる薬、やめた方がいい薬もあるにもかかわらず、それに医師も患者さん本人も気がつかずに続けられてしまっているケースが多くあるのもまた事実です。このMedicationの軸では、そういった「くすり」の問題を明らかにし、どのような付き合い方ができるかを考えます。

最後に忘れてはならないのがMatters Most to Meです。これは、「あなたの人生にとって何が最も大切か」という視点です。人はそれぞれ自分の健康上のゴールや好みがあるはずです。人によっては、寝たきりになってでもとにかく長生きをすることが大切と考える一方で、人に依存しない生き方こそが大切だと考える人もいます。あるいは、登山が好きな人にとっては、山登りのない人生など考えられないかもしれません。このように、個々人の「生きがい」、最も大切なことは何かに目を向けることも、上手に歳を重ねる上で大切なポイントになります。

全てのMが上手に歳を重ねていく上で大切なポイントとなるのですが、それぞれのポイントをエビデンス・ベースで解説することに試みました。よくある「これを食べれば老化を防げる」というようなエビデンスを度外視した自己流は、この本では一切排除しています。例えば、認知症の予防法やよくある病気の予防法が「どこまで分かっていてどこから分かっていないのか」という視点でまとめています。

論文のデータを多数用いているので、それらが分かりやすく伝わるように、私が最も信頼しているNewsPicksのデザイナーの岩城さんに特別にお願いして、本の中のグラフや図解を全て担当していただいています。

構想からリリースまで本当に時間がかかり、またこの本のために何百という論文を読み込んだので正直難産でしたが、その分、今は我が子の誕生のように嬉しく思っています。

また、フォロワーの方にはご連絡が入ったと思うのですが、7月7日の七夕の日には、NewsPicksトピックスイベントも開催されることになりました。そこでも、この書籍で取り扱った内容をクイズ形式でご紹介しながら、「健康な加齢」「老化」について楽しく学んでいただける内容にしたいと思っています。皆様にお会いできるのを楽しみにしています!

書籍はすでにAmazonや楽天などで予約が開始されていて、イベント開催前の6月24日に発売予定なので、イベントにご参加いただける方は、ぜひ予習してきてくださいね!

とにかく加齢や老化についてどっぷり学んでいただける自信作になっているので、一人でも多くの方の手に届けばと思い、ご紹介させていただきました。

Amazonリンク:https://amzn.to/3a38W5q

楽天ブックスリンク:https://books.rakuten.co.jp/rb/17170197/

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