つながり日記:人をつなげる「場回し」10の秘訣

2022年10月28日
全体に公開

今回は番外編です。

先日書いた「50人が集う場作りの実践」でこんなコメントをいただきました。

日比谷コメント「場をまわす」は無自覚だった😅ので、、再現できるように言語化してみます!

古屋さんコメント意外ですが、これはぜったい日比谷さんの「暗黙知」なのでぜひ言語化していただきたいです。
例:
・場をどう持たせるか(集中か分散か、時間帯ごとか)
・全体への会話の振り方で気をつけていること
・司会・運営、スピーカー、参加者などの振り方

ということで、「つながる場作り」の観点でポイントをまとめてみます。

1、目的を明示

この場が何を目的とした場なのかを明示します。今回は声がけ、申し込みフォーム、冒頭の挨拶などでなんども「新しいつながりを作ってもらう場である」ことを宣言。

「知らない人に声をかけて良い」「相手もつながるために来たはずだ」と思ってもらい、気軽に声がけしあえるように仕向けます。

2、越境の強制

「自分のコンフォートゾーン」に閉じこもって新しいつながりを作りにいかなくなったり、他者が声をかけにくい状況を作らないよう、「強制的に越境するしかない」「殻に閉じこもらない」状況を作ります。

特定の誰かに依存した場所にせず、「誰のホームグラウンドでもない(=主従関係を生じさせない)」場をチョイス。また、顔見知り同士が固まってしまったり、それによって疎外感を感じる人が生じないよう、「いつもの顔ぶれ」にならない人選を心がけました。また、その一環として「みんなが知らないだろうゲストを一人同伴する」ルールを設けました。

3、安心安全な場所

集まっているのは「つながって問題ない人たちである」ことを明示し、安心して声がけできる環境を準備。なぜ招待したのか、誰がいるのか、、をお伝えします。

今回は招待客のリストを共有すべく、閲覧専用スプシで用意し、参加した人だけに見せるためにエントランスでアクセス用のQRコードを掲示。「どんな人が来ているのか」を把握することで、「どんな場なのか」をイメージしやすくしました。

4、快適な空間

交流以外のことに気が散らないよう、快適で過ごしやすい空間を用意します。

清潔で天井が高く空間的にも余裕のある会場。交流しながらつまみやすいフィンガーフード中心の食事、金額や支払いをいちいち気にしなくて済むよう会員制で飲食フリー。仕事(=自分の所属)の延長と感じさせにくい非日常感(内装と照明)などなど。

これらの要件は会場によって制約が生まれやすい要素ではありますが、「何を目的として各要件を決めているのか」を意識しておくとよいかと。「ただ広くて飲食可能ならOK」ではないことになります。

5、時間構成のメリハリ

頭出しのトークは重要。みなさん最初はちゃんと聞いてくれるので、「目的」「ルール」「誰が主催者なのか」など、ここまで挙げてきた要素を明示。

中盤は「ひたすらつながってもらう」ために、長めの交流タイムにしました。

そして、やや中だるみ、交流のスピードが落ち、同じような顔ぶれで固まり始めた頃を見計らって、ギアチェンジも兼ねて「ミニピッチ大会」を実施。(進行のコツは後述)

再び交流タイムに切り替えて、ピッチの内容を軸としたやりとりがなされることを期待。

最後は時間きっちりに終了宣言をし散会。今回は会場の都合もあって、時間きっちりに散会となったのはよかったです。話が盛り上がると名残惜しくてなかなか解散できず、ずるずると居残りがちですが、これはロジの都合や「いつ切り上げようかな。。」という余計な迷いを生じさせてしまってよろしくない。二次会に行きたい人は、自由にどうぞ、、というスタンスで臨みました。(後日聞くに、何組かに分かれて二次会が開催されたようです)

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ギアチェンジと交流促進を目的としたピッチ大会でもいくつか工夫をしました。ここからの6〜10は、ミニピッチを進行する際に気をつけた点をご紹介します。

6、ミニピッチ:ゆるい強制

まずスタンスとしては「ゆるい強制」で臨みます。交流の最中に始まる企画なので、話が盛り上がっている人はそのまま交流を続けてもらっても構わない。しかし、隙間時間が生まれたり、ちょっと気分展開したいな。という人に、「あ、一応オフィシャル企画が始まったみたいだから聞いておくか」と思ってもらえるくらいにはきちんと語りかけ、進行します。

進行する人のスタンスが「どうせ聞いてくれないだろうけど、、」とか「交流してる人もいるし、気まずいかな」などと弱腰でいると、振る舞いや言葉遣い、声の出し方など一挙一動いその思いが現れてしまい、「まあ聞かなくてもよさそうだね」という想いを生んでしまいます。

デレク・シヴァーズの「社会運動を起こすには、まずひとりのダンスから」かのように、「聞いてる人がいなくても進めるんだ」の覚悟で臨むとよいのでは。

7、ミニピッチ:「こう交流してほしい」を示す

今回は、複数人の有志の方々に、自社サービスや興味あることについてミニピッチをしてもらったわけですが。進行役(私)が登壇者に対してどのような距離感で臨むかを、相手によって調整しました。

「こんな感じで、参加者さん同士で交流してもらっていいんですよ」というお手本を示すスタンスです。

今回の目的は、ピッチをきっかけに登壇者のことを知ってもらい、その後の新しいつながり作りのきっかけにしてもらうことです。また、今回の場のルールは「フラットな個人のつながり」でした。

そこで、進行役は登壇者に、フラットなスタンスで、かつフランクな口調で語りかけます。まず、言葉遣いは丁寧になりすぎず、友達かもしくはカジュアルな飲み会での会話のように。分からないことがあれば、「ちょっと待ってください、そこよくわからなくて、もう一度話してもらえませんか??」と話の途中でもさえぎって質問。時はツッコミやタメ口も挟みつつ、といった感じ。TPOによっては、登壇者を持ち上げたり、途中で遮らずに話し切ってもらったりするかもしれません。

8、ミニピッチ:話題の種を引き出し、場に戻す

時間が限られていることもあり、またアドリブで話している方もいるなどして、登壇者が言いたいことを全てきちんと話せるわけではありません。(今回は広報やメディア関係者が多かったので、アドリブでもだいぶ上手くお話する方が多かった印象ではありますが)

また、ピッチの目的は交流のきっかけ作りです。つまり、登壇者の話や人柄に興味を持ってもらい、登壇後に声をかけあって「さっきの話、もうちょっと聞かせてください」「あの話、面白かったね」と話題にし交流のきっかけにしてもらたいわけです。

なので、ピッチの中で全て説明しきってもらう必要はなく、進行役は「どんなトピックを話せるのか」「どんなキャラクターなのか」「話しかけやすい人であることを示す」などを意識します。

また最後には「ということで、この登壇者さんのxxxの話題が気になった人はぜひ声をかけてくださいね」などと振る(CTA=Call to action)のもありです。そうすると、登壇者も聞いてる人も、「そうだこのネタをきっかけに話してみよう」と行動を創起しやすくなります。

9、ミニピッチ:登壇者を揺さぶる

登壇者によっては緊張して話が散らかったり、熱が入って話が長くなってしまう人もいます。繰り返しますが、今回のピッチの目的は交流のきっかけ作りなので、流暢に話すこととか、情報をMECEに紹介してもらうことではありません

ので、あとで「あの話なんだけど、、」と声をかけてもらったり、「あ、この人は好感持てるなぁ」と思ってもらう方が大事です。

ので、緊張している人には頻度高めに話しかけ冗談を挟むなどしてリラックスしてもらい、気合い入りすぎて話が長い人にはわざと茶々を入れて話の腰を折る、など工夫します。

本人が「これを話そう」と決めて準備した内容もよいのですが、想定外の質問に対して答える内容やその様が、人の気をひくユニークな情報や人間性を表すものでして。結果的に多面的な人柄が見える化されて、その後の交流がスムーズになったりします。

10、ミニピッチ企画:適度に他主催者が主張

今回は主催者が私以外に2名おりまして。お二人は積極的に表に立つタイプでもなかったのですが、きちんと「この人たちが主催者で、どんな想いでこの場を設けたのか」をしめすべく、ちょくちょく二人に話を振ったり、話題にしていじるようにしました。

結果として、ピッチの途中から聴き始めた人にも「この場所は何のための場所なのか」が伝わることとなるし、主催者が明示されることで「こんな人を紹介してほしいんだけど」と声をかけやすい環境を作ることにもつながるわけです。

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いかがだったでしょうか。

こうして書いてみると、それなりにもっともらしい意図や仕掛けがちりばめられておりまして、まさに「暗黙知」だなぁ、と思った次第です。

他のポイントも思いついたら追記していきますし、もし過不足に気づいた方がいたら教えてください!

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