つながり日記:「つながりを学ぶ読書会」やりました(後編)

2022年11月12日
全体に公開

日々のつながりを振り返りつつ、そこに潜む「ひとをつなぐ原則」を見出していきますよ。

先日、つながり本の読書会のDAY02を行いました。その様子をレポートします。(DAY01のレポートはこちらをご覧ください)

●なにをやったか

①担当セクションを発表

DAY01で割り振った担当範囲を、本の構成に沿って発表します。今回はひとりあたり2章分が割り振られました。目安はひとり5分。質疑応答はなしで、淡々と「担当章の自分的まとめもしくは気になった点」を発表していきます。スタイルは自由で、スライドにまとめる人、手書きイラストの方も。

私は「今後どこかで話すかもしれない」とプレゼン用のスライドに整理。
手書きのイラストにまとめてきた方も!

内容も「的確に要約する人」「自分が響いた点をピンポイントで説明する人」「感想中心の人」「派生情報、歴史的背景などを調査して披露してくれる人」などなど、スタンスは様々。そのスタイルや語り口に個性が滲み出て面白いし、「同じ本を読んでるのにこんな解釈や発想の展開があるのか!?」という発見もありましたね。

このあたりは、ABD(Active Book Dialogue)の醍醐味ですよねぇ。

②ディスカッション

①の要約を踏まえ、「書籍から得た知見や気付きを、身近な課題に適用したらどうなるか」をディスカッションします。

宿題として「自分ならこのケースに適用してみたい」を持ち寄ってくれたので、その中の2つのケースについてディスカッションが始まりました。

「私ならこうする」「●章の考え方を当てはめると、、、」、、と議論が盛り上がる

前半はIさんのケース。詳細に言及するのは控えますが、「社内の新規事業部門と旧メイン事業部門の壁をどう崩すか」という話。Iさんは「コネクタ」ポジションであり、「いかに壁を壊すべきか?」とか、「いやこの本のフレームワークを使うなら、敢えて壁を認識させて、違いを認識させあうことが大事では?」とか「(この本のケースのように)秋のバスハイクを企画すべきだ!」などの意見が挙がるなど、議論が盛り上がりました。

後半はHさん。とあるクロスセクタープロジェクトにおいて、「出自&価値観が異なることからいつもピリつく二人がいて、ことあるごとに衝突し、マネジメントに苦労している」というケース。こちらも、「どちらが正解ということではなく、違いを明確にすることが大事なのでは」「違いがあっていい、という前提を共有するところからだ」などの意見が挙がるなどして盛り上がりました。

いずれのケースでも、単に「俺はこう思う」「私は昔こうした」という主観や経験の開陳に終わらず、「この書籍の考え方を適用するならば、、」という前提で考えることが共有されており建設的な議論になりやすかったのと、学びたての知見を具体的なケースに当てはめることで理解が深まり定着する効果を実感できました。

この議論での気づきを持ちかえって現場で実践すると、知識やアイデアが血肉となって定着するんでしょうねぇ。

③チェックアウト:気づきの共有

最後にチェックアウト。二日間のプロセスや、今日のワークによって気づいた点を言語化&発表して終了です。

2時間のワークを終え、ぐったり感と爽快感が入り混じった表情のみなさま。

今回は業務時間後の夜に開催したこともあって、あっという間の数時間のワークを終えた頃にはすっかり夜中に。みなさん満身創痍といった感じでしたが、「学び、知見を整理し、アウトプットし、ケース適用して議論する」というプロセスを一気に駆け抜けた疲れと充実感、そしてそのプロセスを共有したことで連帯感も生じたように感じております。

前回のまとめでも書きましたが、書籍の提唱する「つながるための場づくり」を学ぶだけでなく、参加者同士がつながる機会としても機能した手応えがありました。

●全2回の振り返り

全2回の読書会を経て、運用メンバーで振り返りをしたので、その結果もまとめておきましょう。

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みんなで持ち寄ったまとめをマージしたら、かなり濃密な「要約集」ができあがった!
1.元々の意図は何だったか?
・つながりの原則を深堀りする。探求する。
・この連載や、今後「つながり」について発信する際のヒントを見つける。
・人を巻き込むことでみんなの興味を「実感」する。

2.生み出した成果は何か?
・書籍で提唱されているフレームワークを深く理解できた。
・フレームワークを、早速自分たちのケースに適用し、解決の糸口を見つけられた。・参加者の興味や関心に触れられた。・お互いの心理的安全性が高まり、書籍の内容を学ぶという当初の目的とは別に、連帯感や共同意識が発生する満足度のある時間になった。
・「アイデンティティサークルをやりたい(=さらに理解や実践を深めたい)」という声が挙がった。

3.意図していなかった成果や気づきは何か?

・「本の理論×個人のケース」で学びが深まり、人同士もつながることを発見!
・「本の理論」が共有言語になり、連帯感を支える。
・個人ケースは現在進行中で答えがなく、利害関係もないので発言しやすい。・読書会自体が「つながる場作りの実践」になっていた・・・!

・過去の成功ケースをこの本のフレームワークに当てはめたら、暗黙知が形式化された  例)「ピッチはタメ口で」
  例)「うちのコミュニティスペース(店)を使っていいですよ」は中立地じゃない!

4.うまくいった/機能したのはなぜか?・参加者に場に還元しようという思いがあり、コミットメント高い場になった。
・みんなでつくる感。ひとりひとりが1/6の存在だと思えた。
・テーマに対する関心が高かった。「つながり」にまつわる具体的な課題があった。
・主催者(わたくし)が、自分の自慢や功績ではなく葛藤や悩みを共有したことで、主催者-参加者の壁が早めに取り払われた。
・DAY01と02のインターバル2週間がちょうどよかった。前回の熱や雰囲気を残しつつ、本を読んで日常で試したり考えたりする余裕があった。
・テーマと芯だけ外さず、しかしタイムラインは作りこまない。その場の雰囲気を大切に。(私はこれを横Pスタイルと呼んでいます)

5.やり直すとしたら何を変えるか
・参加者がどんなケースに関心がある、事前に知り合う時間があるとよかった。
・まじめにABDに取り組めたのはよかったが、もっと個々人の多面性を理解するための設計・仕掛けがあるとよかった。(一方で、いきなり自己開示だとうまくいかない。ABDの型があったことでスムーズに進んだ側面もある)

6.まだ話されていないことは何か、ここから何を考えたいか・(エクストラ開催の)「アイデンティティサークル」のワークをどうやるか?
・その先に何を期待するか?
・サークルを書くことで新しい法則が見つかるのではという期待あり!


うむ、あまり細かく設計しすぎずに、ABD+αでゆるゆると開催したわけですが、さまざまな気づきやつながりが生まれる会になったなぁ。(こうやって振り返っておかないと、「なんか面白かったね」で終わってしまい、知見の定着や再現の余地を見失ってしまいよなぁ。)

また、個人的にも自分のwantが言語化される良い機会となりました。

▼日比谷の個人的な気づき

・自分自身は「つながる(越境する)」ことにはなんら抵抗も課題感も欲求すらもない

・興味があるのは「人と人がつながる場作り」。(いい試合を見るために、いい選手と出会いたい)
・「つながる場作り」に挑み続けるためにも引き続き場数を踏もう。
・で、原則探しを続けていこう。(直近関わるイベントやらコミュニティやらカンファレンスなどで応用できそうなアイデアがいっぱい!)

・それはBarでもタニモクでもイベントでもカンファレンスでも何でもよい!

●エクストラ開催:アイデンティティサークル

今回の読書会を進める中で、『書籍に登場した「アイデンティティサークルを使ったワーク」を試してみたい!』という声が挙がりまして。

ざっくり言うと、「多様な価値観の人が集まるコミュニティにおいて、お互いの価値観を知ることが大事」「そのためにも、まず自分の価値観(=アイデンティティ)を認知し、語れることが大事」ということで、、「自分の価値観(=アイデンティティ)を棚卸する」という手法であります。

ということで、近日中にエクストラ開催することになりました。

細かい手法や開催結果のご紹介は別の機会とさせてもらいますが、、このワーク、私がコネクタとして「人とのつながりを広げ、育むための考え方」を研修などでお伝えする際にやっているワークと構造が同じなんですよね。「人とつながり、理解するためには、まず自分を理解しよう」ってことかなぁ、と思いますです。

●まとめ

ということで、、全2回の読書会を通じて「組織の壁を越える」を題材に、「(越境して)つながるための場づくり」ための考え方を深掘りしてきたわけですが。

この本の魅力ももちろんながら、読書会スタイルのパワフルさを実感することとなりました。他者の脳みそを借りて解釈や理解の幅や深さをブーストする効果もあるし、参加者同士の相互理解=つながりを生みますねぇ。

「つながる場作り」のメカニズムを学びたい方には本書籍はおすすめですし、もし深掘りしたい方は「つながりたい人たちとの読書会」スタイルにチャレンジすることもおすすめです。

私は、また別の書籍をお題に開催しようと目論んでおりますよ。開催する際は告知&レポートさせていただきますね。

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