バーベキューの隠し味
皆さんは、バーベキューを楽しむ時に、どのような隠し味を入れますか?今回は、私の「とっておきの隠し味」をご紹介します。
1年の半分はストーブのスイッチを押したくなる北海道も、やっと夏がやってきました。この季節になると、屋外でのレジャーを楽しむ機会が盛んになります。
私は視覚障害(弱視)の影響で眩しさに弱く、日中の時間帯に外に出ると、普段より見えにくくなってしまいます。手の届く範囲は何となく見えますが、それより先は白飛びしてしまいどんな状況なのか認識ができません。一方、自宅など慣れた屋内では、矯正して0.06の視力を使い、料理をしたり掃除をしたり、てきぱきと動くことができます。
そんな状態ですから、バーベキューの準備をしたり、お肉を焼いたり、片付けをしたりするのが難しいです。けれど、バーベキューでしか味わえない炭で焼いたお肉の美味しさは、楽しみたいものです。
私にとって不自由さと魅力がいつも鬩ぎ合うバーベキュー。しかし、こんな隠し味があると、心の底から楽しむことができるのです。
『バーベキューの隠し味』
鳥の声。頬をなでる風。降り注ぐ太陽の熱。炭の香り。お肉や野菜が焼ける音。そして、気心知れた仲間たちの声。外の空気を吸いながら、炭で焼いた食材は何倍も美味しい。非日常的な雰囲気を感じられるバーベキューはとても魅力的だ。
私は視覚に障害をもって生まれた。矯正をしても0.06という視力の低さ。コンタクトを装着しても手に届かない範囲にあるものは、ぼやけているのが当たり前の光景。特に日中の野外は、眩しさによって一気に見えにくくなる。だから、食材を焼くことはおろか、誰がどこに居るのかもわからなくなる。コップやお皿から手を離すと、探すのに一苦労する状態に見舞われる。私にとってのバーベキューは、魅力と不自由さがいつも鬩ぎ合っていた。
以前、私の視覚障害についてよく知っている仲間とバーベキューに行った。天気もよく、案の定眩しさから周囲の様子がいつもより把握できない。自分には焼くことができない旨を伝え、落ち着かない気持ちで火元から少し離れた場所で会話を楽しんでいた。食材が焼けるころにお願いしようと思っていたが、自分から気にする暇もないタイミングで、手元のコップやお皿の中が満たされていった。終始、食材が焼けては私の元に運んでくれた。
これは、障害ごと私を知りたいと思ってくれている仲間と、自分のことを伝えてきた今までのやり取りの賜物だと思った。
これで、バーベキューの魅力を存分に味わえる。私にとって気心知れた人たちの障害理解が、とっておきの隠し味になる。
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