テスラ新型ロードスターやBYD U9は新しいEVスーパーカー時代の到来!

2024年3月4日
全体に公開

トピックスオーナーの前田謙一郎です。

先週、EVマーケットにおいて幾つかのニュースがありました。一つ目はイーロンがテスラの次期ロードスターについてx.comでアップデートを行い、新型ロードスターを年末に発表、2025年からデリバリー開始予定だと述べたことです。

イーロンのXでの呟き、これまでにない車になる。車と呼ぶこともできないだろうとのこと。画像:x.comより
次期型ロードスター 画像:Tesla Inc.

元々、次期ロードスターは2017年にテスラ・セミトラックと一緒に発表され、そこからあまりアップデートはなかったため、このコメントにはファンも大盛り上がりです。

二つ目は中国でBYDの高級ブランド、仰望のEVスーパーカー「U9」も中国で発売開始となったことです。BYDの特徴であるドラゴンフェイスを採用たスポーツカー然としたデザインはとても完成度が高く見えます。

BYD U9 流麗なスタイルとハイパフォーマンスを誇る 画像:BYD.com

これらニュースはマスマーケットやプレミアムセグメントで内燃機関車がEVにシフトしていくだけでなく、今後のEVスーパーカー時代到来の前兆のようで非常に興味深いトレンドです。

歴史的にも美しく速い車は人々を魅了し続けてきました。そして、未来のスーパーカーの定義は「ラグジュアリーでデザインに優れ、かつクレイジーなほど速いけどクリーン、そしてデジタル」な事だろうと思います。そんな観点から纏めてみました。

かつてのスーパーカーブーム

スーパーカー世代と言われ、ピンと来る人、来ない人がいると思います。日本で言うと40代後半以上が、スーパーカーブームが実体験として残っている世代ではないでしょうか。

歴史的に見ても、自動車が技術的進歩を遂げ、新しいパフォーマンスやテクノロジーが出現した時代に車は多くの人にとって憧れでありました。1960年代から70年代にかけてのランボルギーニ・ミウラやカウンタック、フェラーリ・デイトナ、そして1980年代から90年代にかけてはフェラーリF40やマクラーレンF1など多くのアイコニックなスーパーカーが存在していました。

Countach LP400 画像:https://www.caranddriver.com/news/a40108154/1975-lamborghini-countach-lp400-auction/

90年代後半以降は、環境意識やクリーンな車への機運が高まると同時に、若者の車離れが顕著になったと言われた過去20年でした。しかし、2023年にはモデルYがガソリン・電動車全てを含め、世界で一番売れたモデルとなりEVがマジョリティーへの移行時期に移ってきた事と同じく、スーパーカー分野においてもEVがメジャーになってきたのです。

テスラの次期型ロードスター 画像:Tesla inc

テスラ次期型ロードスターはもうすぐ発売

イーロンが次期型のポストをしたことで機能の幾つかがわかってきましたが、なんと次期型はスペースXとのコラボレーションパッケージを搭載することで、0-60mph(0-100km)加速を1秒以下になるとのこと。そんなぶっ飛んだ機能ですが、イーロンはそれは新型ロードスターの目玉機能ではないとも述べており、どんなモデルになるのか非常に楽しみです。

現在のテスラ・モデルS Plaidは0-100km/h加速が2.1秒程度なのですが、それでも加速を開始して速度が上がってくる2秒間くらいはGがかかり気持ちの良い、もしくは気持ち悪い体験なのです。これが1秒以下になると想像を絶します。

ちなみに、富士急ハイランドの絶叫マシン「ドドンパ」は1.56秒で時速180キロですので、恐らく1秒で100キロと考えると同じような加速体験になると思います笑。

果たして、そんなスペースシャトル並みの加速など必要なの?と聞かれるとまともな回答に困るのですが、イーロン的な回答をするなら「Why not?」でしょう。馬鹿げたパフォーマンスや機能、美しいデザインはスーパーカーが本来持つべき特徴です。

BYDの高級ブランド仰望の「U9」も中国で発売開始

2023年初めに発表されたU9ですが、ちょうど先週から中国マーケットで発売開始となり、世界でも話題となっています。そのスペックも素晴らしく0-100km/h加速は2.36秒、最高速度は301km/hを出し、価格は約$233,450(約3500万)、今のところ中国国内のみでの販売となっています。

https://evmagz.com/byd-yangwang-u9-photos-gallery/

フェラーリやランボルギーニなどの欧州系スーパーカーに果敢にも挑む初めての中国スーパーカーであり、今後の売れ行きに注目です。ランボルギーニがその電動化プラン「コル・タウリ(COR TAURI)」で2024年末までにハイブリッドを投入、初代フル電動ランボルギーニを2026年~2030年までに市場投入と考えると、5年以上先にEVスーパーカーを市場投入したということになります。

今後はバッテリーマネジメントや制御がエンジンに変わるパフォーマンスに直結するため、早い段階で製品を投入することには意味があるでしょう。

さらに、BYDはマスマーケットにおいてその安価なEVで市場シェアを伸ばしていますが、プレミアム路線やブランドイメージの構築にも多大な投資をすることで、今後の海外進出のバックボーンにしたい戦略です。

今のうちにヒーローモデルを投入することで仰望ブランド全体の高級イメージを培っておきたいという考えでしょうし、ローンチ前のティーザーもともて良いブランディングに仕上がっていると思います。

いわゆる生産台数が特に少なく数億円するようなスーパーカー分野においては、クロアチアのリマック・オートモビリが送り出す完全電動ハイパーカー「ネヴェーラ」が有名ですが、現在のEVスーパーカーセグメントではあまり競合がいないのもチャンスです。

ちなみにEVハイパーカーではリマックのネヴェーラが有名

スーパーカーより少量生産で、さらに手作り、一台数億円するようないわゆるハイパーカーも世の中にはありますが、その中でもクロアチアのリマックはネヴェーラと呼ばれるフル電動ハイパーカーを作っています。

https://www.arenaev.com/rimac_nevera-pictures-94.php

2021年から納車を開始しており、生産台数は150台、値段は3億円以上ということでなかなか普段使いとしては現実感がありませんが、最高速度約412km/h、0-100km/h加速が1.97秒としてかなりの性能を誇っています。

ちなみに、ポルシェとリマック・オートモビリは2018年よりパートナーシップを結んでおり、ポルシェはリマックの株式の一部を所有する重要な株主の一つとなっています。ポルシェとしてはリマックの高度なEVスーパーカーの技術を今後のEVスポーツカーへさらに活用したい考えです。

美しく速い車に人々は憧れる。EVスーパーカー時代の到来に期待

家具や建築と同じく、美しく速い車は人々を魅了します。やはり自動車メーカーには自動運転やシェアリングが発達しても、ワクワクし夢のあるスーパーカーを作り続けて欲しいと思っています。また、そのようなヒーローモデルを持つことはブランディングにおいても非常に大事な要素でもあります。

ハイパフォーマンスでありながらクリーンであることは今日の自動車会社とって重要な指針であり企業ミッションでなければなりません。先日は機会がありBYDの車に試乗させて頂きました、車のクオリティーは高くドライバビリティーも良い。U9のようなスーパーカーも日本の市場でぜひ見てみたいと思っています。

ということで、今回はテスラの新型ロードスターやBYD U9などのEVスーパーカーに焦点をあててみました。また次回の記事でお会いしましょう!

Top画像:BYD.com

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トピックスオーナー:前田謙一郎マーケティングコンサルタント&自動車業界アドバイザリー。テスラ・ポルシェなどの外資系自動車メーカーで執行役員等を経験後、2023年Undertones Consultingを設立。

その他、メディア出演、講演、インタビュー記事

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