働く日本人女性の8割が悩んでいること

2023年11月26日
全体に公開

💡この記事でわかること

・月経随伴症状や更年期障害が与える経済的損失

・親の月経等に関する認識が、子どもに与える影響

・職場の「女性の健康課題への理解」は、教育機会の有無が大きい

1.月経随伴症状や更年期症状が、日常生活に影響を及ぼす

フェムテック業界の知り合いが、とあるスタートアップピッチで事業案を話した際、審査員から「自分の周りで生理痛に悩んでいる人は聞いたことがない」と言われたそうだ。

個人的には、「生理痛に悩んでいる人がいない」のはではなく「言わないだけ」だと感じたが、いまだにそんなことを言う人がいるのだと驚いた。

日本医療政策機構の調査によると、月経随伴症状(生理痛・PMS)や更年期症状(ほてり・イライラ・不眠など)により、働く女性の約80%が仕事の生産性への影響を経験している。

さらに、月経随伴症状や更年期症状による仕事の欠勤により、日本全体で3,628億円/年の経済的損失が発生すると言われる。3,628億円は欠勤によるもので、体調不良による生産性低下は含まれていない。

このように、生理痛や更年期症状による、仕事への影響は大きいにも関わらず、「言いにくい」「恥ずかしい」というイメージが強く、表面上に出てこないのが現状である。

UnsplashのChristopher Campbellが撮影した写真   

2.親の月経等に関する認識は、子どもに大きな影響を与える

親の認識が「生理痛は我慢するもの」と回答した人ほど、その子どもは生理痛などによる受診抑制を経験している。

さらに、親が「治療用ピルを飲むことは恥ずかしいと思う」と回答した人ほど、市販薬の使用頻度が高い。

つまり親の月経等に関する認識は、子どものヘルスケアに大きな影響を与えている。

UnsplashのSandy Millarが撮影した写真   

3.職場の女性ヘルスケアに関する理解は、企業規模より教育機会の有無に関係する

大企業だから女性ヘルスケアに関する理解があるというわけではなく、職場の女性ヘルスケアに関する理解は、企業規模の大きさには依存しない。

就業状況ごとに比較すると、「職場が女性ヘルスケアに理解がある」と回答した割合は、正社員と自営業で高く、パート・アルバイト・契約社員が低かった。

さらに、生理休暇の公平性に関する認識は、性別ではなく、教育機会の有無に関係しているという現状がある。

先日も、とある企業で講演した際、正社員に混じりパートの方も参加されていた。パートの方から「自分の職場は女性の正社員が9割だが、その人たちもこのような講演を聞いて、より働きやすい職場になればよい」と感想をいただいた。

就業状況を問わず、女性ヘルスケアに関する理解を深める教育が必要と感じている。

UnsplashのImani Bahatiが撮影した写真   

4.まとめ:自分が思っている以上に、世の中のフェムテックに対する理解が進んでいないかもしれない

先日、とある業界のメールマガジンを執筆した。原稿ができて見せたところ「そもそも男性は、女性の健康課題がよくわからない」と言われ、書き直すことにした。

筆者はフェムテック業界にいるから「生理痛や更年期について知っていて当たり前」と思いがちだが、業界が長くなるほど、一般の視点とズレが生じるのだと痛感した。

「女性の健康課題」に対する理解は、まだまだなのかもしれない。

UnsplashのLuke Chesserが撮影した写真

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<参考>

社会経済的要因と女性の健康に関する調査提言(日本医療政策機構)

https://hgpi.org/research/wh-20230306.html

トップ画像:UnsplashのEmma Simpsonが撮影した写真

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