「シモキタ」にある国際空港のはなし
NewsPicks編集部の上野翔碁です。
前回は、BDTインターン生の川合さんが「"物理的な壁を越える系"映画・アニメ」について紹介してくださいました。
タイトルを一見すると「(精神的な)困難に立ち向かっていく」ような物語の紹介記事かなと思ったのですが、「物理的な壁」シリーズと聞いたときは、そう来たか!とびっくりしました。
さて今回は、下北沢にある「ちょっと変わった寮」についてのおはなしをします。
古着やカレー、バンドマンの街で有名な下北沢。そんな下北沢では再開発が進んでおり、全国各地から、世界各国から人が集まってくるまるで国際空港のような寮があるんです。
その名も「SHIMOKITA COLLEGE(以下、カレッジ)」。名前から推測されるような、いわゆる「大学」ではないんです。以前、NewsPicksにもご登場いただいた、ハーバード大学出身・HLAB代表の小林亮介さんによって構想されました。
読者の皆様がよく拝見されているであろう、ReHacQや夜明け前のPLAYERSで大注目の施設。実は、NewsPicksの特集記事ではいまだ取り上げられていないんです。
なかでは一体何が行われているのでしょうか?(居住者の)わたしが実情を詳しく解説させていただきます!
🤔 SHIMOKITA COLLEGEって何?
一言で表すのは本当に難しいですが...。かんたんにいうと
「住まい」と「学び」が融合した
日本初のレジデンシャル・カレッジ
です!
そういわれても、という感じですよね。
読者のみなさんは「ハリー・ポッター」シリーズはご覧になったことがありますでしょうか。ハリーたちが住んでいるホグワーツ魔法学院を想像してもらえるとわかりやすいと思います。
映画での魔法学校のように、世界の多くの大学では学ぶ場所として「教室」に加えて「寮(学寮やレジデンシャル・カレッジとも呼ばれています)」があり、そこで過ごす時間が学生生活の中心になっています。
学寮では、異なる性格で、異なるバックグラウンドを持った人たちと、「対話」を通じて学び合い、互いに成長できる環境が整っています。
その制度を日本で初めて導入した施設がSHIMOKITA COLLEGEなのです。小田急電鉄・UDS・HLABの3社協同のプロジェクトで、2020年12月にオープンしたばかりの新施設です。
🤔 なぜできたの?
カレッジは、小田急グループが手掛ける下北沢の再開発事業「下北線路街」の一環として建てられました。
カレッジの運営企業のうち「HLAB」は、高校生や大学生向けを中心にリベラルアーツ教育を提供している会社です。
特に、高校生を対象に行われる「サマースクール(国内外の大学生と1週間、寝食をともにするプログラム)」では、毎年、世代・国境・地域を超え、多くの学生が集まっています。
そのリベラルアーツ教育の居住型プログラムとして、このSHIMOKITA COLLEGEはつくられました。
「住環境こそ最大の学び場」をコンセプトに、日々の生活やカレッジ内のイベントで起こる「対話」を通じて、互いに学びあう・刺激的な環境が作られています。
🤔 どこにあるの?
先ほど例に出したホグワーツ魔法学院をイメージされた方は、
「交通手段も汽車だけで、"シモキタ"といってもど田舎にあるんじゃないの?」
と思われた方も少なくないと思います。
現代の汽車(電車)が最も利用する交通手段であることは間違いないです。
立地については驚きの、下北沢駅から徒歩3分(公式情報)。私の体感だと、改札まで走って30秒で着きます。
下北沢駅は、小田急線(千代田線直通)と京王井の頭線の2線が交差しており、渋谷・新宿どちらも15分以内の街です。
後述しますが、立地のよさは社会人から高校生まで、自然とさまざまな属性の人が集まりやすい環境になります。
タイトルで空港と記載しているのには文字通り、路線が交差する・人が交差する「ハブ」としての役割もあるからなのです。
🤔 どういう人が住んでいるの?
「"COLLEGE"とついているくらいだから、大学生しか住めないんでしょ?」
いえいえ。高校生から社会人まで住めるんです。10代から40代まで、さまざまな年代の方が住んでいます。
もちろん大学生が多いのは事実です。下北沢近くの大学から地方大学に通っている大学生、海外の有名大学からの留学生といったように、全国・世界各地からさまざまな学生がカレッジに集まっています。
まさに「国際空港」。
居住人数は季節によって前後しますが、部屋数102戸に対して、80名以上が常に居住しています。比率としては、大学生6割、社会人3割、高校生1割といった具合です。
居住期間は高校生だと3カ月か12カ月、大学生・社会人だと6カ月・12カ月・24カ月から選ぶことができます。
1年だけビジネス修行したい大学生や、東京に就職が決まったけど土地勘が分からずどこに住めばいいかわからないという新社会人には必見の施設です。
🤔 何をしているの?
ただの共同生活ではなく、「対話」が生まれるさまざまな仕掛けが生活に組み込まれています。そのなかから特に3つを紹介させていただきます。
1️⃣ 学校を思い出す「クラス制度」
カレッジには約80名の居住者がいますが、そのなかでも学校でいうクラスのような小さなコミュニティがあります。「ハウス」と呼ばれている全部で6つのコミュニティに、各10数名ほど。
ハウスでは月1回のリフレクションという、小さなコミュニティ単位での自己内省の機会があります。
また、カレッジ内での対話だけではなく、「ハウスイベント」や「ハウストリップ」といった「遊び」を通じて学びを得る場もあります。
私は、先々月のハウストリップではハウスの方といっしょに伊豆へ旅行に行きました。
2️⃣ 自己を振り返る「定期的な1on1」
入居者には一人ひとり「チューター」と呼ばれるメンターがついてくれます。
2カ月に1回1時間程度、1対1の定期的な対話で、カレッジでの共同生活や学校生活といったちょっとした相談から、今後の就職・転職の進路や人生の変化といった将来の話まで、親身になって話を聞いてもらえます。
数カ月を通して自分の経験を振りかえることができるので、自分がどれだけ成長しているか、また成長していないかを多角的に俯瞰してみることができます。
3️⃣ 「話したくなる」空間の仕組み
カレッジはただの「居住空間」ではなく、対話が生まれやすい空間がたくさんあります。
例えば、1階から5階までを行き来できるエレベーター前には、共同の水回り、共有スペース・キッチンへつながる通路、階段、部屋への通路、といった居住者が必ず使う道が交差しています。
この構造から自然と挨拶が生まれたり、その交差点で小1時間(すごいときはもっと)の人生相談が始まったりするのです。
また、4階にはゆっくりくつろげるリビングのような場所もあります。
暖炉と本棚、ソファが置いてあり、楽器を弾いたり、一人読書をしたり、映画鑑賞会をしたり。人によって使い方はさまざまですが、比較的人が少ないこの空間で、集中している人もよく見かけます。
🏠 施設についてちょっとだけ
カレッジについて、挙げればきりがないほど紹介したい部分はありますが、今回はそのなかでも私がお気に入りのポイント3点に絞ってご紹介したいと思います。
🍚 リラックス食堂
カレッジでは平日の朝と夜の時間帯に、食事が提供されます。管理栄養士による手作りの食事で、栄養バランスの取れた健康的なメニューです。
わたし自身4年ほどひとり暮らしをしていましたが、特に大学生や新社会人の新しいことに忙しい時期だと、自分の好きな料理や外食ばかりで、偏った食生活になりがちです。
自分では毎日続けられないような、一汁三菜の食生活をサポートしてくれます。
また、朝と夜の食事の時間が決まっていることで、朝起きる時間が一定に整えられますし、夜は飲み会に行くことの抑制にもなります。
👕 全自動洗濯乾燥機
イチオシしたいのが、この全自動洗濯乾燥機。
たびたびSNSやテレビで紹介されていますが、なかなか高くて手がつけられないところ。
しかしここでは、それが男女分かれて約10台ほど完備、乾燥機だけでも4台おいてあります。追加料金ナシ、無料で使えます。
「けっこう混みそう」とも思いましたが、これまですべて一杯で洗濯できなかったということはありません。
洗濯物を洗って、取り出して、ハンガーにかけて干して、外に出して...。その手間もなく、数時間洗濯乾燥に待っている時間を、読書やパソコン作業に有効利用できます。
🍛 駅チカでシモキタを存分に楽しめる
これは施設外の話にはなってしまいますが、なんといっても下北沢駅から近いということが特徴的です。
ジムもカフェもコンビニもスーパーもユニクロも、すべて徒歩5分圏内。この執筆作業の一部も、徒歩3分ほどのファストフード店で書いています。
わたしは趣味でバンド活動をしているのですが、スタジオやライブハウスも近く、電車を使わずともアクセスすることができています。
また、カレー屋めぐりも趣味で、Googleマップやインスタグラムを使って、訪れたカレー屋のセルフスタンプラリーのようなこともしています。
駅前や周辺施設も絶賛再開発中なので、新しい施設とのコラボレーションや地域の方々との交流もあり、ものだけではなく人との交流も活発に行われているところも、カレッジの良さだと思っています。
🤔 どうやったら住めるの?
カレッジでは現在、高校生・大学生・社会人の居住者を募集しています。もし興味を持たれた方がいれば、こちらのホームページからチェックしてみてください!
✅ 関東に引っ越したいけど土地勘がなく、居住地に迷っている!
✅ いろんなバックグラウンドを持つ人と共同生活したい!
✅ 高校生の子どもに成長する環境で育ってほしい!
といった方に、大変おすすめの施設です。
下北沢や共同生活、対話から得られる「学び」について、ぜひピックやコメントでみなさんの意見をお聞かせください!
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