ジェンダー問題は自分に関係ないと思う人がどうしたら興味を持つかを考えてみた
こんにちは。働く女性を応援するNewsPicksのプロジェクト、NewsPicks for WEの川口あいです。
私たちは、女性が前向きにキャリア構築ができるように、日々、さまざまな情報を発信しており……と、ここで「自分には関係ない」とページを閉じかけた方、ちょっとお待ち下さい。
普段「女性活躍」や「ジェンダー」というキーワードに触れない方も、もちろん積極的に触れている方も、これらのテーマに向き合う理由について、今一度、一緒に考えてみませんか?
「変わってる」感、ありますか?
突然ですが、ちょっと聞いてみてもいいですか。
「女性活躍推進」や「ダイバーシティ経営」と言われて久しく、最近では「人的資本経営」というワードもよく見るようになりましたが、みなさんご自身や、周囲の人たちを見たときに、変わってきている、または「推進」されている実感は、ありますか?
確かに、行政や企業は次々と女性管理職比率向上や働き方改善の目標を打ち出していますし、制度や助成も拡充されつつあります。
でも、
「女性管理職比率、ぜんぜん伸びていない」
「いろいろ制度があっても、取りづらい」
「人的資本ていうけど、目標ばかり……」
という声を聞いたことはありませんか?
キャリアや働き方の選択肢が増えていると言われていても、
「転職活動か妊活、どっちをとればいいのか」
「同期を見渡すと男性のほうが挑戦的な仕事をしている気がする」
「男性も育児にコミットしたいけど、難しい」
と、ご自身が思ったりしたことは、ありませんか?
そして、解決策や選択肢を考えたり提示する前に、ぐっと飲み込んだり、諦めたり、負荷を担うことが当たり前になっていたりしませんか?
「自分が我慢すればスムーズにいく」「モヤモヤするけど、仕方ないから」
めっっっっちゃわかります。
実際、自分が我慢するだけで物事がスムーズに解決すること、ありますもんね。私も1年間で1万回くらいそう思うときがありますし、9998回くらいはぐっと飲み込みます。
でも、2回くらいは、「なぜなのか?」を口にして、考えてみます。
いきなり何かを変えようとしたり動かそうとしたりするのは、とてもヘビーですし、時間もかかります。
でも、「そもそも、なぜなのか」を深掘りしてみると、見えている世界が徐々に変わる気がしますし、その積み重ねが行動につながり、変化を起こすタネになると思うんです。
「個人的なことは、政治的なこと」
なぜだろう、どうしてだろうと考え、想像してみたり、見聞きしていくと、いろいろ見えてきます。
自分の身に起きている出来事はただの事象ではなく、根本には、無意識のうちに刷り込まれた社会システムにも一部要因があるかもしれない。
その課題は多面的に重なり合っていて、安易に解決はできないけれど、なんとかしようと取り組んできた先人たちの戦いを知ると、いま自分がいる環境にも通じるたくさんの学びがある。
「個人的なことは、政治的なこと(Personal is Political)」
60年代以降の第二波フェミニズム運動のスローガンとして有名な一文ですが、なんだかモヤモヤするなぁと思った個人的な問題にも、社会構造に起因する大きな課題が潜んでいるかもしれません。
そうした、世の中にあるたくさんの「(個人的かつ社会的)問い」の演習として、ジェンダー課題は向いていると思うのです。
というわけで、ようやく本題です。(でもあともう少しなので最後まで読んでみてください!)
ジェンダー課題に目を向けてみる理由
「世の中の、なぜ? や、どうして? を考える演習として」
例えば、こんなこと考えたりしませんか。
「そもそも論だけど、これだけ国や企業をあげて『女性管理職を増やそう』という流れがあるのに、そんなに変わっていないのは、なぜなの?」
2022年の 電通総研の調査によると、 「企業の管理職の女性比率が30%になるのは今から何年後と予想するか」という質問に対し、平均回答が「20.7年後」だったそうです。
政府が掲げている「2030年に女性管理職比率を30%に」という目標まで、あとほぼ6年しかないのに!(そもそもその目標も、本来は「2020年までに」のはずだったのに!)
でもこれが、世の中の平均的かつリアルな体感なのでしょう。
ではなぜ、女性管理職は増えないのか。何が障壁になっているのか。
古今東西ずっと言われてきていますし、要因も多岐にわたります。
女性自身のライフステージの変化に伴うキャリア離脱や、育休復帰後のマミートラック現象、根強い性別役割観、男性育休取得の不足、そもそもの管理職の要件定義の曖昧さなどなど、挙げだすときりがないくらい。
その他にも数多ある「女性管理職が増えない理由」を、私自身も日々「なぜかなーなんでかなー」と、頭のなかでぐるぐる考えているわけですが、あるとき手にした本のなかで、子供の進路選択に関するジェンダーバイアスについて論じられている内容に、女性管理職が増えない理由にも繋がりそうな一節を見つけました。
「他者を打ち負かして成功する」ことへの恐れ
子どもが進路選択をする際に、大人やメディアによる性別特性観の植え付け、つまり男の子には「もっとがんばれ」「がんばればできるはず」と「進学意欲を煽る働きかけ」をし、女の子には「無理せずそこでよし」と意欲を冷却する働きかけがなされがちで、それにより選択肢が狭まってしまうことがそこでは指摘され、そのうえで、以下のように論じられています。
子どもたちが性別特性観や男性優位主義を内面化することによって、自由な選択の幅を自ら狭めてしまっているということも考えられます。たとえば、「成功不安(fear of success)」研究は、女性が他者(とりわけ男性)との競争的な場面において、他者を打ち負かして成功することを恐れる気持ちをもっているのではないかとの仮説で多くの実験や調査を積み重ねています。
そこで思い出されたのが、2023年のお正月に放送された『100分deフェミニズム』の上野千鶴子さんの発言でした。
「半身」の関わり方が「正気」である?
上野さんは、男性が努力して得る本当の報酬は、給料ではなく、ホモソーシャル集団のなかでの評価であると指摘をしながら、女性はそのパワーゲームのなかに同一化せず、組織に「半身」で関わっている、それが「正気の関わり方」であると、述べられていました。
そのうえで、男性たちも「組織に半身の関わり方をしれくれるようになればいい」、集団内でのアイデンティティだけが自分のすべてではないのでは、と続けました。
私的な世界にもきちんと足を置いて、どちらにも半身で関わるという正気の選択をしてくれれば、男たちも変わるし、ホモソーシャルな集団も変わるし、女性たちも変わっていくと思います。
「女性が競争的な場面において、他者を打ち負かして成功することを恐れる気持ちがある」という仮説で考えれば、「昇進」と、まさに「昇る」ことがパワーゲーム化してしまうような組織内においては、そこに女性の意欲が向きづらいのも頷けます。それを肯定的に捉えることが「半身の関わり」であるとも言えるでしょう。
だとすれば、そもそものパワーゲームから男性も降りて「半身」で関わるようになれば、競争的な場面も減り、男女ともに理想的かつ新たな管理職像が生まれるかもしれない。そうつなげて考えてみるのは、飛躍的ではないはず。
ここで、ジェンダー課題に目を向けてみる理由、2つめ。
ひとつの事象をさまざまな角度から捉え、考えることで、新しい発見がある…かもしれない。
当たり前を疑い、視野を広げるよう努力してみた結果、想像力が高まる。すると、世界を見る目が変わる。人生が豊かになる。そう、私は考えます。
国際女性デー3Daysイベント実施!一緒に話しませんか?
本トピックスでは、概要にあるように「女性のキャリアやワークライフバランスに関する主要ニュースを取り上げ、多様な視点から解説」しながらも、私たちやみなさんの「なんで?」のタネを拾い上げて、一緒に考えていくような場所にしていきたいと思っています。
同時に、私たちforWEメンバーも、立場はそれぞれですが、働く女性当事者としていろいろな悩みもあれば、挑戦したいこと、意見を聞きたいことなど、たくさんあります。
ちなみに私は今年5月に出産したばかりの新米ワーママでして、「育児と仕事の両立」の壁に真正面から激突しながら、1日を体感3秒で過ごしています。
そんな「自分ごと」なお話も共有しながら、みなさんと対話をしていきたいと思っています。
また、トピックスだけでなく、実際に交流できる機会として、2024年3月の国際女性デーにイベントも実施予定です!
3月6日(水)7日(木)8日(金)と3日連続、NewsPicksの丸の内オフィスを会場に開催する予定ですので、ぜひ遊びにきてください。
詳細は順次発表する予定です。みなさんのご意見を聞きながら企画をつくっていきたいので、気になるテーマや話を聞いてみたい人など、コメント欄で教えて下さいね。
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