「小松菜」が世界のkomatsunaになる日

2023年12月22日
全体に公開

日々当たり前のように味噌汁や和え物、炒め物の具として使っている「小松菜」
「暴れん坊将軍」でしられる8代将軍,徳川吉宗が現在の江戸川区の小松川を訪れた際に出された青菜を気に入り「小松菜」と命名されたというエピソードもあり、いまも江戸川区が有数の産地となっています。

東京発のメジャーな野菜品目でありますが、その小松菜がこれからの気候変動のなかでスーパーフードとして世界で注目される可能性について最近考えています。

江戸川区の農業応援キャラクター「えどちゃん」見ての通り小松菜だ

「えどちゃん音戸」もぜひ聞いてみていただきたい。江戸川区のHPで音源をきくことができます。

江戸川区の小松菜キャラクター「えどちゃん音戸」

 突然ですが、名だたる企業による農業参入のニュースを時々耳にすると思います。例えばJRがトマトを始めた、HISやオリエンタルランドがイチゴを始めた・・・というものです。こうしたニュースをみていてわかるのが「イチゴかトマトで環境制御型の大型施設栽培で参入」という事例がやたらと多いということです。

 これにはもちろん理由があって、この2つの品目は栽培技術がかなり確立しており初期投資、経費、必要な工数、生産量などかなり精度の高いマニュアルがあります。出荷先さえ見えていれば売上まで正確にそろばんをはじけるのでリスクが低いという特徴があります。また見た目が華やかでイメージがいいということもあるでしょう。大企業だけではなく、新規就農や都市近郊農家が土地あたりの生産性を向上させようと考えたときにも選択肢として選びやすい特徴があります。イチゴ、トマトであればそれを専門に取り組んでも初期投資さえできれば成立するという安心感があるのです。

イチゴ、トマトに匹敵する安定品目「小松菜」

 しかし、正直、イチゴ、トマトの参入が増えすぎた感はあります。かつて九州で一気にトマトの大型ハウスができたために値崩れしたという事例がありましたが、人口減の日本でトマトイチゴの需要が伸び続けるわけもなく、どこかで供給過多になる可能性は否めません。私がそこで推したいのが小松菜です

 冒頭で書いた通り、江戸川区は伝統的な小松菜の産地ですが、現在も年々生産性をあげているスーパー農家がいます。小原農園の小原英行さんとその仲間の門倉周史さんです。2人でK&Kというユニットを組んでおりメディア出演も多々あります。

2人はもともと市場出荷する中でも最高評価を得ており、農林水産大臣賞なども受賞している実力派ですが、この10年ほどは市場を離れ独自の販路を開拓してさらに売り上げも利益も伸ばしています。詳しい農業技術や営農方法ついてはこちらの東京都の公式ページに書きましたのでご参照ください。

小松菜400連作!「全量残さず出荷、それこそが一番のエコだと思う」 江戸川区 小原農園

 ざっと、説明するとまずは小松菜は東京の気候であれば1年365日出荷ができます。多くの農産物は季節によって産地リレーをしているのに対して、専業小松菜農家が成立する所以です。なんとなくホウレンソウやリーフレタスも同じような葉物野菜のイメージですが小松菜の方が病害虫や気候耐性は明らかに強いです。加えて、通常は小松菜は25cm程度のサイズで収穫しますが、K&Kでは出荷先との調整で50cmサイズまで大きく育てることで面積あたりの収穫量つまり生産性を上げています。もちろん味などの品質も下げずにです。加えて通年専業なのでいわゆる連作障害のような事は発生していません。

夏は猛暑、冬は降雪の環境でも1年365日出荷できる

 つまり現在の日本のような高温多湿で夏は36度越えが2週間も続き、冬は雪が降るような気温差のある地域でも品種と栽培技術で通年生産できるということになります。ここまで栄養価が高く育てやすく生産性の高い野菜を私は他に知りません。そんなこともあって、K&Kの小松菜は23区を中心に学校給食での需要が1年中あるのです。 

ビタミンC,カルシウムなど葉物野菜のなかでも栄養価が高いのも特徴

 そう考えると今の日本の品種と栽培技術を持ってすれば世界中どこでも小松菜は長い期間栽培ができるのではないかと思うのです。こんな話をすると私自らが世界の小松菜ビジネスを始めれば良いのでは?というツッコミも入りそうですが、すでに私も抱えている案件出ていっぱいであり(弱気)。小原さん始め農林水産省の職員やいろんな方にこのアイデアをひとまず共有している次第です。

家庭菜園でも最も育てやすい野菜の一つですので皆さんもぜひ自宅で小松菜を育ててみてください。

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