今知っておきたい、toC向け生成AIトップ10

2023年9月14日
全体に公開

OpenAIがChatGPTをリリースしてから、約10カ月が経ちました。生成AI市場では、日々新たなサービスがリリースされ、目まぐるしく変化しています。

そんな中、米著名VCのAndreesen Horowitzが今、最も注目されているtoC分野の生成AIサービスのトップ50を調査しました

今回はその中からトップ10と、押さえておくべきポイントを紹介します。

☕️coffee break

今回の調査は、マーケティングチャネル分析サービス「SimilarWeb」による2023年6月時点のWeb・アプリトラフィックデータ推定値をもとにランク付けされています。

早速、トップ10をチェックしていきましょう。

1. OpenAI:チャットボット「ChatGPT

独自の大規模言語モデル「GPT-4」をもとに開発したAIチャットボット。昨年の売上は2800万ドルでしたが、今年は10億ドルを突破する見込みです。

2. Character Technologies:チャットボット「character.ai

偉人やAIキャラクターとチャットができるサービス。ユーザーの60%は18〜24歳が占めています。

3. Google:チャットボット「Bard

Googleが独自の大規模言語モデル「PaLM2」をもとに試験提供しているサービス。5月から日本語版の提供も開始しました。

4. Quora:チャットボット「Poe

知識共有プラットフォームQuoraが所有している情報をもとに瞬時にチャットボットが質問に応答します。

5. Course Hero:ライティング支援「QuillBot

文法の修正やフレーズの言い換え表現などをAIが提案。30言語に対応しています。

6. Artizans:写真編集「PhotoRoom

アプリ画面をスワイプするだけで、写真のレタッチや背景除去などを瞬時にできる、フランス発のサービスです。

7. Civit AI:AIモデル共有コミュニティ「Civitai

Stable Diffusionのオープンソースモデルを微調整したモデルが共有されており、AIアートモデルを作成することができます。

8. Midjourney:画像生成「Midjourney

コミュニケーションサービス「Discord」上でテキストを入力するだけで、AIが画像を生成してくれます。

9. HuggingFace:機械学習の開発プラットフォーム「Hugging Face

AI・機械学習版のGitHub。AIモデルやデータセットを共有・利用したり、無料のクラウド実行環境を提供しています。

10. Perplexity AI:検索エンジン「Perplexity

OpenAIのGPT-4と、AnthropicのClaude2のAIモデルを活用した対話型の検索エンジンを月額20ドルで提供しています。

ランキング1位〜50位はこちら。

https://a16z.com/how-are-consumers-using-generative-ai/

🍪もっとくわしく

トップ50社のうち、実に40社が直近1年以内のリリースです。

ランキングには、大きく3つの注目ポイントがありました。

①24社は外部資金調達を行っていない

テック大手でランクインしているのは、わずか5社です。Google「Bard」、Microsoft「Clipchamp」、Quora「Poe」、Course Hero「QuillBot」、123RF(世界最大級のクリエイティブ会社Inmagine Group傘下)の「Pixlr」。

48%(24社)の企業が外部から資金調達を行わずにサービスをリリースしていることがわかりました(非公表で資金調達を行っている場合も)。

自社で大規模言語モデルを構築し、トレーニングを行う場合は多額の資金を必要とするため、それらの企業は平均9800万ドル(約144億円)の資金調達を行っています。

一方、既存の言語モデルを微調整したり、モデル上に構築した場合は少ない資本でもサービスを軌道に乗せられるということです。

②ChatGPTが圧倒的だが...

2023年6月時点でのChatGPTの月間ユーザーは2億人で16億人がサイトに訪問しています。

これは他の生成AIサービスと比べ、圧倒的で2位のCharacterAIですら、ChatGPTの20%程にしか及びません。

https://a16z.com/how-are-consumers-using-generative-ai/

一方、生成AI以外のtoCサービスと比較すると、ChatGPTですら、Reddit・Linkedin・Twitch・Canvaほどしか、ユーザーが訪れていません。

https://a16z.com/how-are-consumers-using-generative-ai/

多くの生成AIサービスは資金調達額が小さく、開発チームが小規模であることから、toCサービスでもWeb版のみに開発リソースを集中させています。

そのため、ランキングの50社のうち、アプリも提供しているのはわずか15社となっています。

③収益源は月額サブスクリプション

すでに50社中45社が収益をあげており、平均で月額21ドル(約3089円)のサブスクリプションプランを提供しています。

大手サービスよりもユーザー数が少ないにも関わらず、この価格でサービスを提供できる背景には顧客コストがかかっていないからです。

既存のtoCサービスでは有料のマーケティングを行い、顧客を獲得するものの、現時点での生成AIサービスはSNS・口コミ・紹介など、無料でのマーケティングが一般的なんです。

すでに画像生成・プレゼンテーション資料の生成など、各カテゴリーで複数のサービスが登場しているものの、現時点ではほとんどのカテゴリーで圧倒的な勝者は生まれていません。

これまでは資金調達をしてこなかったことで、開発体制やマーケティング投資も行ってこなかった企業が多い中、今後資金調達をして一気にサービスを拡大する企業が生まれることが考えられそうですね。

サムネイル画像:Unsplash/Richard Horvath

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