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30日連続大型特集:2020年のモバイル

【全30回】2020年、スマホエコノミーの主役になるのは誰だ?

2015/6/29

世界人口の9割がスマホを持つ

2007年6月29日。「iPhone」がデビューを飾ったその日から、世界は新しい時代に突入した。iPhoneは爆発的なヒットとなり、今年3月末までに累計7億2616万台を販売。iPhoneに代表されるスマートフォン(スマホ)は、生活とビジネスの中心を占めるようになった。スマホエコノミーの誕生である。
 grp01_iPhone販売台数

これからも、スマホの勢いはまだまだ続く。先進国ではすでに必需品となっているスマホだが、新興国での普及はこれからが本番だ。

調査会社IDCは、世界のスマホの販売台数が、2015年の14億5000万台から、2019年には19億3000万台にまで増加すると予測。そのけん引役となるインドでは、2019年のスマホ販売台数が、2015年の2.6倍となる2億9000万台にまで拡大すると見ている。
 grp02_世界のスマホ出荷台数予測_OS別

 grp03_世界のスマホ出荷台数予測_地域別

2019年には全世界のモバイル接続端末台数は、世界人口を大きく上回る、115億台に達する見込み。2020年には、6歳以上の人口の90%以上がモバイル端末を持つようになると言われている(詳細は「【Vol.1】スライドストーリーで見る『2020年のモバイル』」を参照)。

日本においても、携帯電話の出荷数自体は頭打ちだが、スマホへのシフトはまだ道半ば。いまだ50%程度を占めるガラケーのユーザーたちが、今後5年でスマホへと移行していくだろう。

iモードの生みの親である夏野剛氏は「2020年には、携帯電話の100%がスマホになるだろう」と予測する(詳細は「【Vol.2】夏野剛の未来予測『2020年、ウェアラブル全盛時代がやってくる』」を参照)。
 grp04_出荷の8割程度はスマホに

2020年に向けて、スマホシフトが一段と加速することにより、新たなトレンド、ビジネスが続々と生まれるだろう。ウェアラブル、MVNO(仮想移動体通信事業者)、次世代移動通信システム「5G」、メッセージアプリ、動画、ニュースキュレーションなどなど、注目テーマは目白押しだ。

今後5年間に、モバイルの世界はどう変わっていくのか。5年後を見据え、主要プレーヤーたちはどんな手を打つのか。そして、2020年までにどんな新プレーヤーが勃興するのか。

本特集では、「2020年のモバイル」の姿を、ハード、通信、Web、アプリ、コンテンツ、広告などの視点から5部構成で展望する。

第1部:ポストiPhone、ポストスマホの行方(Vol.1〜6)

2020年も、スマホが生活とビジネスの主役であり続けるはずだが、ポストスマホをめぐる争いも活発化している。中でも注目を集めるのが、ウェアラブル端末だ。

アップルウオッチなどのスマートウオッチ、グーグルグラスなどのメガネ型端末など、多様なかたちのウェアラブルが開発されている(詳細は「【Vol.3】モバイルの未来はUIではなくUXだ」「【Vol.4】わたしがアップルウオッチと決別した理由」「【Vol.5】グーグルの未来は、バーチャルリアリティにあり」を参照)。

2014年時点で、世界におけるウェアラブルの出荷台数は2640万台にすぎない。だが、2015年には約3倍となる7210万台にまで拡大、2019年にはさらに倍となる1億5500万台にまで増加すると予想されている(IDC調べ)。日本でも、時計型・リストバンド型を軸に、ウェアラブルの普及が徐々に進む見込みだ(MM総研調べ)。
 grp05_2019年には1_5億台に

 grp06_2020年には573万台に拡大

ハードウェア分野で、「ポストスマホ」と同じく、大きなテーマとなるのが「ポストiPhone」の行方だ。現在、世界のスマホマーケットで、アップルはトップシェアを誇っているが、アジア勢の追撃が激しい。特に中国の新星シャオミが急速にシェアを伸ばしている。
 grp07_シャオミが急上昇

スマホのコモディティ化が進む中で、スマホメーカーの業界地図はどう変わるのか。シャオミは単なる格安スマホで終わるか、それともiPhoneのライバルとなるのか。日本ではまだ馴染みの薄いシャオミの真価を探りながら、ハードウェアの観点から「2020年のモバイル」を描く(詳細は「【Vol.6】スライドストーリーで見る、シャオミのすべて」を参照)。

第2部:MVNOは通信業界をディスラプトするのか(Vol.7〜12)

世界の主要都市と比べて、スマホ料金が高いと言われる日本。特に、通話やデータ使用料が少ないライトユーザーにとって、大手通信キャリアの料金は割高と言える。

今の通信業界は、ソフトバンク、NTTドコモ、KDDIの大手3社が、“協調的寡占”に浸り競争が乏しいため、価格が下がりにくい構造にある。

しかし、日本にも新たな競争の波が訪れている。

その原動力となっているのが、総務省が推進する「MVNO」と今年5月からの「SIMロック解除の義務化」だ(詳細は「【Vol.10】総務省のキーマンが語る、MVNOを推進する理由」を参照)。

この2つの政策によって、格安スマホメーカーの参入が本格化。ユーザーによっては、大手キャリアとの契約と比べて、スマホ料金が半分〜3分の1になるケースも出てきている(詳細は「【Vol.8】インフォグラフィックで見る、スマホ料金が安くなるカラクリ」を参照)。

低価格がユーザーに受け、MVNOサービスの契約者数は順調に伸びており、2014年末時点で892万台に到達。総務省は2016年までに、携帯契約者数全体に占めるMVNOの比率を10%に拡大することを目標に掲げている(現在5%程度)。
 grp08_1000万の大台に近づく

こうした新たなプレーヤーの参入によって、スマホ業界の競争地図が一気に変わる可能性が出てきた。

数あるニュープレーヤーの中でも、「新3強」と言える存在が、ワイモバイル、楽天モバイル、トーンモバイルの3社。それぞれ独自の戦略で、大手通信キャリアに挑む構えだ(詳細は「【Vol.9】スマホ競争地図──「現3強」の牙城に挑む「新3強」」「【Vol.11】楽天はドコモ、ソフトバンク、auに勝てるのか」「【Vol.12】トーンモバイル・石田宏樹社長インタビュー」を参照)。

第3部:2020年のソフトバンク、ドコモ、KDDI(Vol.13〜17)

格安スマホの新規参入、アップル、グーグルの存在感拡大などで、大きな変化に見舞われる通信業界。では、ソフトバンク、ドコモ、KDDIの3強は、2020年に向けてどのような手を打っていくのか。

ソフトバンクが注力するのは「海外展開」と「新領域」だ。

国内の携帯事業をキャッシュ源としながら、スプリント買収で世界に展開。アリババなどアジアの有力ネット企業へも数多く出資している。ロボット、AI(人工知能)、IoTなど新領域への投資も加速し、巨大ネットコングロマリット企業へと脱皮しつつある。

2020年に向けて、ソフトバンクは、この多様かつ強力な事業ポートフォリオを生かして、どのような企業へと変貌していくのか。孫、ニケシュ・アローラ体制の行方を占うとともに、その投資戦略についても分析する(詳細は「【Vol.15】2020年のソフトバンク──AI、IoT、ロボット」「【Vol.16】スライドストーリーで見る、ソフトバンクの投資ヒストリー」を参照)。

一方、ドコモが2020年に向けて、切り札にするのが、次世代移動通信システム「5G」。2020年の導入を目指す5Gについて解説するとともに、5Gへの移行により、モバイルの勢力図にどのような変化が訪れるかを予測する(詳細は「【Vol.13】5Gとは何か。5Gで何が変わるのか」「【Vol.14】5Gがもたらす大淘汰:プラットフォームが変われば、主役が変わる」を参照)。

第4部:ネット四天王とユニコーンの世界制覇戦略(Vol.18〜23)

「2020年のモバイル」を展望するにあたり、外せない役者が、アップル、グーグル、フェイスブック、アマゾンの「ネット四天王」である。

アップル、グーグルはすでに、iOSとアンドロイドでモバイルOSを牛耳っているが、今後は、ウェアラブル、コンテンツ分野でも投資を拡大。グーグルは通信分野でも、「Project Fi」の名でMVNO事業への参入を表明している。

そのほか、クラウド分野での存在感を高めるアマゾン、モバイル広告、動画広告を大きく伸ばすフェイスブックと併せて、「ネット四天王」のモバイル戦略を、クラウド、通信、コンテンツなどの切り口から分析する(詳細は「【Vol.19】ネット四天王のモバイル戦略(クラウド・データ編)」「1067278【Vol.20】ネット四天王のモバイル戦略(コンテンツ編)」を参照)。

5年後のモバイルの世界を見据えるとき、主役となりうるのはネット四天王だけではない。ユニコーンと呼ばれる新興企業(10億ドル以上の企業価値を有する非公開IT企業)の中にも、主役候補が多く存在する。

その中でも、コミュニケーション領域で破壊的イノベーションを仕掛ける、2社のユニコーンを取り上げる。

チャットアプリとして若者の間で爆発的な人気を誇るスナップチャット、企業向けチャットツールとして、ポストEメールの呼び声が高いスラック。海外メディアによる両社の創業者へのインタビューを通して、そのポテンシャルを探る(詳細は「【Vol.21+Vol.22】スナップチャットの悪童CEOは世界を変えられるか」「【Vol.23】企業価値は3400億円。スラックがEメールを駆逐する日」を参照)。

第5部:スマホ時代のコンテンツと広告(Vol.24〜30)

スマホシフトが急速に進む中、多くの投資と注目を集めるのが、コンテンツと広告の領域だ。

最近特に盛り上がりを見せるのが、音楽配信サービス。今年6月には、アップルミュージック、LINEミュージック、サイバーエージェントとエイベックスが手がけるAWAが相次いでスタートした。

第5部では、音楽、動画などコンテンツ領域への投資を強めるサイバーエージェントの藤田晋社長のインタビューを掲載(詳細は「【Vol.24+Vol.30】藤田晋サイバーエージェント社長『なぜ今、音楽と動画なのか』スマホ時代の勝者の条件』」を参照)。

ほかにも、キュレーションメディア領域で成長を続けるスマートニュース、アンテナ、dマガジン、動画で旋風を巻き起こすツイキャス、新たなマーケティングモデルの創設を狙うクックパッドなど、コンテンツ、広告分野の注目企業のキーパーソンへの取材を通して、各社の戦略とビジョンに迫る。
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