生成AIなどのデータ駆動型事業シフトに向けた10の主要項目

2024年1月10日
全体に公開

IDCは2024年1月8日、アジア/太平洋地域が2024年以降の事業運営の未来に関するトップ予測を公表しました。

IDCによると、2026年までにアジアの産業運営の20%が、効率向上、ダウンタイムの削減、労働者の安全性向上のため、AI/MLを用いた視覚ベースのシステムやロボティクス、自動化プロセスの導入にシフトすると予測しています。

将来に向けて、生成AIはデータからより深い洞察を得るために不可欠になり、今後のビジネス創造において、重要な位置付けとなり、IDCでは、以下の10の主要項目を予測しています。

1.GenAI Data Discovery(生成AIデータよる情報の可視化)
2027年までに、A2000企業の30%が生成AIを活用してアドホックな運営パフォーマンスレポートを作成し、手動データ集計による運営労働コストを10%削減する

2.AI-driven Industrial Automation(AI駆動型の産業自動化)
2026年までに、アジアの産業運営の20%がAI/MLを用いた視覚ベースのシステムやロボティクス、自動化プロセスにより効率を向上させ、ダウンタイムを削減し、労働者の安全性を向上させる

3.Cybersecurity Impact of AI(AIによるサイバーセキュリティのインパクト)
 2026年までに、アジアの50%の組織がAIによる先進的な脅威検出を活用し、生成AIサイバー犯罪ツール(WormGPTなど)によるフィッシングやランサムウェア攻撃からのリスクを軽減する

4.Talent Development Investment(人材開発への投資)
デジタル人材不足の高まりを受けて、A2000の40%以上が、デジタル運営ロードマップを実行しROI目標を達成するために、人材開発への支出を大幅に増やす必要がある

5.Sustainability Driven OpEx(サステナビリティ主導の運営経費)
2027年までに、アジアの産業組織の25%がリアルタイムデータの抽出と統合投資を活用し、運営パフォーマンスと可視性を向上させるためのサステナビリティイニシアティブに取り組む

6.Unified Partnership Transformation Strategy(統合パートナーシップ変革戦略)
2027年までに、A2000に属する企業の25%が、デジタル技術予算の15%を第三者のITおよびエンジニアリングサービスのパートナーと共に活用(共創)し、複数の運用機能の変革を同時に進める

7.Private Ops Networks(プライベート運用ネットワーク)
2028年までに、アジアの企業の25%が、少なくとも運用サイトの30%にプライベートLTEまたは5Gネットワークを展開し、初期費用の削減とデータ収集の改善を図る

8.Edge-native App Data(エッジネイティブアプリデータ)
2026年までに、エッジネイティブプラットフォームを採用したアジアの組織は、従来のコア、エッジ、クラウドリソースを使用する組織と比べ、データから2倍の価値を引き出し、プロジェクトの展開速度を3倍に高める

9.Cloud Data Repatriation(クラウドデータのリパトリエーション)
2025年までに、A2000の30%が、パブリッククラウドからデータを引き戻す取り組みを進め、集中処理を必要としない運用データをローカルで処理することで、運用経費を最大10%削減する

10.Human Augmentation Through Technology(テクノロジーによる人間拡張)
2027年までに、アジア/太平洋地域に基盤を持つ組織の60%が、運用役割を自動化技術で強化し、従業員のエンゲージメントを高め、作業効率を50%向上させる

今後の展望

IDCでは、短期的には(2024-2025年)、生成AIサイバー犯罪ツールによるますます洗練されたランサムウェア攻撃への対応と、AI/MLベースの視覚システムとロボティクスへの投資に焦点が当てられ、運営効率の向上とダウンタイムの削減を目指すAI駆動型の自動化が加速すると見込んでいます。

長期的には(2027年以降)、企業の組織は生成AIを活用してアドホックなパフォーマンスレポートを作成し、手動データ集計による運営労働コストの削減と、管理タスクのスピードアップを図ると予測しています。

現在、多くの企業が生成AIに注目していますが、IDCでは、デジタルビジネス変革を企業に浸透させていくためには、デジタル技術と企業戦略との両側面を統合したアプローチを採用する必要性を強調しています。

今後企業は、クラウド、AI、先進的なコネクティビティ技術などのコア技術を活用し、高品質なデータを可視化し、運用への洞察を深めるための新しいデジタルスキルを獲得する必要があるともしています。

また、新規採用、サービスプロバイダーなどと共創、そして、従業員のスキル向上を通じた人材開発にも焦点を当てるべきという点も挙げています。

今後、企業はAIを駆使したデータドリブンの事業運営にシフトし、人材育成とともに、そのためのデジタル技術をどう駆使し、共創モデルを創造していけるか、といった視点と一歩踏み込んだアクションが重要となっていくでしょう。

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