企業がAI導入で直面する4つの障壁

2024年6月5日
全体に公開

ガートナーは2024年5月20日、CFO & ファイナンスエグゼクティブカンファレンスを開催し、CFOが企業AI導入の障壁をどのように回避していけるのか、議論しています。

Gartner Says CFOs Must Get Ahead of Four Enterprise AI Stalls

ガートナーによると、AIへの投資は過去最高水準にあり、市場は2027年までに3000億ドルに倍増する見込みですが、CFOが4つの一般的な障壁を軽減しない限り、予想される企業の利益を実現することは難しいと指摘しています。

ガートナーのアナリストは、

ガートナーは世界中の8万人の経営者と協力して、適切なユースケースを見つけ、データを改善し、新しいAI時代に備えるためのチームの準備を進めています。しかし、企業がAIを追求する中で、特に4つの企業レベルの組織的な課題が現れてきており、これを『AIの障壁』と呼んでいます

と述べています。

企業AI導入の4つの障壁

ガートナーは、CFOが軽減できる4つの企業AIの障壁について、技術そのものの問題ではなく、組織がAIを利用する方法に関する一般的な問題であると指摘しています。これにより、AI導入と投資収益率の遅れを引き起こす可能性があるとし、以下のとおり、4つの障害を挙げています。

1. コスト超過

ガートナーのアナリストは、

AIのコストには独自性があり、AIが新しいが故に、CFOはそのコストを正確に把握しておらず、コスト見積もりが500〜1000%もずれることがあります

と述べています。

初期導入コストには、インフラストラクチャー、ユーザーライセンス、新しい人材の採用および実装コストが含まれますが、これらは他の技術と大差がないといいます。

AIプロジェクトには新たなコストカテゴリが2つあるとし、まずはAIモデルの維持コストです。そして、運用、法令順守の確保、データクレンジングなどの継続的なコストも負担となります。生成AIの利用ごとのコストも予想外に膨れ上がる可能性があるといいます。

そして、実証実験に関するコストです。AIは実証を繰り返す段階であり、小規模から始めてAIモデルをトレーニングしますが、失敗になる可能性も高いという指摘しています。

2. 意思決定における誤用

ガートナーのアナリストは、

CFOの同僚たちは、AIの自動化のメリットに高い関心度を持ち、AIの知能を過大評価しがちです

と述べています。CFOはAIの導入を段階的に進め、期待値を適切に管理する必要があるとしています。

3. 外部の信頼喪失

CFOは、投資家や規制当局、顧客との重要な接点として、AIの使用に対する外部の信頼を管理する重要な役割を果たします。データがバイアスや不正確である場合、AIは誤った情報を提供し、企業の信頼を損なう可能性があるということも指摘しています。

4. 固定観念

AIは適切に実装されれば、人間よりも優れたタスクを遂行しますが、これを単に人間の業務を置き換えるものとして捉えると、従業員は抵抗感を示します。

ガートナーのアナストは、

CFOは従業員に何をやめるべきかを伝えるだけでなく、新しい働き方をサポートすることが重要です

と述べています。

今後の展望

これまでにあげてきた4つの障害を克服するために、CFOは組織のAI導入戦略を見直し、適切な投資と期待管理を行い、外部との信頼関係を維持しながら従業員のサポートを強化することが求められます。

今後、CFOは企業AI導入の成功に向けていくつかの重要な役割を担う必要があります。AI導入のコスト管理を強化し、予算オーバーを防ぐための正確なコスト見積もりと持続的なコスト管理を行うことが求められます。

そして、意思決定プロセスにおいてAIの過大評価を避け、段階的な導入と定期的な評価を実施することが重要となるでしょう。

また、外部の信頼を維持するために、データの透明性とAIの運用に関する規制遵守を徹底させる必要もあります。従業員の不安を軽減し、新しい働き方への適応をサポートすることも不可欠です。

AIはさまざまな障壁はありますが、これらの取組を通じて、企業はAIの導入を推進することで、事業の成功へと導き、競争力を高めていくことが求められていくでしょう。

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