日本的経営とワールドクラスのギャップはなぜ大きいのか?

2024年6月6日
全体に公開

現代のグローバル経済において、企業が持続的な成長を遂げるためには、経営の質が重要となっています。

日本企業は、その独自の経営スタイルで成功を収めてきましたが、失われた20年と言われるように、世界における日本の地盤沈下は顕著となっています。

日本が、国際的な競争力を強化するためには、ワールドクラスの経営手法と比較し、ギャップを埋め、さらに一歩踏み出す取組が重要となっています。

経済産業省は2024年5月22日、第16回 産業構造審議会 製造産業分科会」開催。製造業を巡る現状と課題 今後の政策の方向性についての議論の中において、日本的経営とワールドクラスの経営のギャップについて具体的な問題点と特徴について言及しています。

これらのギャップの比較にフォーカスしてみたいと思います。

経営戦略と事業戦略のギャップ

<日本的経営の問題点>

  • 時間軸: 多くの日本企業は「中期経営計画」の3年間という固定的な時間軸にとらわれる傾向があり、短期的な視点に偏りがちとなり、変化の早いビジネス環境に迅速に対応することが難しい状況に
  • 事業の足引き: 事業戦略においても、将来の利益成長が見込めない事業にもリソースを投入し続ける傾向

<ワールドクラスの経営の特徴>

  • 中長期的な視点: メガトレンドや技術のロードマップを踏まえ、自社のポートフォリオを中長期的に常に見直し
  • 柔軟な事業資源配分: 売上や利益の成長が見込める事業や新規の事業に優先的にリソースを投入する姿勢が一般的

組織ケイパビリティと人材マネジメントのギャップ

<日本的経営の問題点>

  • オープンへの対応: 開発主義や縦割り意識が強く、オープンイノベーションへの対応に遅れがあり、製品やサービスの複雑化に伴い、単独の知識や情報に依存する傾向
  • 人材マネジメント: 長期安定雇用を前提とした新卒一括採用が中心であり、スキルや能力の評価・育成が遅れがち

<ワールドクラスの経営の特徴>

  • オープンイノベーション: 技術ライブラリ等の共有を促進し、自社の不足を認識した上で他社との協力を積極的に推進
  • 人材マネジメントの高度化: 重要なポジションを特定し、スキルや能力を明確にした上で、外部からも積極的に人材を採用する姿勢

マネジメントシステムとコミュニケーションスタイルのギャップ

<日本的経営の問題点>

  • 意思決定スタイル: 厳しい階層制度に基づくミドル・アップダウン方式が一般的であり、意思決定が遅れることが多い
  • コミュニケーションスタイル: 日本人・男性中心という同質的なメンバー構成が一般的であり、異なる意見や背景を持つメンバーとのコミュニケーションが難しい場合がある

<ワールドクラスの経営の特徴>

  • 迅速な意思決定: 経営層のトップダウン方式による迅速な意思決定が特徴であり、事前準備を徹底することで判断のスピードを向上
  • 多様性を重視したコミュニケーション: 国籍・人種・宗教等のバックグラウンドが異なる多様なメンバーが協力し、効果的な意思疎通を図る仕組みを整備

MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)の実践のギャップ

<日本的経営の問題点>

  • MVVの浸透度: 創業時からの社是や最近流行のスローガンを含め、ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)は掲げられているものの、社員全体への浸透度には差

<ワールドクラスの経営の特徴>

  • MVVの具体的実践: 年度方針発表や特別なイベントを通じて、MVVが企業文化として根付いており、日々の行動や意思決定に反映

まとめ

日本企業がグローバル市場で競争力を維持・強化するためには、日本企業特有の企業文化は守りつつも、時間軸の柔軟化、オープンイノベーションの推進、多様な人材の活用、迅速な意思決定プロセスの導入など、ワールドクラスの経営手法を参考にし、現行の経営戦略や人材マネジメント、組織の在り方などの改革に取り組んでいくことが求められていくでしょう。

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