キャリアってどう考えたら良いの?(Meet UB Tech連動企画その①)

2022年11月13日
全体に公開

本記事は、以下のポッドキャストで話した内容の一部書き起こしです。

現在CTOを務めている僕がよくされる質問で、「キャリアってどう考えればよいのでしょうか。何年後にこうなりたいか悩んでいます。」これにどう答えますか?

また、これに少し関連する話として、10年後、20年後のエンジニアはどうなっていると思いますか。 求められるスキルの変化がだったりとか、どう予想しますか。
ペンネーム:ハヤシタカユキさん

とメッセージをいただきました。

「キャリアは考えてるべき」って風潮は正直どうなの?

はい、なんか僕も結構このキャリアってどうすればいいでしょうか、みたいなこととか。そういう「どうなりたいみたいのはなくて悩んでます」みたいな話をよく聞かれます。

それで考えてみると、僕自身そんなにどうなりたいって思ってなかったなと。

なので、みんなキャリア考えてるべきだみたいな風潮もよくないのかなと思っています。

僕がコンピューターに触れ始めた時って、コンピューターを触っていることが仕事になるかどうかってあんまりわかってなかった感じだったんですよ。

父方の実家の電気屋だったんです。田舎のど真ん中にある水田があって、そのど真ん中に電気屋さんがあって、みたいなところに、うちの父は生まれました。

電気屋さんの次男なんですね。だから、東京に出てきた後もそういうものが好きで、新しい家電製品とかそういったものには囲まれてました。基本的に最新のゲーム機とかずっとある家だったんですよ。

PC98っていうパソコン出てきて、タイピングを覚えたり、「RPGツクール」とかでゲーム作ってみたりとか、そういうことしてたら、「面白いな」みたいな感じるようになってきて、何かソフトウェアを作っていくとか、何か表現したいものがとか、興味関心があることに調べていくようになっていました。

それで、気が付いたら、なんかそれが仕事になるのかもと思って「あ、じゃあちゃんと勉強してみてもいいのかな」とか、なんかそういう風にキャリアができあがってきました。

最近、本を書いたせいで、いろんなこと知ってますね。みたいなこと言われるんですが、それも自分が 中2病っぽかった頃に、図書館に引きこもったことがあったのが影響していると思っています。

引きこもって、人文科学っぽい本をたくさん読んでました。たとえば、文化人類学っぽい本や、現代哲学っぽい本を、よくわかんないのに読んだ。

こういったことの積み重ねがあって、人生のあるときに自分の中で「あ、なるほどこうだったのか」っていう風にキャリアの背中を押してくれたり、助けてくれてくれたりする経験に繋がったと感じています。

その結果、キャリアが見えてきたという感じです。

なので意図していない偶発的なものが大きいなと思っています。 

僕、結構本屋さん行くの好きで、本屋さんに今悩んでることとか考えてることを考えながら歩くことがよくあります。

そうすると、目の前にふっと飛び込んでくる本があって、その本をぱっと開いてみると、意外とその時考えてることのヒントが書いてあったるような感じがあって、そんな偶発性によって支えられてるなって思っています。

なので、何々になりたいっていうところが見つからなくてもいい。

例えば、楽しく生きていきたいとか、時間的余裕が欲しいとか、なんでもいいんですけど、そういうゴールと目の前にある課題に対して、いつも考えていたりとか、解決しようと思ってるっていうこの態度の両方が大事かなと。それが偶発的なものにすごく支えられているんですね。

なので、キャリアを考えておいて、何年後にこうなる、なるべきなんだよっていうところを自分の中に抱えて、ロールモデルを作ってみたいなことって、結構それ全部やってた不思議な人だなって感じなっちゃうかなと思っています。

だから、そこまでしなくてもいいんだけど、僕の中ではそういった課題意識を持って、目の前の課題をちゃんと解決しようと思っていることと、ちゃんとインプットがあること、 その偶然に巻き込まれていくようなインプットがあるような場所に自分を置いておくということを大切にしています。

だけど、布石を打つことはたくさんできるんですね。で、それが布石だって思っていなくてもよくて、なんか自分の興味関心の赴くままに職種を広げていくと、 何かいいことはあるなっておもいます。

生存バイアス的に聞こえるのかもしれないけど、僕自身はそういう風には思っていて、なので、今、本当にやりたいこととかできるようになりたいこと、解決したいことって、なんなのっていうところを意識する方が、キャリアのためには本当はなるのかな。

10年後のエンジニアのスキルは?

10年後にエンジニアが求められるスキルの変化ですね。どうなるんでしょうね。

僕のそもそもの考えはこうです。昔々、エジプト時代では、文字を書けるっていうだけで、食いっぱぐれないと言われてた。

書記官という仕事があって、その人たちはなんか高給取りだし、現代のエンジニアっぽい口とかも書いてあって似ているなと思っています。

でも、今現在、文字を書けないっていう人は、社会の構成員の中ですごく少なくなってきています。識字率めっちゃ高いですよね。

これから10年後、20年後はどのタイミングでくるのかわからないけど、その人間が求められているスキルの転換なんだと僕は思っていて、エンジニアが求められてるっていうよりも、その社会全体がプログラミング的なスキルを必要としているのだと思っています。 

人類が文字をかけるようになっていったように、コンピューターに対して、何か指示をするのが当たり前になるんじゃないかなとは思っています。

今もExcelにしても、パワポにしても、もうすでに何かをコンピューターに指示をする仕事っていうのは、増えてるわけじゃないですか。それと同じように、 人のためにマニュアルを書くような仕事から、AIとか機械とかのためにマニュアルを書く仕事っていうのがあるとしたら、それが エンジニアと今はたまたま呼ばれているけど、それは少ない人数しか今のところできないから、そう呼ばれているだけ。

僕としては、それは、読み書きそろばんのようになってきて、その分、誰にでも簡単なものになってくるかもしれないと思っています。

なので、人間が企業活動で求められてくことの大半がソフトウェア、エンジニアリングに近づいていくんじゃないかなという気はしています。

そうなった時にどうなっていくのかなっていうと、この10年、20年を自分なりに振り返ってみると、大体の技術が簡単になってます。民主化とかダウンサイジングと言っても良いです。

そのため、手段よりも「目的は何なのか」と「何をすべきなのか」というところに、焦点が当たるようになって来ている。

昔はそれこそHTTP サーバーからHTMLを返すために、テキストをパースするところから、書かなきゃいけないみたいな世界でした。

単純なウェブサイトを表示することですら、精一杯で、 すごく難しい要素が多々あったのに、今はどんどん簡単になっています。それぐらいだったら、小学生でもできるわみたいなことになっている。

今難しいなと思ってることの大半は簡単になってるはずなんで、その簡単になってるっていうのは、バグのないプログラムを書こうと思った時に、テストがあれば、もう実装を書いてくれるぐらいはなんか起こるんじゃないのかなと。

そういう風にどんどんと目的は何かとか、目的と手段の関係、抽象と具体の関係で言うと、抽象が何かっていうところに対して答えを持ち続ければ、 具体については、どんどんとコンピューターが埋めていくという社会になるだろうなと思うんです。

たとえば、いまだに20年前の感覚で、ソフトウェアを見てる人は、やっぱり設計と製造を分けてしまうのですが、こんなに簡単になっているんだったら、実装も設計も同じ人がやった方がいいよっていう社会になってることに、まだ気づいてないんですよね。

どんどんどんどん物事が簡単になっていく時に、2人でやっていること、複数人でやってること、分業していることっていうのは、どんどんと1人でやった方が早いに決まっている。今、例えば、フロントエンドに関して書いてる人とか、ペンド書いてる人、mlやってる人とって、分業している状態で、それぞれ やんなきゃいけないのは、それぞれがそれぞれそれなりに難しいから。それがどのぐらい難しくなくなってるのかを知らない状態だと、1人で何もできなくなっちゃうわけですね。ウェブデザインとかもそうかもしれない。そのデザインの要素の部分とかも。 

もしかしたらいろんなもので、自動化されて、簡単に作れることがどんどん増えてった時に、人に頼むよりも、コンピューターにやらせた方が、楽なことは増えてってという風になると、 10人でやっていたことを1人でやるようになってくる可能性があって、そうなった時に、どういう風なスキルが求められますかっていう話です。

「自分はバックエンドで」とか「自分はこの領域のスペシャリストになる」っていうのはあるけど、スペシャリスト以外いらない状況にどんどんなっていきます、というのがあって、そこで生き残るというレースは、どんどん難しくはなってくと思うんですよね。 

両方を知ってることによって実現できるスキルっていうのは、需要がある程度増えていく部分もあると思うけど、一方でそれってビジネス力だったり、総合力だったり、マネジメント力だったり、いろんなことが問われる領域になってきて、ここの二極化みたいなことが進んでいくかもしれないなっていうように思います。

一方、コンピューターのソフトウェアプログラミングっていうのは、常に進化していて、今から見るととんでもないものをそのまま再実装するみたいなことは、ずっとあり続けるんだろうなと思っています。

新しい橋をかける技術ができたとしても、昔作った橋のメンテナンスはあるから。そういった需要というのは、あり続けるとは思うんですね。なんだけど、求められるものはどう変わっていくかっていうと、本丸の部分、1番核になる部分は、どんどんとそういう風に、1人でできるみたいな領域に移っていくんじゃないかなっていう気はしてますね。

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