米ヤフー元CEO、マリッサ・メイヤー率いるスタートアップに期待外れの声
Googleの初期社員として活躍したマリッサ・メイヤー氏は、2012年に業績不振に陥っていた米ヤフーのCEOに就任し、抜本的な改革に取り組んできました。
改革には一定の成果が生まれるもすでにGoogleから大きく引き離されていたため、最終的には2017年に中核事業をベライゾンに売却することに。
そんなメイヤー氏が新たなチャレンジとして、2018年に設立したのが、日常の面倒なタスクの自動化・大切な人とつながるツールを開発する「Sunshine Products(サンシャイン・プロダクツ)」です。
今回、新たに写真共有アプリをリリースしましたが、あまりにもレトロなデザインに相次いで期待外れという声が。しかし、それにはある狙いがあったのです。
サムネイル画像:Unsplash/Inkredo Designer
☕️coffee break
サンシャインはGoogleでシニア・プロダクトマネージャー→Yahooでシニア・バイスプレジデントを務めていたEnrique Muñoz Torres(エンリケ・ムニョス・トーレス)氏との共同創業です。
まず初めにリリースしたのは、「Sunshine Contacts」と「Sunshine Birthdays」です。
個人の連絡先管理は、スマホにデフォルトで入っている連絡先アプリ、メール、SNSアプリなどに分散しています。
Sunshine Contactsはそれら全てのアカウントデータをAIで収集して、重複を回避したり、自動で情報更新したりしてくれる個人向けCRM(連絡先)アプリです。
このアプリと連携して、人と人の結びつきをさらに強化するために開発したのが、誕生日管理アプリ「Sunshine Birthdays」です。
こちらも全ての連絡先管理サービスから誕生日情報を集約して、リマインドしてくれるというもの。
また、生成AIを活用して、オリジナルの誕生日カード(eCard)を簡単に作成することができます。
🍪もっとくわしく
今回、グループ写真共有アプリ「Shine」をリリースしました。
これはイベントや旅行中などに撮った写真をアルバム化して、そこにグループメンバーを招待することで簡単に共有できるようにするアプリです。
イベントなどでは何十枚、何百枚もの写真を撮るものの、そこから写真を厳選することは骨の折れる作業。
AI画像認識により、いつどこで撮影され、誰が写っているのかを調べ、それを自動で分類されるので、確認した後にURLを共有するだけで、一緒に思い出を振り返ることができます。
また、事前にアルバムを作成することで、結婚式などでの招待状としても使うことができるのです。
これらのアプリはいずれもシンプルな機能で、数クリックで作業が完結するようになっています。
しかし、今回リリースした写真共有アプリ「Shine」は、2010年代初頭を彷彿とさせるデザインだったため、テクノロジーサイト『GIZMODO』は“石器時代のデザイン”とまで酷評しています。
「Shine」では、米Yahoo!と同じ紫色にヒッピー風のフォント(太字で曲線を強調した手書きのようなスタイル)になっています。
Introducing the Shine app – easy, intuitive, group photo sharing. With Shine, a photo belongs to a time and a place, and the people who were there.https://t.co/p5FifLrs4o
— marissamayer (@marissamayer) March 26, 2024
(2/12) pic.twitter.com/oNjOjBJ2i1
それには、経営陣のある狙いがあったのです。
それは高齢者を惹きつけること。
多くのスタートアップは若者をターゲットに最先端のテクノロジーを活用して、新たなアプリを次々と開発していきます。
一方、すでに米国民の年齢中央値は約40歳で一部の地域では60歳以上。そして今後さらに高齢化は加速していきます。
サンシャインではそうした人々が人生をより豊かに、つながりを感じながら生活ができる手段として、スマホアプリを提供することを望んでいるんです。
元ヤフーCEOが率いる15人のチームは、今後どのようなサービスを展開し、拡大戦略を描くのか。果たして、レトロなデザインで高齢者を惹きつけることはできるのかに注目が集まっています。
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