AI駆動型のサプライチェーンの9の未来予測

2024年1月29日
全体に公開

IDCは2024年1月22日、IDC FutureScapeの最新のレポート「Worldwide Supply Chain 2024 Predictions — Asia/Pacific (Excluding Japan) Implications」を公表しました。

アジア太平洋地域(日本を除く)の企業が、サプライチェーンの核となるプロセスのサポートとダイナミックなサプライチェーン設計に、生成AIツールを使用する機会が、2026年までに60%に達すると予測しています。

これにより、製造業者、小売業者、その他のサプライチェーン参加者にとって重要な意味を持ち、地域全体のサプライチェーンをより同期され、反応が良く、コスト効率の高いものにすることが期待されています。

IDCの調査によると、アジア太平洋地域のサプライチェーン組織の80%が、2024年の経済は2023年と比較して停滞するか、縮小すると予想しています。競争力を維持し、成長を続けるために、これらの企業は生産性と効率の向上に注力しています。

今後5年間で、AIへの投資は、潜在的な経済停滞に対応するために、大幅な効率向上とコスト削減を目指さなければなりません。そのため、サプライチェーン組織は、デジタル変革イニシアチブを加速し、運用を合理化し最適化するAI主導の技術に重点にしていきます。

アジア太平洋地域の企業は、サプライチェーンプロセスを強化するためにAIの利用の重要性を認識し始めています。

AIは、データから価値ある洞察を抽出するのに役立ち、予測分析とインテリジェントオートメーションを可能にし、不安定な市場において需要予測、資源配分、顧客満足度の向上に貢献します。

この結果として、IDCは、アジア太平洋地域(日本を除く)のサプライチェーンにおいて、AIが以下の影響をもたらすと予測しています:

ロジスティクスの可視性とパフォーマンス最適化(Logistics Visibility and Performance Optimization):
 2027年までに、APeJのロジスティクスチームの40%が、パフォーマンスを最適化し、物流費用を3%削減するための洞察を提供するAI/ML分析を用いた高度な可視性を展開する

パーツプランニングの生産性(Parts Planning Productivity):
 2026年までに、A2000の40%が自律型サービスパーツプランニングを導入し、修理までの平均時間を短縮し、顧客またはオペレータの資産の生産性を向上させる

ラストマイルの収益性向上(Last-Mile Profitability Improvements):
2028年までに、計画と実行の統合、ニアショアリング、在庫割り当ての改善、AIに基づく電子商取引、フルフィルメントの最適化により、ラストマイルの収益性が5%向上する

ロボティクスオートメーションの急増(Robotics Automation Surge):
2025年までに、APEJの企業の50%が、注文履行の速度と精度を向上させるために広範なロボティクスオートメーションを実装し、ピック速度を10%向上させ、ピックエラーを2%から3%削減します。

エコシステムオペレーションのデジタル化(Ecosystem Operations Digitalization):
2025年までに、A2000の組織の60%がエコシステムオペレーション用のデジタルコマースプラットフォームを導入し、データ資本化率を10%向上させ、顧客保持率を10%改善する

オペレーショナルロールの拡充(Operational Role Augmentation):
2027年までに、アジア太平洋地域の組織の60%が、従業員のエンゲージメントを高め、従業員の効率を50%向上させるために、オペレーショナルロールに自動化技術を導入する

循環型経済の採用(Embracing the Circular Economy):
2028年までに、アジア太平洋地域の製造業者の50%が、戦略的/直接的な材料の入手可能性を改善し、供給の信頼性を15%向上させるために、循環型経済の原則を運用化する

最終組み立ての移転(Relocation of Final Assembly):
2026年末までに、A2000企業の30%が、需要に近い場所に最終組み立て機能を移転し、全体の物流コストを10%削減する

サプライチェーンオーケストレーションの増加(Increasing Supply Chain Orchestration):
2028年までに、A2000社のうち35%が、主要なサプライヤーや顧客を統合するサプライチェーンオーケストレーションツールを使用し、デジタルツイン機能を含むことでサプライチェーンの対応力を15%向上させる

今後の展望

AI駆動型のサプライチェーンは、今後、特に日本においては人材不足が深刻化する中、採用を加速させていくことが必要不可欠となっていくでしょう。AI駆動型のサプライチェーンは、自動化などによる生産性向上から、労働環境の改善など、幅広いケースで利用が拡大していくことが予想されます。

IDCが示すように、短期的には生産性向上などの効率性を高めることに焦点があてられると思いますが、長期的には、AI駆動型のサプライチェーンのエコシステムを構築し、持続可能性を高めていくことに重点が置かれるようになるでしょう。

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