アートを学んでも感性はよくならない
さて、アート作品を観るだけでビジネスの役に立たないということは前回のコラムで書きました。
今回は、アート鑑賞をするだけで人間の感性が高まり創造力が豊かになるはずがないことを説明いたします。
人間の持つ感性というものはDNAからくる天性の部分と、長年の生活環境によって培われます。
感性は美術館でアートを観たくらいで磨かれるものではありません。
そもそも感性が低い人にアートを見せたところでその人の感覚が繊細になるはずもなく、生活様式を大幅に変えない限りは創造力などが高まるはずもありません。
例えば、鉛筆デッサンでうまく描ける技術などにおいては、確かに絵を描くテクニックだけは短期に学ぶことはできるでしょう。
そのような表面的な部分、つまり苦手であった絵を少しでもまともに見せることにテクニックは役立つのでしょうが、これは逆上がりや跳び箱が出来なかった人にテクニックを教えて自信を取り戻させるような対症療法と何も変わりません。
美術館で作品を観るだけで感性が養われないのは、サッカー観戦をすることで運動能力が高まったり、とっさの優れた状況判断ができるわけではないのと一緒だと言えば分かりやすいでしょう。
あくまで美術館で作品を観るのは娯楽であり、個人的な教養をつけるのには役立つでしょう。
美術鑑賞を趣味としている人が、しない人に対してマウントを取るために、アートを観ないような感性が低い人は仕事ができないといったことを言いたいだけかもしれません。
つまり、美術鑑賞しても感性や創造性が高まることはないので、それをビジネスに役立てることは難しいのです。
また、「アート」のもつ言葉の意味を、「デザイン思考」や「美意識」というところまで広げすぎてしまう人もいますが、そうなるともう何が何だか分からなくなり、アート的なものはすべてビジネスに役に立つといった間違った論調になりかねません。
さて、それではアートが実のビジネスに役に立たないことが明らかなのですが、アート鑑賞をすることで身に付けた教養を生かす場所はあるのでしょうか。
単に海外で欧米人とのパーティーで使えるネタくらいのものであれば、敢えてそのような教養は「見栄」でしか使えないとも思われますが、実はそれだけではありません。
アートを知ることで身に付けた教養がどのように役に立つのかを次回以降できちんと説明したいと思います。
一般人からは得られないアーティストからの視点がそこにあるのです。
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