AIと先端半導体を起点とした経済成長のエコシステム
2024年5月10日、内閣府は「第5回経済財政諮問会議」を開催し、先端技術の実装と競争力強化を中心とした中長期の重点課題について議論・検討を行っています。
その中でも特に注目されているのが、AIと最先端半導体技術を起点にした経済成長の実現に向けたエコシステムの取組について、取り上げたいと思います。
先端半導体の重要性と取り組み
半導体はデジタルトランスフォーメーション(DX)の要であり、DXはグリーントランスフォーメーション(GX)や経済安全保障などには欠かせません。
特に先端半導体は生成AIや自動走行技術などの最重要技術であり、その製造基盤を自国で持つことは、産業競争力強化や経済成長に不可欠となっています。
日本は世界に先駆けて先端半導体投資支援を開始しており、世界各国が競争的に先端半導体への投資を強化しています。
AIと最先端半導体技術を起点にした経済成長の実現に向け、投資の拡大を本格的に後押しすることが極めて重要です。
半導体投資による経済波及効果
半導体の生産には多種多様な材料・製造装置が必要であり、その裾野は多岐にわたっています。
半導体投資を起点とした地域での雇用増や賃金上昇の効果に加え、サプライチェーン全体の活性化も含め、経済波及効果は非常に高く、将来的な税収増も大いに期待されています。
実際に、JASM1号棟の整備を起点に九州全体での設備投資が顕著に増加しています。JASMでは全国平均より5万円以上高い水準の初任給が実現しており、九州内の大手企業は大幅な賃上げを実施しています。これはまさに賃上げと投資の好循環を生み出しています。
経済産業省の試算によれば、政府が支援する2つの先端半導体製造プロジェクトに対する最大助成額約5,689億円に対し、事業期間中に発生する税収効果は約5,855億円と試算しています。
また、TSMCの進出による熊本県への経済波及効果は、2022年からの10年間で約6.9兆円に達すると予測しています。
AIと最先端半導体技術を起点にしたエコシステムの構築へ
AIと最先端半導体技術のエコシステム構築には、クラウドを利用した生成AIの提供・利活用拡大と、自動車をはじめとするエッジ領域でのAI機能の搭載が重要です。
「AIの高度化」と「消費電力の削減」を最適化するハード・先端半導体の産業基盤の確保と、ソフト・生成AIの開発力向上が相互に円滑に機能するエコシステム作りが、今後の産業の国際競争力にとって不可欠としています。
日本は人口減少と少子高齢化に直面しており、AIの活用による自動化の進展が急務です。AIと最先端半導体技術による経済成長のこのエコシステムの構築により、日本の経済成長と国際競争力の強化を目指していくことが求められていくでしょう。
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