人手不足対策にロボットなどの「省力化投資」を

2024年5月21日
全体に公開

企業における人手不足の状況は年々深刻化しており、人手不足への対応が企業の業績に大きな影響を与えています。人手不足倒産という記事を目にすることも多くなってきました。

内閣府は2024年5月9日、「新しい資本主義実現会議(第27回)」を開催し、三位一体の労働市場改革の実行に関する議論・検討を行っています。

この中から、日本における人手不足が深刻化する状況と、省力化投資などの投資の視点で取り上げていきたいと思います。

足もとの人手不足の状況

企業における人手不足の状況は深刻です。2024年2月時点における全職業の平均有効求人倍率は1.20倍。中でも建設・採掘従事者は5.25倍で最も高く、介護関係職種が4.08倍、サービス職業従事者3.02と続いています。

出典:内閣府 新しい資本主義実現会議(第27回) 2024.5.9

日本企業の人手不足への対応

過半の企業は採用増に頼っていますが、採用の難易度は年々高くなっており、重要となるのが省力投資です。しかしながら、省力投資を進める企業は2割未満と少ない状況です。

特に、運輸業・郵便業、生活関連サービス業・娯楽業、医療福祉、宿泊業・飲食サービス業で省人化投資を行う企業割合が低くなっており、省力化投資のさらなる強化が求められる状況となっています。

出典:内閣府 新しい資本主義実現会議(第27回) 2024.5.9

企業が予定している設備投資の内容

企業が予定している設備投資は、「設備の代替」が57.0%と最も高く、「既存設備の維持・補修」が28.5%と続いています。「省力化・合理化」、「情報化(IT化)関連」、「DX(デジタル・トランスフォーメーション)」は未だ少ない状況となっています。

出典:内閣府 新しい資本主義実現会議(第27回) 2024.5.9

省力化投資の具体例

政府では、カタログ式補助金を新設し、面倒な申請書類や、面倒な手続きなしに、省力化効果の高い汎用製品をカタログから選ぶ支援措置(3年で5,000億円規模)を行っています。

現在は9カテゴリ(無人搬送車、清掃ロボット、券売機、配膳ロボット、自動倉庫、検品・仕分けシステム、スチームコンベクションオーブン、自動チェックイン機、自動精算機)について、製品の登録作業を進めており、6月下旬に申請受付開始を予定しています。

カタログ式補助金の具体的例では、無人搬送車、券売機、清掃ロボット、配膳ロボットといった項目を挙げています。人手不足を補うロボット関連への投資は企業においての負担も大きく、政府の補助金等の後押しも重要となっていくでしょう。

出典:内閣府 新しい資本主義実現会議(第27回) 2024.5.9

今後の展望

日本においては、超少子高齢化がさらに進み、人手不足が進む社会は、すでに起こった未来像です。さらなる人手不足の状況を前提にバックキャストをしながら、無人搬送車、券売機、清掃ロボット、配膳ロボットなどの人手不足への対応や、自動化を通じての効率化、さらには新たなビジネスの創造モデルを進めていく必要があるでしょう。

日本においては省力化投資、さらにはDXなどのIT化への投資が遅れており、課題先進国だからこそ、早急に対応を進め、企業を筋肉質に改革を進めていく必要がますます求められていくでしょう。

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