ハノーバーメッセでは生成AIが主要テーマであったが、明確なロードマップは欠如

2024年5月23日
全体に公開

ABIリサーチは2024年5月16日、ハノーバーメッセ2024における展示内容に関するレポートを公表しました。

ハノーバーメッセ2024では生成AIが主要テーマとなり、産業用ソフトウェアプロバイダーが新しいコパイロットやAIアシスタントを使ってどのように業務を迅速かつ効率的に行うかといった展示がみられました。

ABIリサーチは、多くの企業が生成AIソリューションを展示しているものの、真に革新的なアプローチを取っている企業は少ないと指摘しています。

製造業における生成AIソリューションの展開に対する全体的な動きは、既知のユースケースを用いた時間短縮の改善関連を目的とした展示が多くみられたとのことです。

これらの目標を達成するために、生成AIを提供する事業者は、製造業が日々直面する問題に耳を傾け、生成AIがどのように解決策となるかの検討を進めていくことが求められています。

ABIリサーチの産業および製造業界アナリストは、

製造業における生成AIの現実的なユースケースは、エンドユーザーに対する短期的な具体的なリターンを超えないものであり、これが現在のベンダーの市場戦略です。

ハノーバーメッセ2024で示された主要なユースケースは、プログラマブルロジックコントローラー(PLC)プログラミング、コード生成、ステップバイステップの作業指示、データの強化と統合など、大規模言語モデル(LLM)の中核的な強みをメインとしています。

と述べています。

ABIリサーチの最近の報告によると、製造業における生成AIのユースケースによる追加収益は2034年までに105億米ドルに達するとし、これには3つの異なるフェーズ(短期、中期、長期)があるといいます。展示内容は、市場が生成AIの製造業への展開の短期フェーズを超えていないといいます。

ハノーバーメッセで注目された生成AIソリューションには、

Siemens:ドキュメント検索と製品ライフサイクル最適化のためのIndustrial Copilot
Retrocausal:ワークステーション設計とプロセス最適化のためのKaizen Copilot
Blue Yonder:サプライチェーン最適化とパフォーマンスインサイトのためOrchestrator、Beckhoff:コード生成とドキュメント検索のためのTwinCAT 3に組み込まれた生成AI、Tulip:データ強化と多言語コード化のためのFrontline Copilot
SoftServe:リアルタイム作業指示とドキュメント生成のためのIndustrial Copilot

などを挙げています。

ハノーバーメッセで見られた生成AIの現実的なユースケースの構築と展示は、生成AI市場の未成熟さを顕著にしたといいます。

ABIリサーチの産業および製造業界アナリストは、

現在のベンダーの焦点は、職種や役割を問わず、できるだけ多くの従業員に生成AIを利用可能かつ有用にすることです。この全体的なアプローチは、無料またはフリーミアムの生成AIモデルの業界トレンドによって支えられています。
ベンダーは現在、ユーザーを獲得することに注力しており、利益を追求していません。生成AIの展開の熱が冷め、ベンダーが利益を追求し始めると、製造業者はクラウドと計算リソースの集中的な要求により無料サービスが高額な料金を要求することに驚くでしょう

と述べています。

今後の展望等

ハノーバーメッセ2024での生成AIの展示は、製造業における技術の進展を示す一方で、明確な未来のロードマップが欠如していることも浮き彫りとなりました。

現在、多くのベンダーは生成AIの普及やシェア獲得を目指し、現実的なユースケースの構築に取り組んでいますが、まだ、具体的な成果の出る実績が出てきている状況にはなっていないようです。

生成AIの導入に際しては、エンドユーザーに具体的な価値を提供することが重要で、今後は、たとえば、生成AIを活用したより高度な分析や予測モデル、リアルタイムの意思決定支援システムをさらに発展させたモデルなど、しばらく試行錯誤が続くのかもしれません。

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