環境省の"熱中症予防情報サイト"がすごい!現役救急医が解説

2023年7月12日
全体に公開

今年も夏本番となり、熱中症の患者さんが増加するシーズンとなりました。

熱中症は予防が大切。
行政や医療機関、メディアが熱中症予防のために様々な情報発信をしています。

中でも環境省の「熱中症予防情報サイト」に掲載されている「熱中症警戒アラート!全国運用中!」というリーフレットの内容が非常に素晴らしいので、現役救急医の目線で解説したいと思います。

https://www.wbgt.env.go.jp/pdf/pr/20230530_leaflet_alert.pdf

エアコンを適切に使用しましょう

熱中症のリスクに「高温多湿の環境」があります。
エアコンを適切に利用すれば、熱中症のリスクを一つ回避できるわけですから、救急医としては何としてもオススメをしたいところです。

しかしながら、テレビやSNSで皆さんのお話を聞いていると、どうやら電気料金を懸念して利用を控える方もいらっしゃるようです。

確かに光熱費の負担も大変ですが、熱中症になってしまい病院受診・救急搬送されたときのコストを考えますと、夏季の間だけでもエアコンを使用することは理にかなっているのではないかと私は考えます。

行政の注意喚起やメディアの方々のご協力により、熱中症予防のためのエアコン使用は世間でも定着しつつありますが、今一度ご友人やご家族の間でも呼びかけをしていただければと思います。

https://www.wbgt.env.go.jp/pdf/pr/20230530_leaflet_alert.pdf

外出はできるだけ控え、暑さを避けましょう

「こんなの当たり前でしょ?」と思われる方もいるかもしれません。

しかしながら、「家の近くに買い物に行くだけ」「いつもの道を散歩するだけ」と軽い気持ちで外出をしてしまい、結果として熱中症になってしまう方は、高齢者を中心に少なくありません。

医療従事者の目線からしますと、「わざわざ暑い日中に買い物に行かなくても・・・」と思ってしまいがちなのですが、そうはいっても生活のために食品は買わなければいけませんし、用を足さねばならないこともあるでしょう。

不要不急の外出はやめて欲しいのですが、どうしても外出しなければいけない場合は、少しでも涼しい時間にずらせないか、近くの場所で代用はできないか、外出予定を延期はできないか、改めてご検討いただければと思います。

https://www.wbgt.env.go.jp/pdf/pr/20230530_leaflet_alert.pdf

熱中症のリスクが高い方に声かけをしましょう

ご高齢の方、お子さん、持病をお持ちの方、肥満の方は、熱中症のリスクが高いと考えられています。

「まだ大丈夫」と思っていても、気づいたときにはすでに熱中症の症状が出てしまっており、動けなくなってしまったという方もいらっしゃいます。

リスクの高い方には、周りからの声かけや配慮が非常に重要です。

「体調に変わりはないか」、「水分や塩分はこまめに摂れているか」など、周りの方の方から声かけを行っていただき、熱中症になってしまう前に予防することを目指しましょう。

https://www.wbgt.env.go.jp/pdf/pr/20230530_leaflet_alert.pdf

外での運動は、原則、中止/延期しましょう

若くて元気な方であっても、条件さえ整えば熱中症になります。

暑さ指数(WBGT)の高い日に、屋外やエアコンのない施設で激しい運動を行ったり、水分・塩分摂取を怠ったりすれば、熱中症になってしまう可能性は十分にあると思います。

どうしても中止・延期のできない仕事やイベントもあるかもしれませんが、危険な状況下で仕事やイベントを行うことはやはり望ましくありません。

不安を感じたときは、ぜひ一度みなさんで中止や延期について検討する機会を持っていただきたく存じます。

https://www.wbgt.env.go.jp/pdf/pr/20230530_leaflet_alert.pdf

普段以上に「熱中症予防行動」を実践しましょう

お仕事などで、熱中症のリスクを完全に避けることのできない方もいらっしゃると思います。

「こまめに水分や塩分摂取を行う」「適切な衣服を心がける」「運動・労働の合間に涼しい場所での休憩を挟む」など、熱中症の予防のためにできることがありますので、いつも以上に積極的に取り組んでいただきたく思います。

水分摂取については、のどが乾いたら飲むのではなく、こまめな摂取をこころがけて、脱水症になってしまう前に水分を補給することが大切です。

https://www.wbgt.env.go.jp/pdf/pr/20230530_leaflet_alert.pdf

暑さ指数(WBGT)を確認しましょう

熱中症という言葉にもあるように、高温多湿環境は代表的な熱中症のリスクです。

環境省熱中症予防情報サイトでは、暑さ指数の実測と予想を地域ごとに掲載しており、特にリスクが高い地域を対象に「熱中症警戒アラート」を出しています。

暑さ指数とは、気温とは異なり、人間の熱バランスに影響の大きい要素を取り入れて数値化したものを指します。こちらも熱中症予防情報サイトの「暑さ指数について学ぼう」で解説されていますので、お時間がある方はぜひ読んでいただけたらと思います。

https://www.wbgt.env.go.jp/pdf/pr/20230530_leaflet_alert.pdf

熱中症の症状が出てしまったら・・・

厚生労働省の「熱中症の予防について」というリーフレットに、熱中症の予防・症状・対処法等について、とてもわかりやすくまとまっていますのでご紹介いたします。

熱中症の症状は、「めまい」や「立ちくらみ」、「筋肉のこむら返り」など、最初は軽い症状から始まる方が多いです。しかしながら、さらに悪くなってしまうと、「頭痛」や「嘔吐」、「倦怠感」などが出現し、より重症化すると意識が悪くなったり、動けなくなってしまったりするのです。

自力で水分摂取が出来ない、応答がおかしいなど、症状が重篤な場合は救急車を呼ぶことをためらう必要はありません。
もし、症状が軽度であり、救急車を呼ぶかどうか迷ったときは「涼しい場所へ移動」、「水分・塩分・経口補水液などを補給」といった応急処置を検討した上で、各自治体の救急電話相談や医療機関へご相談いただければと存じます。

https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nettyuu/nettyuu_taisaku/pdf/necchushoyobou/necchushoyobou.pdf

タイトル画像:https://www.wbgt.env.go.jp/pdf/pr/20230530_leaflet_alert.pdf

参考文献

環境省 熱中症予防情報サイト

厚生労働省 熱中症予防のための情報・資料サイト

応援ありがとうございます!
いいねして著者を応援してみませんか



このトピックスについて
津覇 ゆういさん、他92人がフォローしています