消費者庁「棺内のドライアイスによる二酸化炭素中毒に注意」呼びかけ
先日、消費者庁のホームページで注意喚起がありました。
ドライアイスは身近な冷却材として広く用いられています。
この度、葬儀の際にご遺体の保冷目的で棺内に置かれていたドライアイスによる二酸化炭素中毒を疑う死亡事故の情報が消費者庁に寄せられたとのことです。
今回、現役救急医である私が二酸化炭素中毒について解説してまいります。
二酸化炭素中毒とは?
空気中の二酸化炭素濃度は0.04%程度と言われています。
したがって、特殊な条件下でなければ、二酸化炭素中毒になることは本来ありません。
よくリスクとして知られているのは長時間閉鎖空間で作業せざるを得ないようなシチュエーションです。
また、二酸化炭素は思いことから、重力に応じてくぼみ・穴にも溜まりやすいと言われています。
日本では八甲田山の自衛隊員の事件が有名かと思います。
当時、訓練中だった自衛隊員が山の窪地部分で高濃度の二酸化炭素を吸入したことで死亡事故となりました。
個人差やばく露時間によっても異なりますが、二酸化炭素濃度 3%前後から自覚症状を来たしやすいと言われています。
頭痛や耳鳴りなどの症状から始まり、より高濃度な二酸化炭素を吸入すると吐き気、嘔吐を来たします。10%近く濃度の二酸化炭素を吸入すると、意識障害、呼吸困難を起こすと言われており、最悪死に至ります。
![](https://contents.newspicks.com/topics/173/posts/12/images/20230930154407633_N2Kg3a0N.jpg?width=1200)
なぜ棺内で二酸化炭素濃度が上昇を?
今回の報告ではご葬儀の際にご遺体の保冷目的で棺内に置かれていたドライアイスが二酸化炭素中毒を引き起こす原因になったのではないかと指摘されています。
敷き布団を敷いた棺にダミー人形(成人男性型、身長約 180cm)を入れ、脱脂綿で包んだドライアイスを4個(約 2.5kg×4個。計約 10 ㎏)設置し、棺内部の二酸化炭素及び酸素濃度の推移を気体検知管により測定しました。国民生活センターの調査
国民生活センターの調査が棺内のドライアイスによる二酸化炭素濃度を測定した調査では、テスト開始直後から二酸化炭素濃度は急速に上昇し、20分後には「ほとんど即時に意識消失」するとされる濃度となったとの報告が記載されております。
![](https://contents.newspicks.com/topics/173/posts/12/images/20230930154908986_2kWBF4IL.png?width=1200)
二酸化炭素中毒を避けるために
消費者庁は以下の注意喚起を行っています。
・棺の中に顔を入れないこと
・室内の換気を十分に行うこと
・線香番などで一人にならないこと
・気分が悪くなったらすぐに棺から離れ、異常があれば直ちに 119 番通報を
・不明なことがあれば葬儀業者に確認を
二酸化炭素中毒は命の危険に関わります。
目に見えないからこそ、危険を察知しにくい中毒の一つですので注意が必要です。
【引用・参考文献】
棺内のドライアイスによる二酸化炭素中毒に注意 令和5年9月 21 日
消費者庁 国民生活センター
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/caution/caution_071/assets/consumer_safety_cms205_230921_01.pdf
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