リーダーが長期思考に時間をさくことができる、クリーンな組織

2024年5月10日
全体に公開

海にかかる橋が好きです。

こんにちは!

組織構造とリーダーの役割を合わせて考える重要性について書いた前回の記事、久しぶりにトピックスを書きましたが、反応があるとやはりうれしいですね。書いてよかった。

今回の記事では、前回の記事の内容を引き継ぎ、2nd、3rd lineリーダーが複雑性・不確実性をコントロールするHow(手段)を、組織構造と合わせて見ていきます。

まず、前回のおさらい。

「1st〜3rd lineリーダーってなんだったっけ?」については、この図を見ていただければ。

筆者作成

大規模な組織だと、この上にさらに4th lineリーダーがいる。4th lineリーダーまでで、数千人規模の組織まで対応できる。

1st〜4th lineにリーダーが階層的に変わると、管掌する組織の人数が大幅に増え、また、目標達成のために調整が必要な社内・社外組織の種類や規模も大幅に増え、リーダーがコントロールしなければならない複雑性・不確実性は大きくなります。

そして、複雑性・不確実性は、「時間軸」、「専門性」、「影響度」の3つに分かれます。そのようなことを、前回の記事で述べました。

筆者作成

さあ、この3つの複雑性・不確実性をどうコントロールするか。

私の暫定解としての結論を言うと、こんな感じです。

・ 長い時間軸への対応
短期的な例外対応に割く時間をクリーンな組織をつくることで減らし、短期的な複雑性・不確実性をコントロールできるリーダーを育成し、長期的な複雑性・不確実性のコントロールに割く時間を習慣的に確保する。

・ 広い専門性への対応
広く専門性を学習する時間を習慣的に確保する。また、専門性の分岐によらない、プロジェクトマネジメント、ステークホルダーコミュニケーション、投資家思考を学習し、実践する。

・ 間接的な影響への対応
経営情報の(コンテキスト含めた)オープンな共有でメンバー自らの意思決定を増やし、ラインのリーダーを、形式知化(シンプル・ルール化)、共同化による暗黙知の伝承を通じて育成し、間接的な影響をコントロールする。

はい。抽象的で分かりにくいですね。

長期的な複雑性に対応する時間の確保、特に時間を確保してリーダーを育成することがキーになりそうだということが伝わればうれしいです。

以下、この内の一部を具体的に説明していきますが、とても長くなったので、最後の方の「今日からスタートする」を読んでいただき、興味が湧いたら他の部分を読んでいただくのも良いと思います。

仕事に追われるリーダー

いやー、リーダーってめっちゃ忙しいイメージありますよね。

「仕事に追われるリーダー」というのは典型的なリーダー像の一つかもしれません。

厳しいことを言うと、短期的な作業に日々忙殺されているのなら、それは、リーダーの仕事を果たすことができていない状態。中期的な、複雑性・不確実性をコントロールすることができていない状態だと思います。

複雑性・不確実性をコントロールするには、短期的な作業に忙殺されず、中期的、長期的な仕事に打ち込む時間の確保が必要です。

・ メンバーから、相談の連絡が絶えず飛んでくる。
・ メンバーから、意思決定の依頼が絶えず飛んでくる。
・ そのような「来た玉を打ち返す」ことだけで一日が終わってしまう。

メンバーへの熟考したフィードバック、オペレーションの段階的な改善、中期的な計画作成。中長期を見据えてやるべきことは多々ある。

けれど、緊急性が高い短期的な作業だけでタスクがあふれてしまい、緊急性が低いものは、重要性が高くとも放置せざるを得ない。

こんな状態では、特に、中長期的な複雑性・不確実性がコントロールできる訳が無い。

これは、リーダーのアンチパターンです。

Getty Images: Fred Morley

クリーンな組織とは何か

このようなアンチパターンを避け、中長期的な複雑性・不確実性をコントロールする時間を確保するためには、クリーンな組織をつくり、保ち続ける必要があります。

「クリーンな組織」とは何でしょうか?

組織がクリーンであるとは、組織規模の拡大に伴い、持続的にアウトプットが増加している状態(スケールしている状態)を指します。

逆に、組織がダーティであるとは、組織規模の拡大に伴い、調整コストが増加し、意思決定のスピードが下がり、ユーザーへ直接届くアウトプットが中々増えない(スケールしていない)状態

クリーンな組織とダーティな組織では、どう中身が違うのか?

R&R(Role&Responsibility)、構造、ライン限界の3つがキーだと考えています。

この3つを使って、クリーンな組織とダーティな組織の特徴を表したものが下の図です。

筆者作成

結論から述べると、明確なR&Rを作成し、それを動的に運営し、凝集性が高く結合性が低い構造をつくれば、調整コストが低く、フロー効率性(後述します)が高い組織がつくれる。

さらに、ラインの人数を適切に抑えれば、暗黙知の共同化等を通じてリーダーを持続的に育成できる。これらがクリーンな組織の土台になる。

この3つの要素を順番に説明します。

R&Rについて。

R&R(Role&Responsibility、役割と責任)とは、個人やチーム(組織単位)が担う具体的な役割と責任を記述するものです。

Chat GPTに作成してもらった、HR(人事部)のR&Rの具体例がこちらです。

Chat GPTのアウトプットより、筆者作成

実際のR&Rはもっと網羅的で細かく記述されます。

R&Rにおいて特に重要なのは、意思決定の所在の明確化です。特定のテーマに対して、どのチームが、誰が、意思決定権を持つのかを記述します。

特定の人物が意思決定権を持たず、特定の会議体(経営会議や取締役会等)が意思決定権を持つ場合もあります。これらは通常、権限規定で記述されます。R&Rと権限規定はセットです。

そして、R&Rは一度作成したら終わりではなく、アップデートし続けることが必要です

例えば、上のHRのR&Rには「人事異動」のことが記述されていません。

人事異動を検討する時点で、スムースな異動の実現もHRのR&Rに含むようアップデートし、さらに、人事異動の対象者、送り出すチーム、受け入れるチーム、HRのそれぞれのリーダーの4者合意で意思決定する、というような意思決定構造まで決める。

言うまでもなく、役割と責任、意思決定構造が明確でないと、無駄に議論が長引き、調整コストが膨れ上がるリスクがあります。

スタートアップのような少人数組織は、全体を見通すコストが低いので、R&Rをつくらずとも最適な役割分担を自然に決めることができる。しかし、大人数化すると、自然に最適な役割分担はできず、調整コストが肥大化してしまう。

逆に、大企業のアンチパターンは、R&Rがそもそも不明確か、R&Rがあっても、それを環境変化に合わせてアップデートできず、硬直的で非効率な意思決定構造が温存されてしまうこと。

R&Rを明確化し、動的にアップデートし続けることで、これらを回避できます。

構造について。

以下の記事で、凝集性が高く、結合性が低い組織構造をつくることで、調整コストが下げられることを書きました。

内容を簡単にサマるとこんな感じです。

チームの役割や責任を明確化して、チームの機能を理解する認知負荷を下げる。そして、依存関係が多いチーム同士を上の階層でグループとしてまとめ(高凝集性)、グループ間の意思決定の依存関係を少なく(低結合性)設計することで、組織全体の調整コストを最小化する。

この最初の文章が指す通り、R&Rの明確化は、凝集性が高く、結合性が低い組織構造の前提ですね。

左側の図のような、チームのバラバラとした依存関係をさけ、右側の図のような形に、チーム、グループの依存関係を整理する。

https://bootcamp.uxdesign.cc/why-product-development-and-design-needs-cohesion-coupling-87731c84aaa7

ライン限界について。

これは、管理限界やSpan of controlと呼ばれる概念です。

リーダー1人が直接ラインとして担当できるメンバーの人数を指します。業務内容によって変わりますが、適正人数は5~8人、最大で10人と言われることが多く、これは私の感覚とも合致します。

Amazon創業者のジェフ・ベゾス氏の「ピザ2枚ルール」も有名です。2枚のピザで全員がおなかを満たせる人数がチームの人数として適切だという主張。これも、上に書いた5〜8人と合致します。

今後述べる「暗黙知の共同化」を通じて、例えば、2nd lineリーダーが1st lineリーダーを適切に育成するためには、どんなに多くても10人が限界です。

SnowflakeやServicenowのCEOを務めてきたプロ経営者、Frank Slootmanもこう言っています。

By Alivecoverage - Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=144443428
私は、COOもChief of Staffも置きません。そのモデルは採用せずに、私が作りたい組織の形に、組織の標準を合わせていくのです。

以前のSnowflakeは、CEO直下に15〜16名の部下がいました。しかし現在、私の直属の部下は5名です。彼らは非常に大きな任務を持っています。日々起こるさまざまなタスクや責任は、すべて彼らに任せるようにしているんです。

もっとも「そうするのが正しい」と言っているのではなく、好みですね。単にそれが私のやり方なのです。私が、直接報告を受けるべき任務があって、その任務に就いている人だけを自分のレポートラインに置いているのです。

この記事の元のイベントに参加していたのですが、彼が何度も「Clean architecture」と言っていたのが印象的でした。

世界最強のプロ経営者と言われる人が、「クリーンな組織」の重要性を強調しています。

まとめ。

明確かつ動的にR&Rを運営し、凝集性が高く結合性が低い構造をつくれば、調整コストが低く、フロー効率性が高い組織がつくれる。さらに、ラインの人数を適切に抑えれば、暗黙知の共同化等を通じてリーダーが持続的に育成できる。

フロー効率性が高く、リーダーを持続的に育成できれば、組織規模の拡大に伴い、持続的にアウトプットが増加する状態(スケールする状態)を実現できる。これが、クリーンな組織。

フロー効率性とは、(ユーザー等へ)アウトプットを届けるリードタイムの短さを測る指標です。

リソース効率性と対比的に定義されます。リソース効率性は稼働率と同じ意味で、リソースが100%近く稼働している状態が効率性が高いと表現する概念です。

しかし、リソース効率性が高くとも、調整作業や手戻りなど、直接アウトプットにつながらない仕事に多くの時間を費やしていては意味がない。

ダーティな組織は、リソース効率性が高くともフロー効率性が低い組織。高いフロー効率性を実現することがクリーンな組織の大事な要件です。

この結論を図示したものが下の図です。

筆者作成

クリーンな組織を保ち、例外対応を最小化するには

下の記事でも述べましたが、リーダーが長期指向を持てず、短期の例外対応に追われてしまうことが、ピラミッド型組織のバッドパターンです。

前回の記事で述べた通り、1st〜4th lineリーダーと、トップに近づくにつれ、リーダーは、より時間軸が長く、より専門性が広く、より間接的な影響含めた、大きな複雑性・不確実性をコントロールしなければならない。

そのためには、短期の例外対応に追われる時間を最小化し、長期思考に割く時間や、ラインのメンバーと対話し、成長支援する時間を豊かに確保することが必要です。

「クリーンな組織」という概念を使うと、この目的のためにリーダーがやるべきことを、わりとシンプルに定義できます。

メンバー、リーダーの役割を示す5つの言葉を定義します。

1. プログラム:繰り返し出現する問題を手順やルールに従って対応
2. 例外対応:プログラムで対応できない例外への対応
3. プログラム化:プログラムで対応できない例外をプログラム化する
4. エスカレーション:プログラム化できない例外について2nd lineリーダーに対応依頼する
5. 組織メンテナンス:クリーンな組織を保つため、R&Rやチーム構造をアップデートする

「プログラム」については、日常的な、メンバーで十分判断して進めていける作業だと考えてください。

「プログラム化」は、例外対応をプログラムに含めるよう、オペレーションを改善したり、新たなルールを作ったりすることを指します。

例えば、組織のトップの私に意思決定を求める連絡が来ます。そこで私が意思決定するだけで終わらせてしまっては、同種の意思決定に今後も対応し続けなければなりません。そのような例外対応が増え続けては、やがてパンクします。

なので、「これは、〜さんの意思決定で進めてください。今後も」とあえて意思決定せずに戻したり、「これは〜でいきましょう。なぜなら、〜という考え方に則っているからです」などと話して、次回からはその考えに則って、メンバー自ら意思決定することを促したりします。

これが「プログラム化」です。

これらの用語を使い、4階層組織において、2nd lineリーダー、1st lineリーダーが短期の例外対応に追われる時間を最小化する役割を定義します。

それが下の図です。

筆者作成

一見複雑に見えますが、同じことを反復しているだけで、割とシンプルです。

ちなみにこの図は、上で紹介した過去記事において、沼上幹さんの著作「組織戦略の考え方」を参考に作成した図を改良したものです。

この図における、1st lineリーダと2nd lineリーダーの役割について見ていきます。

1st lineリーダーの役割。

プログラムで対応できない例外的な事象へ対応する。

例外対応のやり方は、場当たり的な対応、プログラム化、エスカレーションの3つに分かれる。できる限り、場当たり的な対応はやめ、プログラム化し、例外対応を減らし続けることが重要。

そして、自らでは解決できない問題を2nd lineリーダーにエスカレーションする。

クリーンな組織であれば、自らの役割が明確なので、「何が自分で解決できない問題か」はクリアになる。

例えば、複数のチームをまたぐ問題。

もちろん、1st lineリーダーとして解決策を提案することは必要だが、複数のチームの役割がコンフリクトを起こしている場合、関係する複数の1st lineリーダーのラインになっている、2nd lineリーダーが意思決定を担う。

この構造を理解し、悩み続けるより、速やかにエスカレーションすることが重要。

例外対応を、より本質的に減らすために必要なのはメンバー育成。

例外対応、プログラム化、エスカレーションを適切に行うことで、メンバー育成にさく時間を豊かに確保する。

Getty Images: Ezra Bailey

2nd lineリーダーの役割。

基本的には1st lineリーダーの役割と同じ。

自らでは解決できない問題をトップ(3rd lineリーダー)にエスカレーションする。

複数のグループ(1人の2nd lineリーダーが担当する複数のチームの集まりをグループと呼ぶことにします)の役割がコンフリクトを起こしている場合、関係する複数の2nd lineリーダーのラインになっている、トップ(3rd lineリーダー)が、その問題の意思決定を担う。

これらは1st lineリーダーの場合と構造的に同じ。

異なるのは、「組織のメンテナンス」の部分。

1st lineリーダーは単一の組織単位しか担当しないが、2nd lineリーダーは複数の組織単位の集まりを担当するので、それらが「クリーンな組織」として機能するよう、組織構造をメンテナンスする必要がある。

R&R(チームの役割、責任、意思決定構造)をアップデートし、やり取りが多いメンバー同士をチームとしてまとめ(高凝集性)、チームをまたぐ意思決定を少なく(低結合性)し、調整コストを減らす。

例えば、上の例で、「これは、〜さん(1st lineリーダー)の意思決定で進めてください。今後も」とあえて意思決定せずに戻す場合、同時に該当チームのR&Rをアップデートし、新たな役割と責任が加わったことを明確化する。

チームAとチームBが日常的にコンフリクトを起こし、意思決定が頻繁に停滞している場合、それぞれのR&Rを見直してコンフリクトを少なくするか、2つのチームをまとめて、統一されたリーダーがスピーディに意思決定できるようにする。

「エスカレーション」と「組織メンテナンス」の合せ技のケースもあります。

自分が担当するグループを超えた、別のグループとのやり取りが多く、調整コストが大きい場合、それらを1つのグループに再編することなどを、トップに提案(エスカレーション)する。

Getty Images: Richard Drury

まとめ。

大きな複雑性・不確実性をコントロールするには、例外対応に追われる時間を少なくし、長期思考、長期アクション、人材育成に時間を割けるようにすることが不可欠です。

そのためには、クリーンな組織をつくり、クリーンな組織の構造に応じた1st〜3rd lineリーダーの例外対応への役割を定義すること。

今回深入りしませんが、リーダーの役割だけではなく、経営会議などの会議体の役割(R&R)を合わせて設計することも重要です。組織間のコンフリクトを適切に、周期的に、解決する会議体の設計。

もちろん、R&Rが不明確でムダな会議体は典型的なバッドパターン。

これらを適切に運用すれば、リーダーは、短期の仕事に追われることなく、長期的な仕事を自らつくり出し、ビジネスを楽しむことができるはず。

自律的な組織とクリーンな組織

「クリーンな組織」が硬直で、官僚的な組織だと勘違いされないために、少し補足。

「自律的な組織」という曖昧な意味で使われることが多い言葉があります。

「組織の目的と方向性が明確で、現場起点、顧客起点でメンバーが主体的に意思決定し、スピーディに動ける組織。」

これを「自律的な組織」の定義だと言っても、それほど違和感は無いのではないでしょうか。

自律的とは、各メンバー、リーダーがバラバラに主体的に意思決定することではありません。整合的ではない意思決定が繰り返されては組織の混乱を招き、組織のフロー効率性が低下し、組織のメンバーの幸せを奪います。それは、上記定義に合致しません。

バラバラな意思決定は、局所的な自律性にはつながっても、大域的な自律性にはつながりません。

従って、自律的な組織の必要条件は、各メンバーの意思決定に一貫性があり、高いフロー効率性が実現できていることであり、「クリーンな組織」は「自律的な組織」の必要条件だと言えます。

今日からスタートする

色々書いてきましたが、

「クリーンな組織にすることなんて、経営トップだからできることで、私には無理っす」

と思わせてしまったかもしれません。すいません。

いや、クリーンな組織に向けて、今日から始められることはあります!

まず、ほとんどのリーダーの方は、日々「例外対応」に追われていると思います。メンバーから相談されたり、意思決定を委ねられたり。

そのような時に、ぜひ一度立ち止まって欲しいです。

「この相談経路は自分が適切か?Aさんの方が適切。なぜそれが伝わっていないんだろう。自分のチームが主に関係する他のチームの役割や相談先を、簡単な資料に落とせば、次回からこのような相談は来なくなるはず。」

「この意思決定は自分が適切か?いや、メンバー自身に決めて欲しい。ただ、「決めておいて」だけではリスクがコントロールできておらず、メンバーへの成長支援もできない。このような意思決定の考え方の原則だけ簡単に示し、最終的な意思決定はメンバーに委ねる形にしよう。」

「この意思決定は自分が適切か?いや、これは複数のチームを巻き込む必要があり、自分では決められない。であれば、経営会議の議題とし、その経営会議に関係チームのリーダー全員が出るように調整し、事前に情報共有し、その一度の経営会議で必ず意思決定できるようにしよう。」

このような対応は慣れていないと面倒に感じると思いますが、必ず慣れます。楽しめます。

そして、必ず、みなさんの例外対応に割く時間を減らします。そして同時に、メンバーの成長支援にもつながります。良いことしかない。やるしかない。ぜひ。

Getty Images: Maki Nakamura

まとめ

クリーンな組織をつくり、維持すれば、メンバーもリーダーもハッピーになり、リーダーが複雑性・不確実性をコントロールする難易度は大幅に下がる。

これが、今回の記事の主張です。

自分含め、多くのリーダーが、組織構造的に、自分では解決不能な問題に長く取り組み、徒労をつのらせてしまう。もしくは、短期的な例外対応に忙殺され、ストレスを抱えてしまう。

この2つのアンチパターンを解消したい。

自分ですべての問題を解消する必要はない。

自分の役割の限界点を理解することで、快適に仕事ができる。

これは、トップ、CEOですらそうです。

経営リスクに係る大きな問題については、CEO単独での意思決定ではなく、取締役会で集団的に意思決定をする必要があります。取締役会は、CEOのエスカレーション先でもある。

この意見は賛否あると思いますが、究極、執行のトップですら、会社のすべての問題を自分だけで解消する必要はありません。

このような限界を適切に把握することで、肩の力が抜け、クリーンな組織の中で自分らしい個性を発揮し、ハッピーに働き、持続的に成果を上げることができると考えています。

次回は、今回深入りしなかった、「リーダー育成」について見ていきます。

リーダー育成こそ、複雑性・不確実性コントロールの本丸。

具体的に、2nd lineリーダーが、1st lineリーダーをどう育てるか、ということを題材に、シンプルルールによる形式知化、スキップコミュニケーション、共同化による暗黙知の伝承などを考察したいと考えています。

感想や質問など、何でもコメントいただければとてもうれしいです!

著者撮影

メモ:

2024年5月15日に「自律的な組織とクリーンな組織」を追記。

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