芸術家の脳

2024年3月30日
全体に公開

久しぶりの投稿となりましたが、申し訳ありません。

先日「脳はいかに美を感じるか」という本を読みました。認知心理学の中に神経美学という分野を成立させたSemir Zeki氏によるもので、その世界の面白さに「本を読み進めたい」「読み終えたくない」を行きつ戻りつしながら読了。

前提として、目から得られた視覚情報は視神経を伝って、視覚領野へ伝達されます。

視覚領野はさらにV1〜V5といった部位があり、それぞれに視覚情報を知覚するための様々な神経細胞が存在します。

ある神経細胞は、動いているものに反応し、ある神経細胞は奥行き、とある細胞は色に反応するという具合です。

本書では、ピカソやフェルメール、セザンヌやモネといった画家の実際の絵画と、それを描く際に働かせたと思われる脳細胞を関連づけて語られています。

(実際に脳活動の検査が行われたわけではないので、仮説に過ぎないのだけど)、自身が絵を描いてきた時の感覚や写真心理学と付合する点を大いに発見することができて、大興奮が起こりました。

気づきも踏まえて、研究計画書をしたためてます。

音楽家の脳

UnsplashのChase Yiが撮影した写真   

高齢者のうち楽器演奏経験者(音楽家)は、非音楽家に比べて音楽の聴覚機能や楽器演奏に直接的に関係のある手足の運動能力だけではなく、実行機能においても優れていたという研究(Yamashita,Ohsawa,Suzuki,Guo,Sadakata,Otsuka,Abe,,Asano,Guo,Ohsawa,Otsuka,Sadakata,Suzuki,Yamashita,2019)や、

音大生の脳は、一般大生と比べて後頭葉(視覚野)、下前頭回、上頭頂小葉などが大きい(Tanaka,2019)、

結果指揮者やコンサートマスターとなったヴァイオリニストの脳は、一般人に比べて関連部署が明らかに肥大化している(Fujinami,2012)など、

音楽と脳の発達の関連性には多くの研究があります。

使い続けることで脳が発達するのならば、特異的な「視覚」を使い続ける美大生や建築家の脳にも、発達の違いが見られることが考えられますね。(音楽家の研究の方が先行しているのが現状)

めくるめく、認知心理学の世界。

また、時折にはなってしまいそうなのですが、綴ってまいりたいと思います!

出典:

セミール ゼキ「脳は美をいかに感じるか: ピカソやモネが見た世界」2002

山下 雅俊・大澤 智恵・鈴木 麻希・郭 霞・貞方 マキ子・大塚 結喜・浅野 孝平・阿部 修士・積山 薫「長年の楽器訓練経験が高齢期の脳にもたらす影響:脳構造と機能結合解析による横断比較」,2019

田中昌司「音楽家の脳を視る」,2019

藤波努「音楽する脳」,2012

トップ写真:

UnsplashのFrankie Cordobaが撮影した写真   

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