若いうちに必要なのは「金融資産への投資」と「経験への投資」、どっちが正解?

2024年2月20日
全体に公開

新NISAへの関心が若年層にも広まり、新NISAの「つみたて投資枠」を始めたと、テレビで大学生がコメントしているのも見かけるようになりました。
そんなテレビ画面をスクショし、X(旧Twitter)に投稿されたものがバズっています。
現時点で一番拡散されている投稿がこちらです。

この投稿がなぜバズったのかというと、コメントにもあるように「大学生で投資するよりも先に、経験など自己投資にお金を回せ」というものと、それに対して、「大学生からでも、複利効果と時間を味方にするためにも、インフレに対抗するためにも投資すべきだ」という論争に発展したからです。

Xのコメントを読むと、一定数「両方やるべき」という声があるものの、まずは「自己投資からすべき」という意見が多いようです。

筆者としては、どちらの考えも大切であり、どちらも実践すべきであると考えています。

2月20日放送のABEMA Primeでもこの内容を取り扱っていて、コメント出演しました。

金融資産への投資も「自己投資」の一部になる

とはいえ、「自己投資からすべき」という考えの人たちに物申したいのは、「金融資産への投資も自己投資になる」ということです。

自分自身の大切なお金を、株や投資信託といった金融資産にお金を投じると、これまで素通りしていた、経済ニュースが目や耳につくようになります。
脳というのは、脳が疲れないように不要な情報をシャットダウンするようにできているので、興味のない情報は素通りするようになっています。

読者の中に、自分の家のそばで、どこにクリーニング屋があるかを知っている人はどれくらいいるでしょうか?

一度も利用したことがない人はどこにあるか検討もつかないかもしれません。でも利用したことがないからわかるはずないというのは、本当でしょうか。

Googleマップで検索してみて、意外と身近なところにあるのであれば、何度もお店の前を通ったことがある可能性が高いでしょう。それにもかかわらず、その場所を知らないということです。知らなかったのではなく、覚えていなかったというのが正しい認識ではないでしょうか。

投資の世界、経済の世界も同じです。

自分自身のお金を投じていなければ、経済のニュースなどつまらないし、ちゃんと勉強しようと思う人はかなり少ないことでしょう。
日経平均株価が史上最高値に迫っている状況でも、「そうなんだ〜」くらいにしか思いませんよね。

でも、自分の大切なお金を金融資産へ投資をしていると、

・なぜ日経平均株は史上最高値を上回ったのか
・米国株や世界株の状況はどうなのか、なぜそうなっているのか
・日本の経済政策、金融政策はどのようにマーケットに影響を及ぼすのか
・アメリカ大統領選挙は、マーケットにどのような影響を与えるのか
・投資にかかる税金や手数料は、運用成績にどれくらい影響があるのか
・なぜバブルが起こり、バブル崩壊が起こるのか
・株価が上がる企業と上がらない企業の違いはどこにあるのか
・世界が今後どうなっていくのか

といったことが知りたくなるし、そうした知識も身についていきます。
自然とそういったニュースが目につくようになるわけです。

上で挙げたのは一部であり、投資をすることで、もっとたくさんのことを学べ、そうした知識・経験は自分を成長する「自己投資」にもつながり、仕事にも当然生きてきます

金融資産への投資は、自己投資にもなる優れものです。

アインシュタインが人類最大の発明と言った「複利効果」を活用すべし

金融資産への投資を早くやっておいた方が良い理由は、「複利効果」をより長く味方につけられるからです。

銀行にお金を預けると利息が受け取れます。利息の計算方法には、利息を元本に組み入れない「単利」と、利息を元本に組み入れる「複利」の2種類があります。
単利は、預け入れた時の元本に対してのみ利息が付くものです。元本の金額や利率が変わらない限り、毎回、同じ額の利息を受け取ります。

複利は、最初にもらえる利息は単利の金額と同じです。単利と違う点は、もらえる利息を元本に組み入れる点です。利息を組み入れた元本に対してさらに利息がつくため、長期で取り組むほど雪だるま式にお金が増えて行くのですが、これが複利効果です。

この「複利効果」は、アインシュタインが「人類最大の発明」と言ったとされているほど、お金を増やすには大切な概念です。

人間には寿命がありますので、複利効果をできるだけ長く活用したいなら早く始めるしかありません

また、Xのコメントでも指摘されていましたが、インフレ時代では、現預金のお金の価値はどんどん下がっていきます。何もしなくてもお金が減る時代なら、減る可能性も増える可能性もある、金融資産への投資は早いうちからやっておきたいものです。

24時間、自分が寝ている間もお金を稼いでくれる資産を持つことは、これからの時代を生きていく上では必須と筆者は考えます

「金融資産へ全振り」はダメ 経験や"今"を楽しむためにもお金を使う

ただ、今使えるお金を「金融資産へ全振り」するのは違います。
固定費削減など節約を頑張って、浮いたお金全額を金融資産へ投資すべきではないということです。

将来のためにお金を貯める・増やすだけでなく、"今"を楽しむためにもお金を使いましょう。同じお金を使うにしても、若いときのほうが色々な経験ができます。

複利効果は金融資産への投資だけに得られるものではありません。
「自己投資」においても複利効果は発揮します。自分の価値が上がれば、それが複利になって将来に大きな力となるからです。

「死ぬまでにいかにお金を使い切るか」という新しい視点を提示した『DIE WITH ZERO』の著者ビル・パーキンス氏は、若いころは旅に出て格安のユースホステルに泊まり、同世代の旅人と和気あいあいと楽しむことができる一方で、30歳になると責任のある立場に立つため、長期的な休みが取りづらいと語っています。

また、簡素な宿泊施設に泊まったり、大荷物を抱えて移動したりすることが体力的に難しい点も挙げられています。若いころは多少の無茶ができるため、バックパックといった格安旅行が可能です。そうして得た経験は、「新しい価値観を知ったきっかけ」として後々の人生を豊かにすることができます。

しかし、経験で得られる「経験値」とも言えるものは、年齢の上昇とともに少なくなっていきます。自己投資は、若いうちこそ後々の人生で役立つのです。

<経験から得られる「経験値」は年齢が上がるにつれて減少>

拙著『マンガと図解 はじめてのFIRE』(宝島社)より

知識やスキルだけでなく、人間関係、評判、健康などの「無形資産」を築いていくことも、これからの時代には欠かせません。

未来の自分が笑顔で生活を送っているためには、複利効果を意識し、「時間とお金」を経験や無形資産の構築に配分していくことも大事です。

【結論】金融投資も経験投資も早くやるのが正解

若いうちに必要なのは「金融資産への投資」と「経験への投資」どっちが正解か
という問いに対する筆者の考えは「両方とも早くやれ」です。

どちらも有用であることがわかっていて、人間の寿命が限られているならば、どちらかを優先するというのは馬鹿げています。
"長くやる"には、"早くやる"しかありません。

若いうちから、金融資産に投資することも、経験や思い出にお金を使うことも両方やるのが正解です。

〜宣伝〜「老後のお金大全100」出版記念イベント2/29開催

【開催概要】
開催日 :2024年2月29日(木)
開催時間:19:00~20:00(18:45開場)
場所  :芳林堂書店高田馬場店8Fイベントスペース
受付方法:店頭・電話・メールのいずれかにて参加のご予約を頂き、イベント当日・開始時間までに芳林堂書店高田馬場店3Fレジカウンターにて
・対象書籍を芳林堂書店高田馬場店にてご購入いただいたお客様
または
・費用税込1,000円をお支払いいただいたお客様
へ参加券をお渡しいたします。
主催:芳林堂書店高田馬場店

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