里山で子どもに学ぶ、「大人が忘れかけていたもの」

2024年2月6日
全体に公開

茨城県石岡市八郷地区に留学するプログラム、「八郷留学」をご存知でしょうか。

そこでお手伝いをさせてもらった見えた、自然で遊ぶことの楽しさ、子どもたちが持つパワーなどなど、八郷留学から学んだアレコレをレポートしていく回となっております。

🐐🐐🐐

こんにちは!NewsPicksインターンの相原です^^

前回は平松さんが「前向きになるために大切なこと」を教えてくれました。静かで素直な努力家、平松さんの良さが全面に溢れ出ていて、平松さん‼︎♡となりました(語彙力)。

今回は、私がお手伝いさせてもらった体験型プログラム、「八郷留学」を通じて感じた、自然の楽しさ、子どもの素晴らしさ、そして八郷留学の良さを語らせていただきます。

⛰️「八郷」ってどこ?留学ってなに??

昨年12月のとある日、私は茨城県石岡市八郷(やさと)地区にいた。

昔は八郷町だったが、現在は市町村合併を経てできた石岡市の一部となっている。

八郷留学とは、自然豊かな八郷地区で行われる自然体験プログラム。対象は小学生。期間は基本的に土日の一泊二日で、その間は親と離れて過ごす。

春は山菜採り、夏は流しそうめん、秋は稲刈り、冬は餅つきなど、里山の自然と農的暮らしを体験。

畑から野菜を収穫し、自分たちで食事を作り、山で遊んで、夜はみんなでお泊りをするプログラムとなっている。

場所は八郷にある古民家。普段6畳弱しかない小さな家に住んでいる私にとって、縁側や畳風情のある大きな一軒家は、田舎のおばあちゃんの家に来たような懐かしさを感じた。

干し柿がぶら下がってるの久々に見た

私は、八郷留学スタッフをしている友だちに誘われたことがきっかけで、とある1日にお手伝いスタッフとして子どもたちと自然の中で過ごすこととなった。

🌱自然で遊ぶの楽しすぎる!!

朝9:00、子どもたちを乗せた車が次々とやってきた。集まったのは小学生低学年から高学年までの10人ほど。

参加経験のある子は、こなれた雰囲気を醸し出す一方、初参加の子どもたちは親の背中に隠れ、緊張ぎみの様子で車から降りてきた。

初対面がほとんどの中で、みんなで一泊二日を過ごす。

自己紹介をしてさっそく本日のプログラムが始まった。

本日のラインナップは、お正月用の門松づくりと、夜ご飯のシチュー作り。

門松づくり...?そもそも家に門松を飾ったことがあったか思い出せない。ましてや作ったことなど無い。私にとっても、きっと子どもたちにとっても初めての体験。

山から竹を切り、それをノコギリでギコギコし、藁をより合わせて作って縄を作り、それで梅飾りを作る。それを組み合わせたら門松の完成だ。

竹は節の部分で切ると、竹が笑っているように見える「笑い竹」になるんだよ、藁はこうやってねじねじすると解けないんだよ、と知恵を伝授してもらいながら、私も子どもたちと一緒になって、むずない?とか言いながら夢中になって作った。

みんなでゼロから作った門松が完成

門松が完成したら、夜ご飯のシチュー用の野菜を引っこ抜き、野菜を切り、庭にある釜戸で火を起こし、全て自分たちの手で作り上げたシチューをいただく。

自然の中にあるものを利用し、人間の知恵を使って生活をする。徐々に忘れかけられている、里山での生活は、今や逆に新しくて、珍しくてそれが面白い。

昔、当たり前だった里山での暮らしを、子どもたちにとってはエンターテインメント的に体験すると同時に、教育的な学びも享受できるのが八郷留学だ。

火を見守る子どもたち

✨子どもっておとなだ

門松を作ったり、シチューの準備をしながら子どもたちを眺めていると、たくさんの発見があった。

小学生ってちゃんと子どもだけど、十分におとな。

さあみんなで門松作ろうか〜!と始まっても、子どもたちは自由。

われ先に黙々と作業を始める子、ねえあれやっていい?と聞いてくる子、そんなの知ったこっちゃないと一人自由に遊んでいる子。本当に自由。

誰かが指示したわけでも、誰かに教えてもらったわけでもなく、オリジナルの楽器を作っていた子がいた。

誰も使っていない木の板に、長さの違う半分に割った竹を貼り付け、叩くとそれぞれ違う音がする。どういう発想??!お姉さんそんなん思いつかんかったわ...と尊敬の眼差し。

そんな子どもたち全員に共通していたのは、目を輝かせていたこと。私にはそれがとても美しく、どこか羨ましくも思えた。

それと同時に彼らはちゃんとおとななのだ。みんなそれぞれ、あれがやりたい、これがやりたいと主張するが、子どものやり方で衝突を避けてうまーくやっている。

 🟢私がシチュー混ぜたい。

 🟠私もシチュー混ぜたい。

 🟢私が今から10周混ぜるから、あなたはそのあと10周やって。

 🟠わかったーー。

と、どストレートに交渉し衝突を回避していた。

そんな子どもたちを見ていて、私は、すげえなあ!!と感動していた。子どもってもっと自分が!自分が!と強く、協力するとか妥協するとか出来ないもんかと思っていた。

しかも、大人のように関係性構築のためにこれが必要だからこれをする、とか、言いたいことあるけど黙ってよう、とか、小賢しいこと考えることなく、遊んだり、何かあれば素直に交渉したり、時に譲ったりしながらそれができるらしい。

この子たちにはアイスブレイクも必要なくとも自然と仲良くなれるんだな。

木に絡まったヤギの鎖を解こうとしている子どもたち

そして同時に、自分はいつの間に大人になっていたんだろう。と思った。頭で考えて動くことばかりを身につけ、素直に感情を出すことも、感情で動くことも無くなった。

自分の感情は脇に置いて、この場で私はどんな振る舞いをすべきか、なんて考えて過ごしてる。

子どもたちみたいにはなれなくなったな、いつの間にこうなったんだっけなと、考えさせられることとなった。

🌽八郷で気づいた、大切な「暮らし」

参加者の子どもたちは、都内から来ている子も多いという。

「なんでもある」街、東京に住んでいる子どもたちが、お勉強からも離れて、自然と文化に触れながら自由に遊べるって、素敵な機会だなあと思う。

最近は東京で生活することが増えた私は、八郷留学代表の原部さんが言うように、「実は “暮らし” をしていないのかもしれない」と思う。

今、お金で何かを買うことでしか生きていけない生活をしている。田んぼも畑も持っていない。野菜は買うしかない。買うならスーパーで、便利なカット野菜を選びがち。

私は種まきも、水やりも、収穫も何にもしてない。お金を媒介させて何かを得ているが、その「何か」を「誰か」が生み出していることに気づけていただろうか。

私よりも幼い現代っ子たちは、スマホをかざせば「何か」を得ることができる、と思っていてもなんら不思議ではない。

(写真:CardMapr.nl/Unsplash)

土から野菜を掘り起こし、野菜を洗って、切って、火を起こしてゆっくり煮込んで食べるなんて、言ってしまえばめんどくさいの極みだが、普段はお金を払うことで見えなくなっていた「誰か」の存在や仕事がそこにあることに気づくことができた。

と同時に「食」にこんなにも手間暇かけるなんて人間らしいなとも思った。

...大人の私はそんなことを考えていたが、どうやら子どもたちは純粋にそれが楽しいようだった。楽しいって思えるのが1番だな。

出来上がったシチュー。超美味しくて子どもたちよりいっぱい食べた。

大都市にとどまらず、日本中のほとんどのエリアでは金さえあれば生きていける世界。

それとは全く違う生活を一泊二日で体験することで、子どもたちは遊びを通じて新しい世界を発見できる。

金で全部解決できる世界で、日々勉強に追われ、四角くて狭い世界で生活している子どもがもしいたとしたら、ぜひ八郷留学をおすすめしたい。

最後に、八郷留学のコンセプト:「暮らしも遊びも物語も作るのは全部きみだ」について考えたことを少し。

八郷留学スタッフは子どもたちに驚くほど何も言わない、口を挟まない。

子ども同士の喧嘩しそうな雰囲気も放っておくし、必ず全員がこれをやりなさいと言うこともない。何か言うのは最低限、身体に及ぶ危険を察知した時だけ。

あえて風情の無いことを言うが、何も指示・強制されない状況で、自由にそこにあるものを使い考えて遊ぶことで、個々が持っている可能性も引き出されるはずだ。

余った竹や木の板で工作中

そんな八郷留学で、学校や教科書からは学べない、大切なものを学び、育み、大きくなって欲しい。と、部外者ながらもそんなことを感じた1日となった。

以上、八郷留学のガチ推しレポートでした。いかがでしたでしょうか??

大人になった私でもこんなに楽しかったんだから、子どもたちなんて本当に楽しくてたまらないはず。私が子どもだったら絶対通いたいし、自分に子どもができたら通わせたい、と心から思いました。

少しでも楽しんで読んでいただけましたら、いいね👍やコメントをいただけると大変喜びます😌

最後になりましたが、お邪魔させてくれた八郷留学スタッフの皆さん、私に学びをくれた子どもたち、そして八郷の豊かな自然と文化に感謝です。

興味を持った方は、こちらからぜひぜひ見てみてください!👇

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・インスタグラム

・八郷留学代表: 原部さんのnote

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