【保存版】ヴィンテージ知識と選び方 成人祝いなら2004年のワインってどんな年?

2024年1月9日
全体に公開

今年20歳になる皆さん、おめでとうございます。

20年前の2004年。生まれた年はワインにとってどんな「ヴィンテージ」でしょうか?

ヴィンテージって? ブドウの収穫年のことで、ワインのラベルに表記されています。

そう聞くと、言葉自体にはなじみがなくてもイメージがつくのではないでしょうか。

ワインを嗜む人たちはよく話題にする最重要キーワードの一つです。この機会にイロハを学び、プレゼントや自分用にヴィンテージから1本をぜひ選んでみましょう。

ヴィンテージとは

ヴィンテージの年号は、原料となった「ブドウが収穫された年」を示しています。

この収穫年がなぜいつも注目されるのかというと、ワインの味わいに大きく影響するためです。

ブドウ農家やワイナリー(醸造所)は毎年、ワインを作っています。ブドウの収穫は秋(北半球では一般的に9月から10月)なのですが、春先からの約半年間の天候で「ブドウの出来」が決まります。そしてブドウの出来がそのまま、その年のワインのキャラクターも左右するのです。

ワイン業界では「何年」といえばイコール「ヴィンテージ」を指します。そして「その年のおよそのワインの出来」も知識として頭に入ったうえで会話している、というわけです。

ヴィンテージの知識をそこまで詰めなくても、「ヴィンテージってこういう世界」「気になれば、自分でもちょっと調べられる」ようにご案内しましょう。

Riccardo Bernucci/Unsplash

「〇〇ワインの何年モノ」ヴィンテージで何が違う?

いきなり話の腰を折るようですが、リリースされてから1年以内で消費されるカジュアルな価格帯(3千円以下)のワインは、ヴィンテージの良し悪しはほとんど無縁です。味わいに多少影響があるものの、価格の変動はそれほどありません。

一方、ワインに毎年評価が付き、熟成すれば価値が上がるような高級ワインでは、ヴィンテージの良し悪しが、価格にも大きく影響します。

次に挙げるのは、超高級な有名ワインの今の市場価格です。

新成人の生まれた2004年と翌2005年を比較してみます。

・シャトー・ラトゥール 100,000円(2004年)→200,000円(2005年)

・シャトー・ペトリュス 600,000円(2004年)→1,000,000円(2005年) 

・シャンベルタン/アルマン・ルソー 500,000円(2004年)→1,000,000円(2005年)

わずか1年の違いですが、一見して2005年のほうが高値で販売されていることがわかりますね。

超がつく「当たり年」で、ワイン業界では「グレイトヴィンテージ」と呼ばれています。収穫されたブドウの出来がよくて、非の打ちどころがなく、年数を重ねるごとに価格も上がっていく。そんな部類です。

「グレイトヴィンテージ」が最上級で、そこそこ良い当たり年は「グッドヴィンテージ」。冷害や雨、暑すぎるといった天候の影響でブドウの出来が思わしくなかった年は「オフヴィンテージ」(難しい年)と呼ばれます。

Marco Mornati/Unsplash

生産量とはリンクしないヴィンテージ

ヴィンテージをめぐって、誤解されがちなポイントを添えます。

ヴィンテージは、あくまで「収穫したブドウの味の出来」。つまり品質をもとに語られます。その年の生産の量はヴィンテージには無関係。ヴィンテージをもとにした味や値付けには影響しません。

具体例でヴィンテージをより鮮明につかみましょう。

・収穫までの半年間にヒョウが降って、全体の生産量が減った。

・春からの気候が悪くても、夏から秋にかけて天候が安定した。

こうした条件でも、秋の収穫時にブドウの出来が最終的によければ、ヴィンテージが当たり年になることもあります。

Stefan Schauberger/Unsplash

ヴィンテージチャート

ワインの愛好家や業界人であれば、おおよそのヴィンテージの知識は頭に入っていますが、生産地ごとに評価も異なるため、覚えるのは大変です。

無料で閲覧できる「ヴィンテージチャート」から代表的なものをご紹介します。

①「Wine Advocate Vintage Chart」

Robert Parker - Vintage Chart

最もよく知られ、影響力のあるワイン評価サイト「ワイン・アドヴォケイト(WA)」。ワイン評論界の重鎮、ロバート・パーカー氏が創刊したことから「パーカー・ポイント」の名でも知られてきました。(パーカー氏は2019年に引退)。

アドヴォケイトのサイトは、産地やヴィンテージごとに検索できるのが便利です。

また、ヴィンテージチャートが一覧になったPDFもあります。

Wine Advocateより

黄色は100点満点で高得点。対して色が濃くなるにつれてオフヴィンテージです。

私たちプロも頭に入るまでは、一目でわかるように印刷して職場のデスクに置くことがあります。

https://s3-us-west-2.amazonaws.com/robert-parker-the-wine-advocate/media/downloads/VintageChart_1970-2022.pdf

②「Wine Spectator Vintage Chart」

https://www.winespectator.com/vintage-charts

アドヴォケイトがワインに特化したプロフェッショナル色の強いサイトであるのに対し、「ワイン・スペクテーター(WS)」は、一般層にも向けたサイト・雑誌です。

スペクテーターで有名なのが、年末に発表されるその年の「Top 100」。世界中のワインからセレクトされるため、トレンドを知るのに役立ちます。

Wine Spectatorより

2023年のNo.1は「2018 Brunello di Montalcino ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ / Argiano アルジャーノ」でした。私が勤める商社でも販売していますが、このTop100の発表があった夜にすべての在庫が完売しました。

無料で閲覧できますので、ご興味があればご覧ください。

https://top100.winespectator.com/lists/

ヴィンテージを知るための「ヴィンテージチャート」は、アドヴォケイトとスペクテーターの2つを押さえておけば、まず間違いありません。ほかにもワインの評価サイト(評価紙)は有料のものも含めてたくさんありますが、またの機会にまとめてご案内します。

ヴィンテージチャートのどこを見ればいいの?

ヴィンテージチャートを実際にご覧いただくと、たくさんあり過ぎて、どこを見たらいいかわかりませんよね。見方は自由なので、ご自身が興味がある産地やヴィンテージをご覧ください。

ワイン通を目指す皆さんが、一般的に知っておくと良い産地をお伝えします。

フランス

・ボルドー赤全般 (Bordeaux)

・ブルゴーニュ全般 (Burgundy・Bourgogone)

・シャンパーニュ(Champagne)

イタリア

・ピエモンテ (Piedmont)

・トスカーナ (Toscany)

アメリカ

・カリフォルニア ナパ・ソノマ(California /Napa・Sonoma)

これらは毎年評価が注目され、ヴィンテージによって価格も変動する高級ワイン産地です。熟成能力も高く、バックヴィンテージの流通はこれらのワインが中心となります。

2004年は、どんなワイン?

各ヴィンテージチャートを見ると、評価者によって多少の違いがあるものです。バックヴィンテージのワインを輸入し、高級レストランなどにご紹介している立場の私から、最近のテイスティングから考える、2004年のヴィンテージについて簡単に解説します。

①ボルドー赤 ★★★☆☆

平均的なヴィンテージですが、翌年の2005年がグレイトヴィンテージ(偉大な年)になったため、その影に隠れたヴィンテージです。その分、価格が抑えられていて良いものが買えるお買い得な年とも言えます。五大シャトークラスでも、十分飲み頃に入っています。

②ブルゴーニュ赤 ★★☆☆☆

残念ながら、オフヴィンテージ(難しい年)で有名です。冷夏と雨に加え、病害にも苦しめられた年でした。リリース当時はグリーンノートの強いワインが多かったのですが、時間が経つにつれて、良いバランスの味わいへと変化しました。

決して長熟ではありませんが、クラシックで繊細な味わいの美しいヴィンテージといえます。言われているほど悪くないよ!とお伝えしたいヴィンテージです。

③ブルゴーニュ白 ★★★☆☆

赤と連動してオフヴィンテージと思われがちですが、実は白はなかなか良いヴィンテージです。ブルゴーニュに求められるのはエレガンス。赤にも共通しますが、クラシックで繊細な味わいは白に求められる味わいです。酸が綺麗に通った安定した味わいのシャルドネを楽しむことができます。特別な1本を除いては、そろそろ飲んでも良いかと思います。

④シャンパーニュ ★★★☆☆

ブルゴーニュの白と同様、クラシックでエレガントなヴィンテージとなりました。前年の2003年は猛暑の過熟で酸の弱い、シャンパーニュにとっては致命的な年でした。それに対して冷涼な2004年は、特にシャルドネのワインにとって良年となりました。私の一押しは、「2004コント・ド・シャンパーニュ/テタンジェ」です。

⑤イタリア・トスカーナ&ピエモンテ ★★★★☆

2004年で最も高評価のつく産地は、イタリアのピエモンテとトスカーナ。ワイン名で言うと、「バローロ」や「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ」です。フランスでは目立たないヴィンテージですが、イタリアの高級ワインでは素晴らしいヴィンテージとなりました。

⑤アメリカ・カリフォルニア・ナパ ★★★☆☆

ヴィンテージのブレが少なく安定しているナパのカベルネ。その中でも、比較的出来の良い年となりました。その割には価格が抑えられているので、購入にはおすすめです。

Renato Marque/Unsplash

ヴィンテージの1本を手に

2004年は高級ワイン市場の中心となるブルゴーニュの赤への評価に引っ張られて、一般的に低く評価されがちです。ただ、決して悪くない実は「お買い得なヴィンテージ」です。

生産本数の少ないブルゴーニュは手に入るものが限られますが、ボルドーならまだ入手しやすく品質も安定しています。また、イタリアやカリフォルニアも、ぜひ選択肢に入れてみてください。

20歳の自分へのご褒美に自分と同じ時間を過ごしたワインを飲んで、これまでの人生を振り返っていただきたいです。目の前にヴィンテージの年数が入ったボトルがあると、ワインを一緒に飲む人との会話も弾みます。

Artem Kniaz/Unsplash

買いたいなと思ったら、楽天のワイン通販サイト

https://www.rakuten.co.jp/category/wine/?l-id=top_normal_gmenu_d_wine)

が便利です。左のタブから次のようにワインを絞り込んでみましょう

  1. 年代(ビンテージ)を選ぶ
  2. 赤、白、ロゼなどジャンルを選ぶ
  3. 予算の価格帯を指定
楽天サイトより

ヴィンテージを通して、少しでもワインの良さを味わっていただけると嬉しいです。

文:古川康子(シニアソムリエ)

編集:野上英文(MIT Sloan Wine Club)

応援ありがとうございます!
いいねして著者を応援してみませんか



このトピックスについて
樋口 真章さん、他335人がフォローしています